著者
畠山 薫 貞升 健志 甲斐 明美
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.238-243, 2011-05-20 (Released:2015-04-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

1950 年代に東京都内で分離された狂犬病ウイルス 10 株と日本の狂犬病固定毒株である小松川株,高免株,西ヶ原株ならびに動物用ワクチン株 RC-HL 株および世界各地の狂犬病ウイルス 86 株の核タンパク(N)遺伝子領域における系統樹解析を行った.東京都で分離された株は,2 グループ (Tokyo 1,Tokyo 2) に分類された.2 グループとも,ヨーロッパ,アフリカ,アジア,アメリカからなる広域クラスターに属していた.Tokyo 1 グループは,1930 年代,40 年代にアメリカ合衆国西海岸のイヌから分離された株とサブクラスターを形成し,Tokyo 2 グループはロシアハバロフスクの racoon dog やバイカル湖地域の stepped fox から分離されたウイルスと同じクラスターを形成する小松川株と近縁であった.これらのことから,1950 年代に東京都内で流行していた狂犬病ウイルスは,ロシアおよびアメリカ由来のウイルスと関連性があったものと推測された.
著者
千葉 隆司 貞升 健志 長島 真美 熊谷 遼太 河上 麻美代 浅倉 弘幸 内田 悠太 加來 英美子 糟谷 文 北村 有里恵 小杉 知宏 鈴木 愛 永野 美由紀 長谷川 道弥 林 真輝 林 志直 原田 幸子 藤原 卓士 森 功次 矢尾板 優 山崎 貴子 有吉 司 安中 めぐみ 内谷 友美 神門 幸大 小林 甲斐 長谷川 乃映瑠 水戸部 森歌 三宅 啓文 横山 敬子 吉田 勲 浅山 睦子 井田 美樹 上原 さとみ 小野 明日香 河村 真保 小西 典子 小林 真紀子 齊木 大 下島 優香子 鈴木 淳 西野 由香里 村上 昴 森田 加奈 吉丸 祥平 木本 佳那 新藤 哲也 堀田 彩乃 小林 千種 大塚 健治 吉川 聡一 笹本 剛生 稲葉 涼太 小峯 宏之 佐伯 祐樹 坂本 美穂 塩田 寛子 鈴木 淳子 鈴木 俊也 高久 靖弘 寺岡 大輔 中村 絢 成瀬 敦子 西山 麗 吉田 正雄 茂木 友里 飯田 春香 伊賀 千紘 大久保 智子 木下 輝昭 小杉 有希 斎藤 育江 高橋 久美子 立石 恭也 田中 優 田部井 由紀子 角田 徳子 三関 詞久 渡邊 喜美代 生嶋 清美 雑賀 絢 鈴木 仁 田中 豊人 長澤 明道 中村 麻里 平松 恭子 北條 幹 守安 貴子 石川 貴敏 石川 智子 江田 稔 岡田 麻友 草深 明子 篠原 由起子 新開 敬行 宗村 佳子 中坪 直樹 浜島 知子 野口 俊久 新井 英人 後藤 克己 吉原 俊文 廣瀬 豊 吉村 和久
出版者
東京都健康安全研究センター
雑誌
東京都健康安全研究センター研究年報 (ISSN:13489046)
巻号頁・発行日
no.71, pp.39-46, 2020
著者
下島 優香子 井田 美樹 西野 由香里 石塚 理恵 黒田 寿美代 仲真 晶子 平井 昭彦 貞升 健志 甲斐 明美
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.209-214, 2015-12-30 (Released:2016-01-08)
参考文献数
28

2010~2013年に都内の食肉処理場および小売店で購入した牛内臓肉104検体について,糞便系大腸菌群,VTEC,C. jejuni,C. coli,SalmonellaおよびL. monocytogenesの調査を行った.その結果,糞便系大腸菌群は, 85検体(81.7%)が陽性であった.VTECは25検体(24.0%)から31株検出された.そのうち1検体は糞便系大腸菌群陰性であった.血清群O157は 17検体(18株),O26が1検体(1株),O103が1検体(1株),その他の血清群(O1,O28,O91,O153,OUT)が7検体(11株)から検出された.付着遺伝子保有状況を調べた結果,eaeは血清群O157,O26,O103の20株が陽性,saaは血清群O28,O153,OUTの5株が陽性であった.aggRはすべての株が陰性であった.C. jejuniは42検体(40.4%)から50株,C. coliは16検体(15.4%)から16株が検出された.Salmonellaは4検体(3.8%)から5株検出され,血清群はO4群が4株(いずれも血清型Derby),O3, 10群が1株(血清型Amsterdam)であった.L. monocytogenesは22検体(21.2%)が陽性であった.以上の結果から,牛内臓肉は腸管出血性大腸菌を含む食中毒菌に高率に汚染されていることが明らかとなった.
著者
宗村 佳子 木本 佳那 小田 真悠子 奥津 雄太 加藤 玲 鈴木 康規 齊木 大 平井 昭彦 秋場 哲哉 新開 敬行 貞升 健志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.260-267, 2017-12-25 (Released:2017-12-28)
参考文献数
35
被引用文献数
6

2017年2月,東京都内で食中毒が4事例発生した.患者は10の学校にわたり,このうち7校および1校では,それぞれ別の共同調理場で調理された給食を提供されており,2校では自校で調理した給食を喫食していた.全事例に共通して提供されていたものは,同一業者が2016年12月に製造した刻みのりであった.喫食者4,209名のうち,1,193名(28.3%)が胃腸炎症状を呈し,リアルタイムRT-PCRによる検査の結果,4事例の患者265名中207名(78.1%)からノロウイルス(NoV)GIIが検出された.刻みのり31検体が検査に供されたが,このうち7検体(22.6%)がNoVGII陽性となった.刻みのり7検体と4事例に由来する患者20検体のNoV ORF1/2ジャンクション領域302塩基の配列は一致し,その遺伝子型はGII.17であった.また,次世代シークエンサーによる解析により,患者検体からほぼ全長(7,420塩基)のNoV塩基配列が得られたが,同株は系統樹解析でHu/GII/JP/2015/GII.P17_GII.17/Kawasaki308株と同じクラスターに属した.これらの結果から,今回の4事例は同一刻みのりを感染源としたNoVGII.17によるものであると断定された.刻みのり検体の水分活性は0.119~0.129であり,NoVは乾燥状態でも2か月間は感染性を失わないことが疫学的に示された.本事例の解決を発端として,刻みのりが関連したNoVGII.17による大規模なdiffuse outbreakの国内発生が明らかとなった.
著者
貞升 健志 吉村 和久
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.314-323, 2022-10-31 (Released:2022-11-18)
参考文献数
25

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査は,全国の地方衛生研究所(地衛研)を中心に2020年 1 月末にほぼ整備された.当初は国立感染症研究所の病原体検出マニュアルに準じたコンベンショナルPCR法と塩基配列解析を組み合わせた核酸増幅検査法であったが,直ぐにリアルタイムPCR法による方法(感染研法)に変更となり,検査試薬も感染研から配布された. 3 月以降,民間検査機関での新型コロナウイルス検査が開始され,地衛研としても,民間検査機関における検査の立ち上げに協力した.その後,感染研法に変わる種々の検査試薬が厚生労働省で体外診断用医薬品として承認されるようになった.2020年12月には,感染力が強いSARS-CoV-2の変異株が出現した.WHOの懸念される変異株(Variants of Concern; VOC)に指定されたアルファ株等の変異株の同定や解析のために,地衛研においても,変異株スクリーニング検査やゲノム解析に関与することとなった.その後の流行は,変異株の変遷とともにあり,地衛研の業務としても,次世代シーケンサーによるゲノム解析や変異株サーベイランスが加わった.本稿では,地方衛生研究所での検査体制の構築から変異株に対する対応を含めて,この 3 年間の出来事を記述する.
著者
関 なおみ 貞升 健志 甲斐 明美 中島 由紀子 渡瀬 博俊 上田 隆 前田 秀雄 小林 一司 石崎 泰江 広松 恭子 岩下 裕子 本 涼子 神谷 信行 栗田 雅行 田原 なるみ 長谷川 道弥 新開 敬行 林 志直
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.238-250, 2015

<b>目的</b> 2014年 8 月,代々木公園が感染地と推定されるデング熱が発生した。これに対し,東京都の各担当部署が関係自治体と協力して対策を講じた。本経験は公衆衛生活動として他自治体や関係機関に共有すべき貴重な事例であると考え,報告する。<br/><b>方法</b> 8 月26日~11月 5 日に東京都が国内感染のデング熱流行に対して実施した対策について,1)リスクコミュニケーション・情報共有,2)患者への対応,3)蚊への対策,4)検査対応,の 4 分野について経過をまとめ,得られた結果について分析を行った。患者の疫学情報については2014年第 1~44週保健所受理分を対象とした。デング熱の国内感染が疑われる患者の血清および蚊検体の検査は東京都健康安全研究センターで実施した。<br/><b>結果</b> 都庁内に設置されたデング熱専用相談電話窓口に寄せられた相談件数は3,005件であった。東京都が実施した報道発表回数は,患者届出受理数および専用相談電話実績について39回,蚊の対策について 9 回であった。<br/> 東京都における国内感染症例は108件(男性62.7%,年齢中央値31.1(3~77)歳)で,2014年 第35~44週に報告されており,第36週がピーク(35件)となっていた。推定発症日の分布は 8 月 9 日~10月 7 日,推定感染日の分布は 8 月 3 日~10月 3 日であった。このことから,7 月下旬には代々木公園内にデング熱ウイルスに感染した蚊が複数生息していた可能性が示唆された。<br/> 代々木公園で週 1 回実施された蚊の調査(全11回のべ200トラップ)で捕集された蚊の総数は1,152頭で,種の同定においてヤブカ属が73.7%(856頭)であった。ヤブカ属を対象としたデングウイルス検査では,9 月 2 日,9 月 9 日,9 月16日分について陽性となった。<br/> デング熱の国内感染が疑われる患者の血清241件について確定検査を実施し,うち78件が陽性(国内感染症例73件,輸入症例 5 件)となった。ウイルスが検出された国内感染症例の血清および蚊検体の遺伝子解析では,すべて血清型 1 型 遺伝子型I型であり,全株の相同性が埼玉県在住の初発患者から分離されたウイルスの遺伝子配列と99%以上一致し,都内で感染したデング熱患者の原因ウイルスは単一のデングウイルスであった可能性が高いと考えられた。<br/><b>結論</b> 2020年のオリンピック,パラリンピック開催を予定している東京都としては,デング熱をはじめとした蚊の媒介する輸入感染症の国内発生について対策の強化が必要と考えられた。
著者
下島 優香子 西野 由香里 福井 理恵 黒田 寿美 鈴木 淳 貞升 健志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.211-217, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
21
被引用文献数
8

サルモネラ汚染実態把握を目的として,2009~17年に東京都内に流通した食肉からのサルモネラの分離,血清型別,薬剤感受性試験を行った.サルモネラは鶏正肉353/849検体(41.6%),豚正肉9/657検体(1.4%),牛正肉1/517検体(0.2%),鶏内臓肉6/8検体(75.0%),豚内臓肉43/142検体(30.3%),牛内臓肉4/198検体(2.0%)から検出された.血清型は,国産鶏肉はS. Infantis,S. Schwarzengrundの順に多く,年次推移としてはS. Infantisの減少とS. Schwarzengrundの増加が認められた.輸入鶏肉はS. Heidelberg,豚肉はS. Typhimurium,O4:i:-,牛肉はS. Derbyが多かった.薬剤感受性は,全種類の食肉でTC耐性率が高く,カルバペネム系およびフルオロキノロン系薬剤には耐性は認められなかった.セフォタキシム耐性菌は14株,ESBL,AmpC産生菌はそれぞれ7株および23株,いずれも鶏肉から検出された.食肉の種類によりサルモネラの血清型,薬剤感受性が異なることが示された.
著者
下島 優香子 神門 幸大 添田 加奈 小池 裕 神田 真軌 林 洋 西野 由香里 福井 理恵 黒田 寿美代 平井 昭彦 鈴木 淳 貞升 健志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.178-182, 2020-10-25 (Released:2020-10-30)
参考文献数
14
被引用文献数
6

パスチャライズド牛乳によるBacillus cereus食中毒のリスクを把握する目的で,汚染実態および分離菌株のセレウリド産生性を調査した.国産パスチャライズド牛乳14製品101検体中66検体(65.3%)からB. cereusが分離された.分離されたB. cereus90株についてces遺伝子を調査した結果,3検体(1製品)由来3株が陽性であった.分離されたces遺伝子陽性株,標準菌株および食中毒事例由来株の計3株を牛乳に接種して32℃で培養後,近年開発されたLC-MS/MS法を用いて測定を行った結果,いずれもセレウリドの産生を確認した.LC-MS/MS測定は,牛乳中でB. cereusが産生したセレウリドの検出にも有用であった.今回,国産パスチャライズド牛乳におけるB. cereus汚染実態およびセレウリド産生性B. cereus株の存在を明らかにし,牛乳中のLC-MS/MS法によるセレウリド検出法の妥当性を確認した.
著者
千葉 隆司 高橋 由美 上原 さとみ 貞升 健志
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.69-75, 2016
被引用文献数
1

<p>食品等から分離した酵母について,塩基配列解析法と市販同定キット(API 20C AUX)の同定結果を比較した比較した.1)酵母84株の酵母についてrDNA2領域の塩基配列解析法による同定を行った結果,基準株との塩基配列比較により,全ての株について同定が可能であった.2)API 20C AUX と塩基配列解析法の結果一致率は,種レベルでは57.1%,属レベルでは82.1%であった.3)API 20C AUXと塩基配列解析法の一致率について,キットが示す同定確率を基に比較したところ,同定確率が80%以上では属レベル,90%以上では種レベルで一致する確率が高くなる傾向が見られた. また,塩基配列解析で<i>Candida intermedia</i>/<i>C. pseudointermedia</i> を示した株の一部は,API 20C AUX 上では同定確率90%以上で<i>T. mucoides</i> を示した.以上の結果から,食品由来の酵母の同定にAPI 20C AUXを利用するには,キットが示す同定確率などを指標にするとともに,rDNA2領域の塩基配列解析法を併用することが望ましいと考えられた.</p>
著者
西野 由香里 下島 優香子 森田 加奈 井田 美樹 福井 理恵 黒田 寿美代 平井 昭彦 新藤 哲也 貞升 健志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.45-51, 2019-06-25 (Released:2019-08-07)
参考文献数
14
被引用文献数
3

食肉から分離された大腸菌における薬剤耐性の動向を把握するために,2011~2017年に東京都で流通した鶏肉,牛肉,豚肉,鹿肉および猪肉から分離された1,115株の大腸菌について,14薬剤の薬剤感受性試験を行った.その結果,14薬剤すべてに感受性であったのは,鶏肉由来株の18.7%(135/721株),牛肉由来株の77.0%(117/152株),豚肉由来株の47.6%(89/187株),鹿肉由来株の100%(28/28株),猪肉由来株の92.6%(25/27株)であった.14薬剤の中では,テトラサイクリン(TC)に対して耐性の株が多く,鶏肉由来株の56.7%(409/721株),豚肉由来株の40.6%(76/187株)が耐性であった.鶏肉由来株では,国産由来株の4.9%(25/506株),輸入由来株の23.7%(51/215株)がセフォタキシム(CTX)に耐性であった.国産鶏肉由来株のCTX耐性率は,2012年(10.6%,17/161株)よりも2016年(0.9%,1/111株)と2017年(0.8%,1/121株)で有意に低かった.本調査の結果から,食肉由来大腸菌株のTC耐性率が高いこと,鶏肉由来株では,輸入由来株の方が国産由来株よりもCTXへの耐性が高いことが示された.
著者
小田 真悠子 宗村 佳子 永野 美由紀 木本 佳那 奥津 雄太 新開 敬行 貞升 健志
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.257-264, 2018-12-25 (Released:2019-01-09)
参考文献数
28
被引用文献数
2

A型肝炎は潜伏期間が約1か月と長く,聞き取りによる感染源調査が困難な場合が多い.感染経路の解明や広域集団発生の確認を行うためには,患者検体から検出されたウイルス株の分子疫学的解析が有用であるとされている.そこで2016~2017年に都内で積極的疫学調査として発生届が提出された患者検体108例について遺伝子検査を実施し,HAV陽性となったものについて分子疫学的解析を実施した.99例からHAV遺伝子が検出され,遺伝子型の内訳は,IAが91例,IBが2例,IIIAが6例であった.また,系統樹解析から,最も多く検出されたIAは4つの大きな系統に分類され(IA-1,IA-2,IA-3,IA-4),各患者にはそれぞれに特徴的な疫学的背景が認められた.今回の解析で得られたHAVのシークエンスデータおよびそれらが検出された患者の疫学的背景に関する情報は,今後新たにA型肝炎患者が発生した場合の感染源や感染経路を推定するための科学的根拠として活用できると考えられた.
著者
平井 昭彦 金子 誠二 仲真 晶子 石崎 直人 小田桐 恵 甲斐 明美 貞升 健志 新開 敬行 矢野 一好 諸角 聖
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.86-92, 2005-06-25 (Released:2009-01-21)
参考文献数
17
被引用文献数
8 8

PCR法により市販牛乳244検体のCoxiella burnetii 汚染状況調査を行った結果,131検体(53.7%)からC. burnetii 遺伝子が検出された.このうち22検体についてマウスによる菌分離を試みたがすべて陰性であった.次にPCR法による鶏卵中のC. burnetii 検査法の検討を行った.卵黄に1 mol/L NaCl加phosphate bufferを等量加え,ホモジナイズ後遠心することで多量のタンパク質や脂質を除去できC. burnetii を沈渣中へ集菌することができた.SDSで消化後NaI法によりDNAを抽出しPCR法でcom1 遺伝子を確認した.本法のC. burnetii 検出感度は3.2×101個/卵黄1 gであった.本法により市販鶏卵200検体を調べたが,C. burnetii は検出されなかった.