著者
小堀 和人 李 忠翰 廣津 登志夫
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2022-OS-155, no.1, pp.1-9, 2022-05-19

近年普及の進んでいるマイクロサービスアーキテクチャでは,多数のモジュールが目的や状況に応じて柔軟に連携しあうため,構成が複雑になりやすくシステム全体を通した性能分析や負荷状況の把握が困難である.このような分散した複数のモジュールからなるサービスの実行状況の監視や性能の分析のためには分散トレーシングが用いられる.分散トレーシングでは,各マイクロサービス上で収集した統計情報の整合性を確保するため,サーバ間の高精度な時刻同期が重要である.Linux 上の高精度時刻同期プロトコル (Precision Time Protocol: PTP) の実装では,NIC のドライバ上でパケットのタイムスタンプを取得することで時刻同期の精度を向上させることができるが,これはドライバの実装に依存するためより汎用な仕組みで実現することが望ましい.本研究ではカーネルが提供する機能の一つである eBPF を用い,可搬性の高い高精度時刻同期を実現した.その設計と実装について述べるとともに,PTP マスタとの同期のずれの推移を元に,本提案実装がドライバ依存の実装と同等の性能を持つことを示す.
著者
鷲坂 光一 山崎 憲一 廣津 登志夫 尾内 理紀夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第54回, no.人工知能と認知科学, pp.59-60, 1997-03-12

これまで日本語形態素解析は, 機械翻訳などを行うための最初のステップとして用いられることが多かった. ここでの解析間違いは当然のことながら後のステップの解析精度に影響を及ぼす. このため, これまでは形態素解析の精度の向上を主眼として研究が進められてきており, 計算量についての研究なども幾つか見られるものの, 実システムの速度はそれほど重視されていなかった. しかし, 形態素解析を情報検索のような大量の文書処理に適用する場合, 処理の高速性が極めて重要となる. 本論文では, 応用の立場から形態素解析の速度向上の重要性を指摘するとともに, 我々が実装したシステム「すもも」における高速化技法を述べ, 最後に評価結果を示す.
著者
鷲坂 光一 山崎 憲一 廣津 登志夫 尾内 理紀夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.59-60, 1997-03-12
被引用文献数
8

これまで日本語形態素解析は, 機械翻訳などを行うための最初のステップとして用いられることが多かった. ここでの解析間違いは当然のことながら後のステップの解析精度に影響を及ぼす. このため, これまでは形態素解析の精度の向上を主眼として研究が進められてきており, 計算量についての研究なども幾つか見られるものの, 実システムの速度はそれほど重視されていなかった. しかし, 形態素解析を情報検索のような大量の文書処理に適用する場合, 処理の高速性が極めて重要となる. 本論文では, 応用の立場から形態素解析の速度向上の重要性を指摘するとともに, 我々が実装したシステム「すもも」における高速化技法を述べ, 最後に評価結果を示す.
著者
橋本 直樹 園生 遥 牛込 翔平 菊田 宏 永園 弘 廣津 登志夫 新村 正明
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT)
巻号頁・発行日
vol.2014-IOT-24, no.24, pp.1-6, 2014-02-20

Software Defined Networking (SDN) はプログラムによって動的に,かつ抽象化されたネットワーク制御を可能とする技術である.制御を転送機能から分離することでアプリケーションとの融和を可能にするアーキテクチャを持つ.本稿ではアプリケーションと連携したネットワーク制御の一つとして,認証基盤と連携したネットワークレベルでのアクセス制御の手法の実現について述べる.ここではキャンパスネットワークを対象とし,大規模ネットワークで一般的なディレクトリサービスである LDAP を用いてネットワーク自体へのアクセス権限を管理する.アクセス権限に付随する属性情報によって内部ネットワークで提供される Web コンテンツへのアクセスを制限することで,より柔軟かつ簡便な制御を行う仕組みを提供する.
著者
太田麗二郎 廣津登志夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.193-195, 2012-03-06

GPSが利用できない屋内において高精度の位置同定を行うために、高機能携帯端末に備えられている各種センサを利用することが考えられる。例えば3軸加速度センサを用いると水平方向に加えて垂直方向の挙動を推定できることから高層ビル内での垂直方向を含めた所在階把握などへの応用が期待できる。また、端末に搭載されている地磁気センサを併用し端末の姿勢を測定することにより、端末の姿勢に捕らわれない位置推定が可能となる。そこで本研究では高機能携帯端末の加速度センサを用い、端末を保持したユーザの空間内の移動推定手法について検討する。
著者
村上 健一郎 菅原 俊治 明石 修 福田 健介 廣津 登志夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.10, pp.81-88, 2007-01-31

本論文では、ネットワークを再帰的に拡張できるフリースケールネットワークFSN(Free Scale Network)方式を提案する。FSNではネットワークの構成単位をレルムと呼ぶ。例えばインターネットは一つのレルムである。FSNのレルムには固有のアドレスがあり、ネットワークアドレスの拡張部として使用する。しかし、従来のホストやルータなどの装置を変更することなく、アドレス空間を越えて透過的にネットワークを拡張できる。これは、FSNの多重仮想空間方式によるものである。この利点に加え、プロトコルを変更する必要がないためにネットワークの運用も互換性である。従って、これまでの拡張方式で必要であった膨大な設備投資や運用コストを回避しながら、ネットワークをオンデマンドに拡張することが可能となる。The Free Scale Network (FSN) architecture provides conventional networks with an unlimited extension capability. FSN consists of hierarchical or meshed realms. Each realm has its unique realm address. The address works as a prefix of the conventional addresses in the realm. FSN gateway interconnects them transparently by a multiple virtual space (MVS) mechanism. In MVS, a local address space is reserved for virtual addresses and an address in the space is allocated dynamically every time a host requests the gateway to resolve address of an FQDN. Thus, it enables the conventional hosts and routers to access whole the address space with no modification.
著者
高橋 謙輔 栗原 聡 廣津 登志夫 菅原 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.1851-1860, 2009-11-01
被引用文献数
2

本論文では,センサの位置情報についての事前知識を用いずに,反応情報のみからセンサ間の隣接関係の推定法を提案する.コンピュータ機器やセンサデバイスの発展とともに様々なセンサネットワークアプリケーションが提案されてきた.これらのアプリケーションにおいて人間の行動に基づいたトポロジー情報は,人間の行動を支援するために必須のものである.しかし,大量のセンサを使用するアプリケーションにとってこの情報を手動で設定し,維持するのは簡単でない.提案手法ではAnt Colony Optimization(ACO)を用いて精度の高いトポロジーの自動推定を行う.本手法では取得したセンサデータの信頼性を推定し,ACOに適用することによって高精度化を実現する.最後に,独立した三つの環境で収集したセンサデータを用いて提案手法を評価し,従来の手法と比べすべての環境について推定誤差率がかなり向上したことを示す.
著者
大橋 翔 廣津 登志夫
雑誌
第79回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.553-554, 2017-03-16

様々な施設で公共Wi-Fiサービスが運用されるようになった。不正に情報を取得するようなAP(偽装AP)の設置は容易であり、共施設の管理者は偽装APを即時に検出する必要がある。また、公共施設によって監視端末を配置する条件が異なる。既存手法ではイントラネットに監視端末を設置することで偽装APの検出を行っていた。しかし、イントラネットを経由しない偽装APの検出は不可能であった。本研究ではインターネット上に通信経路調査用サーバーを設置し、偽装APの接続形態に依存しない検出手法を提案する。各公共施設の配置条件に対応可能なAP監視網を小型端末で実装し、高密度監視網の実現を目指す。
著者
大田 昌幸 杉本 周 福田 健介 廣津 登志夫 明石 修 菅原 俊治
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.2_129-2_139, 2011-04-26 (Released:2011-05-26)

本稿では,インターネット上の小規模な観測アドレス空間(Darknet)を用いて,その近隣のアドレス空間へ到着する異常パケットの振る舞いを推定できる可能性を示す.我々はこれまで,各組織の断片的未使用アドレス空間に到着する異常パケットの振る舞いを観測することで,近隣のアドレス空間に到着する異常パケットを推定・防御する分散協調監視アーキテクチャを提案してきた.異常パケットの振る舞いを推定するには,小規模な観測アドレス空間とその近隣へ到着する異常パケット間の時系列相関強度を調査する必要がある.そこで,アドレス空間をスキャンする異常パケットを対象に,Darknetの観測空間を小規模なサブ観測空間に分け,そのサブ観測空間の間の時系列解析から相関強度を求めた.さらに,サブ観測空間のサイズを変更させ,その相関強度のサイズ依存性を調査した.その結果,十分小さなサブ観測空間でも,近隣へ到着する異常パケットの振る舞いを推定できることが分かった.また,特定の観測位置をベースとした解析を行うことで非常に高い相関強度を得られた.これらの結果から,小規模な観測空間を用いる分散協調監視アーキテクチャでも異常パケットの振る舞いを推定できる可能性が示せた.
著者
水木 航平 廣津 登志夫
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2019-OS-145, no.14, pp.1-8, 2019-02-21

近年,多くの企業でコンテナ型仮想化によるマイクロサービスアーキテクチャが広く使われるようになってきた.コンテナ型仮想化は起動時間が高速でイメージ管理が容易であるという特徴があり,Linux 向けのコンテナ仮想化技術としては Docker が広く使われている.このようなコンテナ型仮想化の利用場面を考えると,誤編集や誤操作によりサービス基盤となる重要な情報を壊してしまう人為的ミスや,攻撃によりコンテナ内のコンテンツが改竄されるリスクに対処する仕組みが必要になってくる.そこで,本研究では Docker のイメージ管理に使用される OverlayFS を改良して任意のタイミングでスナップショットを保存する機能を実現する.ここでは,状態の保存と観測というそれぞれの目的に適したスナップショットの方法として,ノーマルモードと強制書き出しモードの 2 つの方法を用意した.
著者
高田 敏弘 青柳 滋己 栗原 聡 光来 健一 清水 奨 廣津 登志夫 福田 健介 菅原 俊治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.115, pp.169-176, 2002-11-28
参考文献数
18
被引用文献数
2

本論文は,入出力機構を持ち現実空間に遍在する実体を基本構成要素とするシステム・プラットフォーム,Organic Entia について述べる.本システムは,実空間中の物体に起因する情報を主な対象としたアプリケーションの構築と,その際の自律構成を第一の目標に置く。更に本システムを基盤として,実空間中の環境データと人とを結ぶHuman-Environment Interface を確立することを目指している.本稿の後半では,Organic Entia の実現の基盤となるロケーションモデル,cell-proximity model を紹介する.In this paper, we propose Organic Entia, an open architecture for real-space com-puting.It focuses on objects in real-space rather than information in digital (cyber) space. The key requirements for this system are ability to handle location infor-mation without pre-configuration and to implement interfaces between real-space objects and people. We also introduce a novel location model based on cells and proximity measure.