著者
岡田 靖子 竹見 哲也 石川 裕彦 楠 昌司 水田 亮
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報. B (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.B, pp.157-161, 2015-06

This study focuses on atmospheric circulation fields during the baiu in Japan with global warming under the RCP scenarios. We use projection experimental data conducted using a 20km-, 60km-mesh global atmospheric model (MRI-AGCM3.2). The baiu front indicated by the north-south gradient of moist static energy moves northward in present-day climate, whereas this northward shift in future climate simulations is very slow during May and June. In future late baiu season, the baiu front stays in the northern part of Japan even in August. As a result, the rich water vapor is transported around western Japan and the daily precipitation amount will increase in August. In the mid-troposphere, the horizontal warm advection roughly corresponds to upward vertical pressure velocity, and shows northward migration as seen in the lower troposphere. Especially, the RCP 8.5 scenario is delayed compared to the RCP 4.5 scenario. This tendency is evident in the north-south term of 500-hPa warm advection in particular. In conclusion, a late of the baiu rainfall band northward and an increase in precipitation during late of the baiu season are apparent from the point of view of atmospheric fields.
著者
石川 裕彦 京都大学防災研究所
雑誌
天気 = Tenki (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.62, no.7, pp.597, 2015-07-31
著者
石川 裕彦 横川 三津夫 浅井 清
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.158-163, 1987-02-28 (Released:2010-01-08)
参考文献数
14

This paper describes the reduction of computation time of a large sparse linear equations obtained by discretization of a three-dimensional Poisson's equation using the finite difference method. The equation is induced from wind field calculations, which are needed for evaluation of environmental consequences due to radioactive effluents.Various iterative methods, such aS ICCG, MICCG, ILUCR and MILUCR methods, are applied to solving linear equations and are compared with SOR method. The optimum value of the acceleration factor of SOR method can be obtained numerically according to atmospheric stability for each nuclear site, and the iterations are minimized by using this optimum value.The computation time for MICCG or MILUCR method is a half of that for SOR method. The ILUCR method is better than SOR method, because it does not use acceleration factor and the computation time is shorter. The use of vector computer drastically reduces the computation time, and all the iterative methods are applicable. A scalar computer, however, favors the use of MILUCR or MICCG methods because of a half of the computation time for SOR method.
著者
石川 裕彦 植田 洋匡 林 泰一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

西太平洋上で発生し日本付近まで北上してきた台風は、中緯度の大気の傾圧性の影響を受け、その構造が徐々に変化する。この過程で、さまざまなメソ擾乱が発生し、災害発生の原因となることが多い。本研究では、数値シミュレーションにより台風を再現し、その構造変化、メソ擾乱の発生、気象災害との関連を調べた。不知火海の高潮災害や豊橋の竜巻等の災害をもたらした1999年の台風18号は、日本海で一旦弱まった後再発達をとげたが、この様子を数値モデルで再現することに成功した。そして、再現結果を解析することにより、最盛期の台風の上層に形成される負渦位偏差が台風衰弱に重要であること、再発達期には対流圏上層のトラフにともなう正の渦位とのカップリングが生じ、これが再発達の要因となっていることを解明した。さらに、豊橋市付近で発生した竜巻に着目した数値計算を行い、竜巻発生場所の周辺で、対流潜在位置エネルギー(CAPE)とストーム相対ヘリシティ(SREH)との積であるエネルギーヘリシティ示数(EHI)が大きな値を持つことが示された。これは、将来、台風に伴う竜巻発生を予報できる可能性を示唆した者である。近畿地方、特に奈良盆地に大きな強風害をもたらした1998年の台風7号に関しては、消防署等も含むさまざまな期間から集めた気象観測データを解析し、台風に伴う地上風を詳細に調べた。これらの強風は、台風の背面で発生していること、強風域はバンド状のメソ降水系に対応していることを明らかにした。さらに、この強風域は台風の循環と中緯度の西風との号流域にから発生していることが数値実験で示された。秋に襲来する台風にともないしばしば観測される時間スケールの短い急激な気圧低下(pressure dip)に関しても、その発生頻度や性状を観測データからあきらかにするとともに、その発生メカニズムを数値シミュレーションで明らかにした。
著者
石川 裕彦 竹見 哲也 中北 英一 丸山 敬 安田 誠宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

IPCC5に向けた温暖化研究では、従来からの気象学的気候学的知見に加え、極端現象など災害に直結する影響評価が求められている。本研究ではIPCC4で実施された温暖化予測計算のデータアーカイブに基づいて、疑似温暖化実験による力学ダウンスケーリングを行い、台風などの極丹下現象による災害評価を行った。台風に関しては「可能最悪ケース」の概念を導入し、ある事例に関して経路が少しずつ異なる事例を多数計算し、その中から最大被害をもたらす事例を抽出する手法を開発した。これらの事例について、河川流出計算、高潮計算、強風被害の見積もり等を実施して、被害発生情報を作成した。
著者
石川 裕彦 堀口 光章
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1.データ取得:風雲2C号からのデータ受信を継続したが、2007年7月ころより日中のデータにノイズが見られるようになった。これは衛星の軌道が南北に振動する為であることがわかった。2008年3月日中のデータが取得できるようにアンテナの調整を行った。2.梅雨前線活動や熱帯降水域の広域解析等:ベンガル湾から日本にいたる梅雨前線の活動度の変動を、広域雲画像から得られる対流活動を指標に解析した。対流活発域が前線上を東進する様子を時空間解析で示すことができた。また、赤道収束対上を東進するMJOにともなう雲域お移動を、同じく時空間解析で示した。また、2005年以降蓄積されてきたデータを用いて、チベット高原の地表面温度の算出とその年々変動の解析を行った。合わせて雲活動の季節変化の解析も行った。3.東南アジアモンスーン期の集中豪雨の監視:モンスーン期の東南アジアを対象に、顕著な被害をもたらした被害事例に関して、衛星観測データに基づく現象の記述を行った。また、2007年11月にバングラディッシュを襲ったサイクロンSidrの雲画像解析を行った。4.防災プロダクツのweb公開:情報発信のために、webサーバーを立ち上げ、このサーバー上で赤外窓領域と水蒸気チャネルのフルディスク画像、インド領域、インドネシア領域、日本域の切り出し画像のweb公開を行った。また防災プロダクツとして、発達した積乱雲の指標となる水蒸気チャネルと窓領域との輝度温度差のデータを作成し、その出現頻度などの解析を試みた。5.成果の公表:自然災害学会、日本地球惑星科学連合大会、及び国際WSで本研究の成果の公表を行った。またミャンマを襲ったサイクロンNargisの画像は、NHK(クローズアップ現代)、TBS(報道特集)、京都新聞等のマスメディアを通じて、紹介された。