著者
砂田 利一
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.193-203, 1987-07-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
15
著者
小田 忠雄 高木 泉 石田 正典 西川 青季 砂田 利一 森田 康夫 板東 重稔 新井 仁之 堀田 良之
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的および実施計画に沿って,研究代表者,研究分担者および研究協力者は,多様体に関する数理科学的諸問題を次のように研究した.1. トーリック多様体を代数幾何・代数解析・微分幾何の見地から研究し,交差コホモロジー,トーリック多様体への正則写像,トーリック・ファノ多様体の分類および複素微分幾何学的計量に関して新知見を得た.2. 多様体を数論・数論的幾何の見地から研究し,アーベル曲面等の有理点の分布,2次元エタール・コホモロジーに関するテート予想,クリスタル基本群・p進ホッジ理論に関して新知見を得た.3. 非アルキメデス的多様体の代数幾何学的研究を行い,剛性に関する新知見を得た.4. 可微分多様体,リーマン多様体,共形平坦多様体の大域解析的性質,双曲幾何学的性質,基本群の離散群論的性質を研究して数々の新知見を得た.5. 多様体上のラプラシアンやシュレーディンガー作用素のスペクトルの,量子論・準古典解析的研究および数理物理的研究を行うとともに,グラフに関する類似として離散スペクトル幾何に関しても興味深い数々の結果を得た.6. 生物等の形態形成を支配すると考えられる反応拡散方程式等の非線形偏微分方程式系を多様体上で大域的に研究し,安定性に関する新知見を得た.7. ケーラー多様体上のベクトル束の代数的安定性とアインシュタイン・エルミート計量に関する複素幾何学的研究を行い,いくつかの新知見を得た.8. 擬微分作用素・極大作用素・有界線形作用素・作用素環等を実解析・複素解析・フーリエ解析的側面から研究し,数々の新知見を得た.
著者
浪川 幸彦 土屋 昭博 砂田 利一 谷川 好男 北岡 良之 向井 茂
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.特別に意味にある双有理写像、有理写像の現われる空間として、代数曲線のモジュラス空間、および代数曲線上の主束のモジュラス空間の幾何学を展開した(浪川、向井)。これはその上のいわゆるヘッケ作用素の理論を展開する準備である。モジュラス空間はグラスマン多様体を用いて構成される。向井の方法はベクトル束のモジュラス空間を用い、浪川のそれは以下に述べるように量子力学的なものである。2.2次元場の量子論の方法を応用してモジュラス空間を作り、その構造を調べる理論を展開した(浪川、土屋、砂田)。これは微分幾何学でのドナルドソン理論に対応するものである。これからその上の保型式式の構造を調べる予定である(浪川、北岡、谷川)。またアフィン・リ-環の表現論、特にN=2の超共形場理論を用いることにより、脇本表現に関するフェイギン・フレンケルの理論を幾何学的に展開できることが分かり、目下その方向で研究を進めている(土屋)。3.森氏等との3次元特異点の研究そのものは、殆と進まなかったが、本年は国際数学者会議が京都であり、各国の数学者とその交流がてきた。特に他の研究グル-プの最新結果について直接情報を得ることができ、今後の展開のアイザアを得た。準備として、最近斎藤恭司氏(京都大学数理解析研究所)の原始積分の理論を同氏らと推進し始めている。これは同氏の理論を場の量子論的に見て、特異点は運動エネルギ-以外の高次ポテンシャルに由来するとみなすものである。
著者
黒川 信重 中村 博昭 斎藤 毅 大島 利雄 砂田 利一
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

ゼータ関数の研究を数論的側面と幾何学的側面から行った。数論的側面では,ゼータ関数や三角関数を拡張した多重ゼータ関数や多重三角関数を構成し,ゼータ関数やエル関数の特殊値の表示を得,セルバーグ・ゼータ関数のガンマ因子を決定した。さらに代数多様体のゼータ関数の関数等式を明確にするために,代数多様体のエル進コホモロジーの研究を行った。とくに行列式表現を研究し,定数係数の場合には,それがド・ラム・コホモロジーの判別式で表せることがわかった。また,層係数の場合には相対標準類とヤコビ和の定める代数的ヘッケ指標を使って表す公式を得た。類似の問題として局所体上の代数多様体のコホモロジーのイプシロン因子について研究し,ド・ラム・コホモロジーの判別式で表せることを示した。これらにより,代数多様体のゼータ関数の関数等式の構造が明確になった。また,関連する研究として,代数的基本群に関して幅有限群としての研究を行った。一方,幾何学的側面からは非コンパクトなリーマン多様体のゼータ関数の零点および極の研究を行った。これはスペクトルの問題に言いかえられる。今までに知られていたことはほとんどがコンパクトなリーマン多様体に帰着されることであったが本研究においては,非コンパクトなリーマン多様体の場合に古典的な周期的シュレジンガー作用素をモデルとして無限次元ユニタリ表現の構造と磁場から定まる群環の構造との関連を明らかにし,スペクトルの幾何学的構造への反映の仕組みを明確にした。このようにして,ゼータ関数の数論的側面および幾何学的側面からの相補的成果を得た。