著者
岩井一晃 鈴木優 石川佳治
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.2, pp.1-8, 2012-07-25

本研究では,Wikipedia における著者の役割を推定する手法の提案を行う.著者の役割とは,ある著者が有益な削除や追加,残存を行ったかどうかを指す.削除や追加,残存が有益であるかどうかは,自動的に判定することが困難である.そこで,多くの著者から削除対象となる記述があったとき,その記述を行った著者は悪質であると考える.また,多くの著者から残存対象であると考えられる記述があったとき,その記述を行った著者は有益であると考える.ところが,有益な編集を行う著者と悪質な編集を行う著者では,他の著者に対する影響は異なるものとなるべきであると考える.そこで本研究ではリンク解析手法のひとつである SALSA を著者の編集グラフへ適用することによって,著者の役割を推定する.SALSA を利用することによって,著者に対してハブとオーソリティを計算することができるため,高い精度で著者の役割が推定できると考えられる.In this research, we propose method that Estimating the Role of author in Wikipedia. The Role of author means author's delete or author's remain is advantageous or not. It is difficult estimating automatically author's edit is advantageous or disadvantageous. Thus, we consider that a description to be deleted from many authors, the author was its description considered to be disadvantageous. Also, we consider that a description is considered to be the target residual from many authors, the author was its description considered to be advantageous. In addition, We consider that advantageous editing Author gives effect to other authors and disadvantageous editing Author gives effect to other authors should be different. Thus, we apply graph editing of the author SALSA,which is one of the link structural analysis,to estimate the role of the author. By taking advantage of SALSA, it is possible to calculate the hub score and authority score to the author. Considered for this purpose, we can estimate the role of the author with high accuracy.
著者
石川 佳治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.290, pp.37-42, 2006-10-10

本稿では,大量の移動オブジェクトの移動軌跡をクラスタリングし要約するための新たなアプローチを提案する.これまで,移動軌跡のクラスタリングに対していくつかの提案が見られるが,移動軌跡間の距離を定義することによりクラスタリングするアプローチが主流であった.しかし,それらの提案では,移動パターンの分布などを直接的には考慮しないため,移動パターンの全体的な特徴が必ずしも表現されないという問題点がある.提案手法では,移動パターンをマルコフ連鎖モデルによりモデル化し,情報ボトルネック法を拡張した情報理論的クラスタリングを行う.情報ボトルネック法では,情報量の減少が少ないような(すなわち,あいまい性の増加の程度が小さいような)クラスタリングを求めることを目的とする.このような考え方を,複数の移動軌跡の要約によるあいまい性の増加と関連づける.本稿ではその基本的な考え方について説明する.
著者
塚本 祐一 石川 佳治 北川 博之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.J87-D1, no.2, pp.202-215, 2004-02-01

近年,地図情報の電子化や位置計測技術の発展,携帯端末などの普及を受けて,携帯端末をもって移動する利用者やナビゲーション機器を備えた自動車などの移動オブジェクトに対し,移動状況に即した周辺情報の提供を行う手法の開発が求められている.一般に,移動オブジェクトに周辺情報を提供する場合,移動体の現在位置を中心として決められた範囲を検索をすることが考えられる.しかし,これまで通ってきた経路やこれから通る予定経路が明らかであれば,それらの情報を利用してより適切な情報が提供できる余地がある.そこで我々の研究グループでは,移動経路や移動速度などを考慮して移動オブジェクトに対して情報を提供するための空間データベース検索モデルの開発を行い,提案した検索モデルに基づく移動オブジェクトに対する周辺情報提供モデルを,商用のGISソフトウェア上で実装した.本論文はこのシステムの設計について述べ,実験をもとにその有用性について評価する.
著者
石川 佳治
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

クラウドコンピューティングでは,並列・分散環境において多数のコンピュータを連携してスケーラブルな情報処理が実現される.また,さまざまな情報の連携による高度なサービスが提供される.本研究では,このようなクラウド技術の発展を考慮に入れた大規模時空間データの管理・処理技術に着目した.時空間データの特性を踏まえたクラウド環境上でのデータベース問合せ処理技術や,クラウドシステムの利活用技術などを開発するのみならず,時空間・モバイルデータベースにおけるプライバシー保護などの応用技術についても開発を行った.
著者
キー ソァポァン 石川 佳治 北川 博之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.171, pp.143-148, 2005-07-06

本稿では, 時系列的な文書の新規性を考慮するインクリメンタルなクラスタリング手法について述べる.実験による評価により, インクリメンタルなクラスタリング手法が非インクリメンタル手法に比べ効率的であることを示す.加えて, 有効性に関する評価についても触れる.
著者
石川佳治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.37, pp.1-8, 2009-03-27

本稿では,2009年3月8日から10日に,静岡県掛川市 「ヤマハリゾートつま恋」 にて開催された 「第1回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム (DEIMフォーラム2009)」 についての報告を行う.
著者
近藤弘隆 鈴木優 石川佳治
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.527-528, 2014-03-11

Wikipediaには通常の記事に付随する「ノートページ」と呼ばれるページが存在し,議論や会話のために用いられる.記事が論争に発展しやすい話題である場合,ノートページでの議論が長くなる場合があり、ページのどこに議論の要点が存在するのかを把握するのが困難である.そこで本研究では編集者の発言の主ページへの反映度合いを重要度とし,それを算出する手法を提案する.どの発言者が重要であるのか,議論のどこに要点が存在するのかを重要度に基づいて利用者に提示することで,利用者がノートページを読み理解する際の負担を軽減することが期待できる.
著者
豊田 真智子 櫻井 保志 石川 佳治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.1058-1070, 2011-07-01
被引用文献数
1

本論文では,データストリームにおけるcross-similarityの問題を定義する.本論文の目的は,データストリームから類似する部分シーケンスペアを検出することである.シーケンス間の類似度を測定する距離尺度には,時間軸上でのスケーリングを考慮することができるダイナミックタイムワーピング(DTW:Dynamic Time Warping)距離を利用する.我々の提案するCrossMatchは,厳密にDTWに基づいた手法であり,データストリーム処理に適したワンパスアルゴリズムである.DTWを用いた純粋なアルゴリズムと比べて,CrossMatchは計算コストとメモリ使用量の大幅な低減化を実現する.理論的な分析を行い,提案アルゴリズムが精度を犠牲にすることなく類似する部分シーケンスペアを検出することを示す.また,実データと人工データを用いた実験から,CrossMatchがインクリメンタルにcross-similarityを検出することが確認された.
著者
飯島 裕一 石川 佳治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.781-794, 2010-06-01

移動ロボットやモバイルセンサネットワークなどの位置情報を利用したアプリケーションでは,最近傍問合せは重要な問合せとして位置づけられている.しかし,制御ノイズや測定誤差などの理由により問合せを行うオブジェクトの位置があいまいな位置情報としてしか得ることができない場合が存在する.そのため,位置のあいまい性を考慮した問合せ処理手法が必要とされている.そこで本論文では,問合せを行うオブジェクトの位置が正規分布の確率密度関数によってあいまいな位置情報として表現されている状況における最近傍問合せの処理手法を提案する.まず通常の最近傍問合せを拡張した確率的最近傍問合せを定義し,この問合せを効率的に処理するための戦略として二つの問合せ戦略を提案する.どちらの戦略も,問合せの対象となるオブジェクトの集合から明らかに問合せを満たさないといえるものを求めることで計算コストの削減を図るが,その方法が異なっている.これら二つの戦略にそれらのハイブリッド方式の戦略を加えた三つの戦略に対して,実験によって性能の比較を行った結果についても報告する.