著者
土屋 昭博
出版者
一般社団法人 日本数学会
雑誌
数学 (ISSN:0039470X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.97-124, 1992-05-18 (Released:2008-12-25)
参考文献数
76
著者
上野 健爾 土屋 昭博 河野 俊丈 伊達 悦朗 神保 道夫 柏原 正樹 松本 尭生 三輪 哲二
出版者
京都大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1992

本研究は重点領域研究「無限自由度の可積分系の理論とその応用」の成果取りまとめのために行われた。平成4年度から5年間にわたって行われた本重点領域研究では無限自由度の可積分系の理論を中心に数多くの重要な成果が得られたが、これらの成果を有機的にまとめ、今後の研究へのひとつの指針を与えることが本研究の目指したものである。具体的には2次元格子模型、共形場理論、量子群、3,4次元トポロジー、無限自由度の可積分系と関係した代数幾何学に関してさらに研究を進め、今までに得られた成果をさらに高い立場から見直すことを行った。この結果、Calabi-Yau多様体のミラー対称性や量子コホモロジー群、量子群の表現と古典関数のq類似、3,4次元多様体の位相不変量などに関する研究において新しい知見が得られた。さらにこれらの成果は、非線型幾何学とも呼ぶべき新しい幾何学が背後にあることを強く示唆している。特に深谷のグループはCalabi-Yau多様体のミラー対称性を幾何学的に新しい見地から論じ、今後の研究に重要な一歩を踏み出した。また本年度の研究によって、神保のグループを中心に離散的Painleve方程式が幾何学的な構造を持つことが明瞭にされ、可積分系のもつ幾何学的構造の豊かさが改めて明らかになった。今後は、本重点領域研究の成果に基づき、非線型幾何学の建設へ研究が大きく前進していくことが期待される。
著者
浪川 幸彦 土屋 昭博 砂田 利一 谷川 好男 北岡 良之 向井 茂
出版者
名古屋大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.特別に意味にある双有理写像、有理写像の現われる空間として、代数曲線のモジュラス空間、および代数曲線上の主束のモジュラス空間の幾何学を展開した(浪川、向井)。これはその上のいわゆるヘッケ作用素の理論を展開する準備である。モジュラス空間はグラスマン多様体を用いて構成される。向井の方法はベクトル束のモジュラス空間を用い、浪川のそれは以下に述べるように量子力学的なものである。2.2次元場の量子論の方法を応用してモジュラス空間を作り、その構造を調べる理論を展開した(浪川、土屋、砂田)。これは微分幾何学でのドナルドソン理論に対応するものである。これからその上の保型式式の構造を調べる予定である(浪川、北岡、谷川)。またアフィン・リ-環の表現論、特にN=2の超共形場理論を用いることにより、脇本表現に関するフェイギン・フレンケルの理論を幾何学的に展開できることが分かり、目下その方向で研究を進めている(土屋)。3.森氏等との3次元特異点の研究そのものは、殆と進まなかったが、本年は国際数学者会議が京都であり、各国の数学者とその交流がてきた。特に他の研究グル-プの最新結果について直接情報を得ることができ、今後の展開のアイザアを得た。準備として、最近斎藤恭司氏(京都大学数理解析研究所)の原始積分の理論を同氏らと推進し始めている。これは同氏の理論を場の量子論的に見て、特異点は運動エネルギ-以外の高次ポテンシャルに由来するとみなすものである。
著者
土屋 昭博 菅野 浩明 粟田 英資 太田 裕史 中西 知樹 林 孝宏
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

Zhu の有限性条件をみたす頂点作用素代数の表現のつくるアーベル圏がArtin かつNoethern であり、また既約対象が有限個であることを示した。さらに、対応する共形場理論を使ってこのアーベル圏がbraided tensor 圏の構造を持つことを示した。典型的な例として、頂点作用素W(p) について、その表現のつくるアーベル圏が一の巾根における制限されたs12(C)型の量子群の表現のつくるアーベル圏と同値であることを示した。