- 著者
-
石原 邦雄
- 出版者
- 日本家族社会学会
- 雑誌
- 家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.1, pp.43-47, 2010-04-30 (Released:2011-05-10)
- 参考文献数
- 5
シンポジウムの際のコメンテーターの立場から,当日の報告により得られた示唆と家族研究において考えるべきポイントとして,以下の2点を指摘した。第1に,統計的にも増加しつつある独身男性高齢者に典型的に見られるコミュニケーション能力の不足と,そこから生じる社会的孤立などの問題に注意を向ける必要があること,そのためにも,従来日本の家族研究では根付いていなかった,コミュニケーション論や相互作用論による研究が求められる。第2には,葬送の「個人化」に関連して,それが市場化・商品化と連動することによるネガティブな側面に着目することの重要性を再確認するとともに,より基礎的には,家族について何らかの制度論的,文化論的なアプローチによる研究が改めて求められているのではないか。