著者
神沼 靖子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.970-975, 2007-03-15
被引用文献数
4

情報システム(IS: Information Systems)は社会や企業のさまざまな場面において人間活動を支援する重要な役割を担っている.このためIS 領域の課題は多面的であり,その研究は広範囲にわたっている.そのうえ,IS の問題解決は,技術的な側面から社会的な側面まで幅広く,研究方法も多様である.一方で,IS 論文をいかに書くかに関する悩みをかかえている研究者や実践者も多い.このような状況のもと,本論文では,IS 領域における論文の特質について分析し,さらにIS 視点での論文の書き方および有用性評価について考察する.The information system supports various human activities in society and enterprise. Therefore, the problem concerning the information system is various, and the research is also carried out in the wide domain. In addition, technical problem and social problem will be included for the theme in the information systems research, and the research method is also various. On the other hand, there are many practitioners and researchers who worry on how the information systems paper should be written. In this paper, under such background, characteristics of the paper in the information systems field are analyzed. In addition, writing method and usefulness evaluation of the paper are considered.
著者
神沼 靖子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.63-69, 2005-03-15
被引用文献数
3

情報処理学会論文誌として「情報システム論文」特集号(3月号)を企画し,12件の多彩な論文を掲載することができた.このような情報システムの特集企画は今回が始めてであるが,これにより情報システムの見方を広く関係者に示すことができたと考える.これを機に,本特集号が生れるまでの経緯を述べ,情報システム論文に必要な事柄について考える.よい情報システム論文を関係者が共有するために,情報システム特有の論文採択基準を再認識することも必要であると考える.そこで,本報告では,本特集号への投稿論文について分析し,その編集活動を総括することによって,これからの情報システム関連論文の更なる発展の一助としたい.)The IPSJ Journal `Special Issues on Information Systems` was planned, and 12 various papers were reported. Though it was the planning which started such special issue, it was possible to show the viewpoint of the wide information systems. In this opportunity, the history until it produces this special issue is described, and the matter necessary for the information systems paper is considered. It is also necessary to understand the information systems peculiar adoption level in order to share the good result. In this report, result of analysis of various papers contributed to this special Issue is described.)
著者
新目 真紀 神沼 靖子
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.6, pp.1-6, 2011-04

情報システムの評価に関する議論がなされているが,評価の対象が曖昧であるために情報の共有が不十分である.そこで,評価の対象を二つの視点に絞って議論する.一つは開発した情報システムの有効性評価であり,もう一つは情報システム研究における評価方法の妥当性に関する評価である.我々は,この両方を視野に入れた研究方法としてアクションリサーチに注目し,質的評価の視点での有効性について分析することを考えた.本論文では,アクションリサーチによる研究のサーベイから得られた知見をもとに有効性に関する考察を述べる.The discussion concerning the evaluation of the information system is not performed enough. Because the object of the evaluation is vague as the cause, the sharing of information might be insufficient. Then, The purpose of the evaluation is focused to two viewpoints and discusses it. One is an evaluation concerning the effectiveness, and another is the validity of the evaluation method. We paid attention to the action research, and analyzed effectiveness in the aspect of a qualitative evaluation. In this report, consideration concerning effectiveness is described based on the finding obtained from the survey of the research by the action research.
著者
神沼 靖子 宮川 裕之
雑誌
研究報告 情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.4, pp.1-6, 2012-05-28

ISECON は情報システム教育の質向上を目的として,2008 年度に創設したコンテストである.ISECON2011 で 4 回目となった.第 4 回は,2011.10 に公募が始まり,2012.3.10 の最終審査で終了した.そこで,本コンテストの経過をまとめて報告するとともに,ここに至る 4 回のコンテストを総合的に分析する.このレポートは,審査委員長と実行委員長の視点でまとめた内容である.本コンテストでは教育における PDCA サイクル (plan-do-check-act cycle) の有効性が評価され,ISECON の質の向上も確認できた.The ISECON (Information Systems Education CONtest) was started for the purpose of the quality improvement of the education in 2008. ISECON2011 are the fourth contests. The entry to this contest began at October, 2011, and the last examination was held on March 10th, 2012. Then, the transition of the contest of 4 times is synthetically analyzed, and the progress of present contest is reported. The content of this report is summarized in the viewpoint of examination chairman and execution chairman. In this contest, the effectiveness of PDCA cycle (plan-do-check-act cycle) in the education was evaluated, and the improvement in the quality of ISECON was able to be confirmed.
著者
神沼 靖子 福島 又一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.42, pp.9-16, 1999-05-21
被引用文献数
3

このレポートは,知的障害者の自立訓練学習にコンピュータを活用した情報システムを導入することが可能であるかという問題について,フィールドでの分析を行なった研究報告である。このフィールド調査では,プロトタイプの改善を繰り返しながら,アクションリサーチを行なっている。ここでは自立訓練学習を人間活動システムの枠組みで捉え,個々のシステム環境における問題として,'これは何のシステムか'及び'そのシステムの目標は何か'という視点で情報を分析している。具体的な事例として,買い物訓練の学習支援,帰省訓練の学習支援,織物作成における学習支援,意思伝達支援などの問題を取りあげる。The focus of this paper is on the applicability of field experiments with action research to developing self-establishment system for mentally handicapped peopole. The context is a study of a fundamental issue in the field of human activity systems: 'What is the system?' and 'What are its objectives?' In this paper, we present several exapmles of the information system development exercises in rehabilitative training for heavy degree mentally handicapped people as practices in research. The examples of prototype are systems for purchase training, systems for homecoming training, systems for promoting mutual understanding, systems for fabric making and so on.
著者
神沼 靖子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.69, pp.37-39, 2007-07-07

社会インフラの重要な構成要素となっている情報システムとは何かを明らかにするために、いろいろな切り口でその姿を可視化することを試みる。はじめに、コンピュータを活用する情報システムが何故生れたか、何故必要かを考える。そして、目的に適い、人間の環境に馴染む情報システムを何時、誰が、何処に、どのような方法で創っているのかについて紐解く方法を検討する。The information system which is an important component of the society infrastructure is clarified. They are visualized in various sides in order to facilitate the understanding. First, "why the information system which utilizes the computer was produced", and "why it is necessary" are considered. Next, how information systems which harmonize with purpose and human environment are made, is described. In addition, they are described on who makes in when, where, and how.
著者
浦 昭二 宮川 裕之 眞鍋 龍太郎 細野 公男 福川 忠昭 神沼 靖子
出版者
慶応義塾大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

本研究の目的は、情報システム学の概念を確立することと、それに基づいた教育カリキュラムを構築することである。本年度は、前年度にまとめた、情報システムの定義・目的・特徴・機能・性格,情報システムの問題を考える際の留意事項、情報システム教育の方向などに関する基本的な考え方に基づいて、情報システム学の体系、情報システム教育のカリキュラム、当該カリキュラムに含まれる各科目の内容を検討し最終案をまとめた。まず情報システム学の体系は、情報システムの「企画」、「開発」、「運営」、「概念」、「社会的影響」の5つの側面から構成されるとし、それぞれの特徴と相互関連を明らかにした。このうち最初の3つは、情報システムの構築・活用に直接結びつくことが多い側面であり、後の2つは情報システムの基本概念およびそれと社会との関わりを扱い、それぞれ前の3つの要素とは異なった側面(次元)をもつものである。この体系に基づいて、情報システム教育の中心となるコア領域と参照学問領域の2つの領域から構成される教育カリキュラムを構築した。このうち参照学問領域は、情報システムの人間・社会的側面に接近するために既存の学問領域に属する知識・技術を情報システム学の視点から捉えた科目群と、情報システムの構築・把握などに関わる各種の自然科学・工学的な知識・技術を扱う科目群とに大別した。カリキュラムを構成する科的としては、コア領域に属するもの29科目、参照学問領域に属するもの32科目の合計61科目を設定した。さらに、情報システム教育の実学的特徴に配慮して、上述の領域を横断的に捉える「事例調査」と「プロジェクト研究」の2つを設けた。これらの科目は、動機付けのための基礎科目(19科目)と専門科目(43科目)とに分けられている。また、各科目の概要を、位置付け、狙い、アプロ-チ、内容、レベルの観点から記述し、さらに具体的なコ-ス例を複数個作成した。