著者
佐藤進也 福田 健介 菅原 俊治 栗原 聡
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.48, no.14, pp.69-81, 2007-09-15
被引用文献数
1 6

文書に現れる語をノードとし,出現位置が近接しているものどうしをリンクで結び付けることにより得られる共起ネットワークでは,意味的関連性を有する語どうしがクラスタ構造と呼ばれる稠密な相互のつながりを形成している.本論文では,時間経過にともない文書が生成されていく,いわゆる文書ストリームから共起ネットワークを構成し,そこでクラスタ構造が生成される様子を調べた.その結果,共起ネットワークを(相対的に)古い語彙からなる部分と新しい語彙からなる部分に分けたとき,後者において,クラスタの出現という構造上の変化が,実社会の出来事などに起因する語の出現頻度の増大(バースト)に関連していることが明らかになった.In word co-occurrence networks, where two words appearing close to each other in documents are connected by a link, a group of relevant words forms a densely connected subnetwork called a cluster. In this paper, we analyze the process of emergence of the structure in co-occurrence networks generated from document streams. The analysis reveals that, if we restrict our scope to the subnetwork mostly consisting of (relatively) new words, we can associate emergence of the structure with the increase of word occurrence rate (bursts) that arises from real world events.
著者
佐藤 進也 風間 一洋 福田 健介 村上 健一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌. データベース (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.26-36, 2005-06-15
参考文献数
13
被引用文献数
4

巨大なデータベースであるWebから知識を抽出する一手法として実世界指向Webマイニングを提案する.従来のマイニングでは主に統計的な処理によりデータの特徴が抽出されていた.これに対し, 実世界指向マイニングでは, 実世界を意識したデータの解釈, 具体的には, 実世界のエンティティがデータの中にどのように現れ, 相互にどういう関係を形成しているかを調べる.この考え方をWebにおける人物の識別に適用し, 同姓同名人物の分離を行った.これは, 与えられた人名が出現するWebページを同一人物ごとにグループ分けするタスクで, 本手法を用いた場合, 平均9割以上の高い率で正しく処理できることを確認した.
著者
佐藤 亮佑 木村 浩 鳥海 不二夫 榊 剛史 風間 一洋 福田 健介
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

本研究のシリーズ報告である「(1)テレビ報道からツイッターへの情報伝播に関する分析」によって、テレビ報道とツイッターの間に関連性があることが示唆された。そこで本研究は、放射能を中心とした単語を含む情報に注目し、ツイッターとテレビ報道での放射能に関連する用語の共起構造を比較することで、ツイッターとテレビ報道との関連性を明らかにする。
著者
村上 健一郎 菅原 俊治 明石 修 福田 健介 廣津 登志夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.10, pp.81-88, 2007-01-31

本論文では、ネットワークを再帰的に拡張できるフリースケールネットワークFSN(Free Scale Network)方式を提案する。FSNではネットワークの構成単位をレルムと呼ぶ。例えばインターネットは一つのレルムである。FSNのレルムには固有のアドレスがあり、ネットワークアドレスの拡張部として使用する。しかし、従来のホストやルータなどの装置を変更することなく、アドレス空間を越えて透過的にネットワークを拡張できる。これは、FSNの多重仮想空間方式によるものである。この利点に加え、プロトコルを変更する必要がないためにネットワークの運用も互換性である。従って、これまでの拡張方式で必要であった膨大な設備投資や運用コストを回避しながら、ネットワークをオンデマンドに拡張することが可能となる。The Free Scale Network (FSN) architecture provides conventional networks with an unlimited extension capability. FSN consists of hierarchical or meshed realms. Each realm has its unique realm address. The address works as a prefix of the conventional addresses in the realm. FSN gateway interconnects them transparently by a multiple virtual space (MVS) mechanism. In MVS, a local address space is reserved for virtual addresses and an address in the space is allocated dynamically every time a host requests the gateway to resolve address of an FQDN. Thus, it enables the conventional hosts and routers to access whole the address space with no modification.
著者
大田 昌幸 杉本 周 福田 健介 廣津 登志夫 明石 修 菅原 俊治
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.2_129-2_139, 2011-04-26 (Released:2011-05-26)

本稿では,インターネット上の小規模な観測アドレス空間(Darknet)を用いて,その近隣のアドレス空間へ到着する異常パケットの振る舞いを推定できる可能性を示す.我々はこれまで,各組織の断片的未使用アドレス空間に到着する異常パケットの振る舞いを観測することで,近隣のアドレス空間に到着する異常パケットを推定・防御する分散協調監視アーキテクチャを提案してきた.異常パケットの振る舞いを推定するには,小規模な観測アドレス空間とその近隣へ到着する異常パケット間の時系列相関強度を調査する必要がある.そこで,アドレス空間をスキャンする異常パケットを対象に,Darknetの観測空間を小規模なサブ観測空間に分け,そのサブ観測空間の間の時系列解析から相関強度を求めた.さらに,サブ観測空間のサイズを変更させ,その相関強度のサイズ依存性を調査した.その結果,十分小さなサブ観測空間でも,近隣へ到着する異常パケットの振る舞いを推定できることが分かった.また,特定の観測位置をベースとした解析を行うことで非常に高い相関強度を得られた.これらの結果から,小規模な観測空間を用いる分散協調監視アーキテクチャでも異常パケットの振る舞いを推定できる可能性が示せた.
著者
福田 健介
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.2_23-2_32, 2013-04-25 (Released:2013-08-25)

本論文ではインターネットバックボーンにおける異常トラフィックについて説明し,それらを効率良く検出するための種々の異常検出アルゴリズムを紹介する.さらに,公開されている10年にわたる国際線バックボーントラフィックデータに対して,複数の異常検出アルゴリズムを適用した結果をもとにバックボーントラフィックにおける異常の振る舞いについて説明する.
著者
高田 敏弘 青柳 滋己 栗原 聡 光来 健一 清水 奨 廣津 登志夫 福田 健介 菅原 俊治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.115, pp.169-176, 2002-11-28
参考文献数
18
被引用文献数
2

本論文は,入出力機構を持ち現実空間に遍在する実体を基本構成要素とするシステム・プラットフォーム,Organic Entia について述べる.本システムは,実空間中の物体に起因する情報を主な対象としたアプリケーションの構築と,その際の自律構成を第一の目標に置く。更に本システムを基盤として,実空間中の環境データと人とを結ぶHuman-Environment Interface を確立することを目指している.本稿の後半では,Organic Entia の実現の基盤となるロケーションモデル,cell-proximity model を紹介する.In this paper, we propose Organic Entia, an open architecture for real-space com-puting.It focuses on objects in real-space rather than information in digital (cyber) space. The key requirements for this system are ability to handle location infor-mation without pre-configuration and to implement interfaces between real-space objects and people. We also introduce a novel location model based on cells and proximity measure.
著者
佐藤進也 風間 一洋 福田 健介 村上 健一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.26-36, 2005-06-15
被引用文献数
4

巨大なデータベースであるWeb から知識を抽出する一手法として実世界指向Web マイニングを提案する.従来のマイニングでは主に統計的な処理によりデータの特徴が抽出されていた.これに対し,実世界指向マイニングでは,実世界を意識したデータの解釈,具体的には,実世界のエンティティがデータの中にどのように現れ,相互にどういう関係を形成しているかを調べる.この考え方をWeb における人物の識別に適用し,同姓同名人物の分離を行った.これは,与えられた人名が出現するWeb ページを同一人物ごとにグループ分けするタスクで,本手法を用いた場合,平均9 割以上の高い率で正しく処理できることを確認した.This paper proposes a technique called "real-world oriented Web mining" for extracting knowledge from the Web regarded as a huge database. While conventional mining techniques search for characteristics of data mostly by statistical analysis, the proposed technique interprets data from real-world oriented point of view. In more concrete terms, it locates real-world entities in the data and analyzes relationships among them. This idea has been applied for performing a task to distinguish between people on the Web with the same first and last name. The task is to classify Web pages with a given person's name into groups each of which corresponds to a person in the real world. With the proposed technique, people have been identified with accuracy more than 90% on average.
著者
福田 健介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.85, pp.17-22, 2004-08-04

本研究では,ウェブ構造の空間的・時間的モデル構築のために,ドメインレベルでの,ウェブ構造の統計的解析を行った.その結果,従来より指摘されているスケールフリーネットワークの他に,機械的リンク生成によって生成された,少なくとも2つの統計性の大きく異なるタイプのネットワークが存在することがわかった.また,時間的発展モデルに関しては,スケールフリー性を満たすac.jpドメインでは,ログスケールでネットワークの直径が大きくなるが,局所的な性質であるクラスタ率は大きく変化しないことが明らかになった.We analyze statistical properties of the structure of World Wide Web (WWW) in order to construct a spatial and temporal model for domain-level WWW. We find that there are at least two types of network structure largely different from the scale-free network due to an effect of the semi-automatically generated web pages. Also, we demonstrate that the WWW structure in ac.jp domain, which is well modeled by the preferential attachment, still satisfies the small world property robust against the growth of the domain.