著者
鶴田 燃海 石川 啓明 加藤 珠理 向井 譲
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.229-235, 2012-10-01 (Released:2012-11-22)
参考文献数
24
被引用文献数
2 4

ソメイヨシノはサクラを代表する園芸品種の一つで, 日本で古くから親しまれてきた。近年, 植樹を行う際には周りの野生種の集団の遺伝的多様性に配慮することが求められるようになり, ソメイヨシノにおいても適切な植栽のために野生種との交雑範囲の特定が望まれる。本研究は分子マーカーを用い, ソメイヨシノとサクラ属の野生種との花粉を介した遺伝子流動の実態を明らかにするとともに, 交雑に影響する要因の推定を行った。ソメイヨシノを結実させた花粉親の95%は, 母樹からおよそ300 m以内の野生種個体に同定された。このとき, 交雑には距離や個体サイズに加え, 開花の重なる日数が重要な要因であると一般化線形モデルから判断された。一方, 野生のサクラから採取した種子において検出された, 最も長いソメイヨシノからの花粉散布は約190 mであった。野生種個体がソメイヨシノと交雑する割合は, 周りのソメイヨシノの密度に加えて開花の重なる期間が影響することが示された。ただし, ソメイヨシノとの開花の重なる期間は種・年によって異なり, それによって交雑範囲も変動すると考察された。
著者
赤間 史隆 石川 啓 岩崎 啓介
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.28-31, 2009-06-25
被引用文献数
1

症例は53歳女性。平成16年7月12日、子宮体癌IIIa期の診断で準広汎子宮全摘術を施行後、TJ療法が2コース行われていた。平成17年7月7日、左下腹部膨隆を訴えて婦人科受診、子宮体癌再発の診断でTJ療法を2コース追加。その後、タール便が出現。胃内視鏡検査にて、巨大な潰瘍性病変を認め、外科紹介となった。手術では胃の腫瘍は横行結腸間膜を巻き込んでおり、横行結腸合併切除を行った。腫瘍は深い潰瘍を形成し、壁外性に増生しており、中心部に広範な壊死を伴っていた。病理所見では腫瘍は粘膜部から筋層、漿膜下に浸潤しており、cytoker-atin(AW1/3)及びCD34陽性で、ER、PgRは陰性を示し、epitheloid typeのsarcomaが疑われたが、子宮腫瘍でもstromal sarcomaの存在が疑われる部分を認め、子宮体癌からの転移と診断した。子宮体癌からの転移性胃腫瘍は、我々が検索した限りでは報告が無く、非常に稀と考えられるため、報告する。
著者
荒木 政人 角田 順久 飛永 修一 國崎 真己 岩崎 啓介 石川 啓
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.1190-1194, 2011-05-25
参考文献数
13
被引用文献数
2

症例は43歳,女性.1型糖尿病にて治療中.便秘と腹痛を主訴に前医受診し,左下腹部に強い圧痛を認めたため消化管穿孔が疑われ当院紹介.腹部CTにてfree airは認めず,S状結腸を先端として糞便塊を大量に含んだ著明な結腸の拡張を認めた.内科的治療に奏効せず,大腸内視鏡施行し粘土状の糞便を洗浄や鉗子にて破砕を試みると,周囲の腸管が全周性に深い潰瘍を形成していた.また,腹満による呼吸苦が出現したため緊急手術を施行した.開腹すると拡張したS状結腸は一部白苔を伴い,肛門側は虚脱していた.内視鏡にて潰瘍部を確認し,その肛門側にて腸管を切離.約1.6kgの便塊を押し出し,潰瘍形成した腸管を切除後,ハルトマン手術とした.術後経過は良好で,術後4カ月目に再入院し人工肛門閉鎖術を施行した.糞便性イレウスは透析患者や糖尿病を有する患者に発症しやすいが,穿孔が無く手術に至る例は少ない.文献的考察とともに報告する.
著者
重松 幸典 喜多 景治 薬師寺 弘倫 石川 啓 中田 治人
出版者
愛媛県立果樹試験場
巻号頁・発行日
no.22, pp.5-8, 2008 (Released:2011-01-24)

1)‘媛小春’は1994年に‘清見’に‘黄金柑’の花粉を交配して得られた交雑実生群から選抜したミカンタイプの新品種である。2)‘媛小春’の樹勢は強く、直立した樹姿となるが、枝先は下垂しやすい。トゲは当初は大きいが次第に小さくなり、安定した結実状態の側枝ではほとんど消失する。3)果実の大きさは130〜150g程度で、果形は球形で、果梗部に小さなネックを生じるものが多い。果皮は淡黄色である。4)果面の粗滑は中程度で、剥皮性は良い。浮き皮が発生しやすい。通常は無核であるが、周囲に花粉が多い品種があると種子が入る場合がある。5)果汁の糖度は11度以上で、クエン酸は1.1%程度となり、爽やかな風味があり、食味良好である。
著者
迫 悟 山根 乙彦 浜本 國治 渡辺 大直 林 隆敏 細川 大 石川 啓作 坂口 啓
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.186-190, 1983-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
26
被引用文献数
1 3

黒毛和種牛3頭が同一農家で同時期に尋常性白斑を発症する珍しい症例を認めた. 家畜における本症の報告はわが国では初めてである. 白斑の分布は鼻鏡, 下唇, 舌裏, 眼瞼, 乳頭および外陰部の無毛部皮膚に認められた. 白斑の病型はヒトにおける伊藤の分類に従うと限局型皮膚障害であり, 井村らの分類に従うと自己免疫型の皮膚障害であった. 白斑の持続期間は2年以上の今日も持続している. 臨床病理所見ではヒトの自己免疫型にみられる甲状腺機能亢進が全例に, 2/3例にγ-globulin値の高値を認めた.
著者
石川 啓 木村 秀也 吉川 省子
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.39-46, 2008 (Released:2008-01-25)
参考文献数
25
被引用文献数
2

ウンシュウミカン樹において発芽期前後に葉面散布された尿素の吸収・移行特性を明らかにするため,15Nトレーサー法を用いて2か年間の圃場試験とポット試験を行った. マシン油乳剤との混用の有無に関わらず,葉面散布された尿素は3月下旬においても旧葉から吸収され,6月中旬までにその57%が春季新生器官に移行した.ただし,根部への移行量は極めて少なかった.葉面散布された尿素の吸収量は,少なくとも3回散布までは散布回数に比例して増加し,その利用率は散布窒素量の約40%前後であった.これらのことから,3月下旬~4月上旬の尿素葉面散布は,窒素レベルが低下している樹に対して全窒素を増加させる効果があることが示された.
著者
西村 俊一 西野 節男 柿沼 秀雄 石川 啓二 三笠 乙彦 皆川 卓三
出版者
東京学芸大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1987

中国, 台湾, アメリカ西岸, オーストラリアについて, 華僑教育関係機関の資料収集を行い, 分析を進めた. また, 東アジア比較研究の観点から, 中国と台湾, 韓国と北朝鮮の僑民教育政策を比較するため, 北朝鮮の資料収集もあわせて行った.収集した文献・資料は, 既収集の関係資料及び学外機関の資料と共にカード化し, 約170ページに及ぶ『華僑教育関係文献・資料目録』(東京学芸大学海外子女教育センター刊)を刊行し, 研究機関等に配布すると共に, 研究者との交流に活用し始めている.また, 分析結果については, 次回日本比較教育学会において共同研究発表を行うべく, 準備・調整中である.第2年度は, 補充調査及び補充的な資料収集を行いつつ, 資料分析を本格化する計画である.