著者
石井 圭一
出版者
農業問題研究学会
雑誌
農業問題研究 (ISSN:0915597X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.10-18, 2019 (Released:2020-08-20)
参考文献数
13

EUにおける乳価の国際化と牛乳生産割当制度の廃止による生産の自由化を背景に,フランスでは酪農をターゲットとしたカップリング支払いが普及する一方,条件不利地域支払いにみる地域特定の助成措置が拡充された.酪農過疎となりつつある一帯における事例から引き出されるのは,AOPチーズ向け生乳を供給すること,有機転換により確実な集乳機会を確保すること,過疎が進むゆえに割当量の追加取得機会を最大限利用し,規模拡大を図る経営戦略である.
著者
石井 圭太 三橋 利温 今泉 弘 内藤 吉隆 芦原 毅 大井田 正人 安海 義曜 西元寺 克禮
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.363-371_1, 1992-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
42
被引用文献数
2

過去10年間に当科にて経験した上中部食道潰瘍31例につき検討した.平均年齢は,42.1歳と下部食道潰瘍症例(平均58.5歳)に比し,比較的若年者に多く,男15例,女16例と性差は認めなかった.原因の明らかなものは17例で,薬剤によるものが12例と多く,その他,異物,放射線治療,飲食物および扁平苔癬によるものを認めたが,原因が不明のものも14例みられた.症状は,胸骨後部痛,つかえ感,嚥下痛が多かった.潰瘍の性状は,不整形,略円形,剥離型の3つに分類できた.不整形と略円形が,大半を占め,剥離型は4例のみであった.症状消失期間および内視鏡的治癒期間を比較すると,不整形と略円形では,ほとんど差を認めないのに対し,剥離型は早期に治癒する傾向を認めた.このように剥離型は,その特徴的な形態はもちろんのこと臨床経過においても,不整形及び略円形とは明らかに異なり,これは剥離型では病変がより表層にあるためと思われた.剥離型とした症例は,いわゆる剥離性食道炎の範疇に入るもので,本邦における剥離性食道炎50例につき併せて検討した.なお,同期間に経験した下部食道潰瘍130例との比較も行った.
著者
石井 圭史 川口 哲 渡邊 吾一 神谷 智昭 石川 一郎 山下 敏彦
出版者
南江堂
雑誌
臨床雑誌整形外科 (ISSN:00305901)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.1-4, 2012-01-01

急性腰痛で受診した47例を対象に、MRI撮像により椎体骨折と診断した28例(男2例、女26例、平均76.8歳;椎体骨折群)とそれ以外の19例(男5例、女14例、平均76.2歳;非椎体骨折群)に分け、sit-up-lie-down(S-L)テストの有用性について検討した。S-Lテストは患者を診察台に寝かせ、起き上がり或いは寝そべりのいずれかで腰痛が誘発されれば陽性とした。その結果、椎体骨折群28例中26例が陽性で、椎体骨折に対する感度は92.9%、特異度52.6%であった。棘突起叩打痛が有ったのは64.3%であった。日整会腰痛評価質問票で感度80%を超えたのは腰椎機能障害6項目4項目、歩行機能障害5項目中2項目で、疼痛visual analogue scaleは両群間で有意差はなかった。座位・仰臥位X線では椎体骨折群28例中23例で椎体前壁高変化を認め、非椎体骨折群には変化がなく、感度82.1%、特異度100%であった。S-Lテストは椎体骨折の簡便な診断法として有用であることが示された。
著者
遠山 泰崇 佐藤 雄己 鈴木 陽介 田辺 三思 竹中 隆一 和田 伸介 石井 圭亮 伊東 弘樹
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.594-599, 2015-08-10 (Released:2016-08-10)
参考文献数
18

We report the cases of 10 patients with acute lithium intoxication who were treated over the past 6 years. The range of lithium overdose was 600 mg to 9,600 mg and the lithium concentration of all cases was greater than the toxic concentration. Three of the 10 cases were treated with fluid therapy. Another 3 cases were treated with continuous hemodiafiltration (CHDF). The rest were treated with hemodialysis (HD). The serum lithium concentration of the 3 patients with fluid therapy gradually decreased. However, it took 24 hours after the treatment to reach the therapeutic level in Case 2 since the slope was comparatively loose. In the meantime, the high lithium concentration of patients with CHDF (Cases 4, 8, 10) and HD rapidly decreased and it finally reached the therapeutic level. But a post-dialysis rebound effect in the lithium concentration was detected in Case 9. This report shows that CHDF and HD is an effective and sufficient treatment for lowering the serum concentration of lithium in a short period in acute lithium toxicity. As the serum lithium concentration of a patient with HD often rebounds and repeated or prolonged treatment may be required, we reaffirmed the patient's condition. Thus, completion of HD should be judged based on not only serum lithium concentration but also sufficient observation of the clinical course.
著者
石井 圭
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.47 Suppl. No.1 (第54回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B-27, 2020 (Released:2021-03-31)

人が生きていく上で随意的に体を動かす能力は重要である。体を動かすためにはどのような生体制御システムが必要だろうか? 運動制御システムは当然必要だが,それだけでは不十分である。筋活動を継続的に行うためには血中の酸素を用いてエネルギー合成をする必要があるため,心臓から血液を送り出し,筋肉への血流量を増やして酸素を供給する。このように循環系を制御するシステムは,運動を支える重要な生体制御システムの一つである。 運動時の循環制御システムの一つはセントラルコマンドである。例えば,自発的に体を動かそうとすると高位脳中枢から信号が下降し,運動系だけでなく,自律神経を介して循環系を見込み的に制御する。セントラルコマンドによる見込み制御は運動意図や運動努力に伴い生じると考えられている。しかし,循環制御におけるセントラルコマンドの実質的な役割やその神経機構の詳細は不明であった。 我々はセントラルコマンドによる骨格筋血流量の調節に焦点をあて研究に取り組んできた。その結果,セントラルコマンドは血管拡張作用の交感神経を介して運動に応じた骨格筋血流量調節を行うことを明らかにした。これにより酸素を必要とする骨格筋に効率的に血液を供給することに貢献していると考えられる。また,セントラルコマンドに関与する脳領域も探索してきた。一つは中脳にある腹側被蓋野が考えられる。この領域は運動時に活性化し,刺激により運動と同期した循環応答が生じた。さらに,我々は運動の計画にも関係すると考えられている前頭前野領域がセントラルコマンド特有の応答(運動開始前および運動努力に応じた活性化)を示すことを明らかにした。この応答形式は一次運動野等の応答とは異なるものであった。 本シンポジウムではこれらの研究成果を紹介し,臨床応用へ繋げるためにどのように展開すべきか考え,議論したい。
著者
石井 圭太 田辺 聡 三橋 利温 西元寺 克禮
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.376-380, 1994-10-31
被引用文献数
1

より多くの施設で使用可能な調理不要RI標識固形試験食の作成を目的として,インスタント焼きそばを用いて胃排出能検査を検討した。飲水と一緒に試験食を摂取させた場合は,胃排出曲線は液食パターンである指数関数曲線を示したが,飲水無しではlag phase後直線的に排出される固形食パターンを呈した。糖尿病性胃排出障害症例11例と健常人7例を対象に飲水無し法で胃排出能を比較検討したところ,全計測時期で有意に糖尿病群で胃排出遅延を認めた。以上から本試験食は飲水無しで施行することにより,RI標識固形試験食として臨床応用が可能であることが示唆された。