著者
加藤 慎 曽根 卓朗 塚田 学 江崎 浩
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2215論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.1373-1380, 2020-06-17

著者らが所属する SDM (Software Defined Media) コンソーシアムでは,2016 年より三次元映像音声メディアを管理するためのプラットフォームとして SDM Ontology の提案を進めてきた.SDM Ontology は,メディアデータとともに様々な種類・粒度,かつ,膨大な量のメタデータを階層構造に整理して管理可能とする.従来の提案は,収録段階についての記述に焦点を当てた設計となっており,収録されたメディアデータの編集段階まで考慮していなかったため,編集作業に用いられるソフトウェアやミキサーなどのメディアプロセッサの情報を記述するための構造がなかった.また,メディア収録の情報は静的である一方で,メディアの編集作業は収録されたデータや編集されたデータをもとに繰り返しおこなわれることも多く,一般に動的といえるため従来設計では対応しきれない.このような問題を踏まえ,本稿では SDM Ontology の構造について整理し直し,修正を加えるとともに,動的構造を表現するために再帰的記述を導入し,メディアの収録・編集について記述可能な SDM Ontology Version 2.0 を提案する.
著者
塚田 学 菰原 裕 粕谷 貴司 新居 英明 高坂 茂樹 小川 景子 江崎 浩
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルコンテンツ(DCON) (ISSN:21878897)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.10-23, 2018-08-20

インターネットを前提とした視聴サービスが登場し,なかでも空間に存在する視聴対象を解釈し,コンテンツとして活用するオブジェクトベースの視聴サービスの重要性が増している.2014年より,Software Defined Media(SDM)コンソーシアムでは,オブジェクトベースのメディアとインターネットを前提とした視聴空間の研究を行っている.現在,音楽イベントのDVDなどのパッケージメディアは,マイクやカメラなどの収録機材の位置によって大きく制約を受けるコンテンツである.こうした課題を解決するため,本研究では,クラシックコンサートとジャズセッションのイベントを収録し,インタラクティブに自由視聴点での三次元映像音声を再生するアプリケーション「SDM3602」を設計,実装した.SDM3602を95人の被験者に実際に体験してもらい,インタラクティブ3Dコンテンツの自由視聴点再生の有効性を検証した.さらにビルボードジャパンが開催した2017年Live Music HackasongでSDM3602のデモンストレーションを行い,審査員と一般の来場者の投票により,優秀賞を受賞した.Various audio-visual service based on Internet are deployed these days widely. Among these, object-based audio-visual services are getting more critical. We started Software Defined Media (SDM) consortium to investigate object-based audio-visual services and Internet-based audio-visual since 2014. The placement of microphone and camera limits the audience to watch at the free viewpoint of the contents of the package media such as DVD. In the study, we designed and implemented the system of interactive 3D audio-visual service with a free-view-listen point, named SDM3602. 95 persons experienced SDM3602 and answered the questionnaire in subjective evaluation. We also demonstrated the system in "Live Music Hackasong 2017" hosted by Billboard Japan. We received the second prize based on the vote of the judges and the audience.
著者
浅見 徹 江崎 浩 関谷 勇司 斎藤 賢爾 山下 達也 岩浪 剛太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.95, no.9, pp.809-814, 2012-09-01
参考文献数
5

本稿は平成23年12月に解散したネットワーク高度利用推進協議会の活動報告である.平成19年8月, Winnyに代表されるP2P (Peer to Peer)技術による著作権侵害や情報漏えいによる通信業界の混乱と,それによる商用P2Pサービスの立ち遅れが目立った日本の事情を鑑み, P2Pネットワーク実験協議会が設立され,キャッシュ技術全般に対象を拡大したネットワーク高度利用推進協議会に発展し,後述するヒントサーバ実験や標準化活動, P2Pガイドラインの制定,優良P2Pの認定等普及啓発活動を行った.第171回通常国会で著作権法が一部改正され,送信を効率的に行うために必要と認められる限度において著作権侵害にはならないことが明確になった.
著者
中島 高英 高橋 淳 牧野 理 落合 秀也 江崎 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ASN, 知的環境とセンサネットワーク
巻号頁・発行日
vol.114, no.65, pp.43-44, 2014-05-22

分散型指向によるエネルギーのベストミックス。水素ガス、LPガスに重点をおいた最新省エネビルにおける標準通信プロトコルIEEE1888を利用したベンダーに依存しないオープン化統合BEMSシステム。供給・備蓄・消費エネルギーの三位一体の見える化の実現。分散型エネルギービルにおいて、ベンダー別の垂直統合型から、ユーザー・イニシアティブによる、水平統合型オープン化システムを実現した。
著者
浅井 大史 江崎 浩
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.2_95-2_108, 2012-04-25 (Released:2012-05-20)

インターネットにおける自律システム(AS: Autonomous System)間の接続関係は,相互接続における経済関係および経路交換ポリシーから大きくトランジットおよびピアリングの2つに分類される.本論文ではASの全域部分グラフ(一部のAS間リンクを含まない部分グラフ)からAS規模を定量化し,このAS規模に基づいたAS間接続関係の推定手法を提案する.本論文の貢献は次の2点である.1) 従来の推定手法と比較して,少数のトポロジー計測点でのAS間接続関係,特にピアリングの推定精度を向上した.2) 本手法ではASの全域部分グラフから定量化したAS規模を用いることで,従来の経路解析に基づく手法では推定できなかった推定に用いた経路情報に含まれないAS間リンクに対してもAS間接続関係を推定可能にした.
著者
吉田 薫 江崎 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.351, pp.1-6, 2009-12-11
被引用文献数
4

持続可能社会実現のための省エネ及び環境保護は現在世界中で取組むべき課題であり、次代の人々及び地球のためにまさに我々が克服しなければならない課題である。IT/ICT技術を活用したこれらの課題に対する取組みは通常"Green IT/ICT"と呼ばれているが、現状ではその多くがIT/ICT機器の省エネ、つまり"Green of IT/ICT"に焦点を当てている。本稿で紹介するグリーン東大工学部(GUT)プロジェクトは"Green of IT/ICT"の技術検証も行っているが、よりIT/ICT技術を活用した省エネの実現、つまり"Green by IT/ICT"に注力して活動を行っている。GUTプロジェクトの活動趣旨は省エネのための技術的課題の抽出、及びそれを克服するための技術提案の実施である。本稿では、GUTプロジェクトの1年半に渡る活動成果を報告し、将来に向けた技術の展望について紹介をする。
著者
江崎 浩 松澤 茂雄 茂木 章善 永見 健一 神明 達哉 勝部 泰弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.96, no.215, pp.43-48, 1996-08-20
被引用文献数
5

従来のルータ機能にATMセルスイッチ機能を持つセルスイツチルータ (CSR) について, アーキテクチャ・導入形態を謙論し, さらにプロトタイプシステムの概要を述べる. セルスイッチルータのカットスルー転送機能が有効に動作することを実測したパケットフローから示すことができた. さらに, 試作したセルスイッチルータプロトタイプシステムにおいて, 大容量のパケット転送 (トータル2.6Gbps) を実現させ, エンドエンドに高速なデータ転送 (TCPで90Mbps以上) やリアルタイム動画転送を提供可能であることを確認することができた.