著者
渡邉 純子 渡辺 満利子 山岡 和枝 安達 美佐 根本 明日香 丹後 俊郎
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.167-178, 2018 (Released:2018-08-21)
参考文献数
31

M市域中学生 (12-14歳, 1,625名) を対象に, 体格, 食事 (FFQW82) , ライフスタイル・心身の健康問題 (SPS) に関する横断調査を実施した。男子・女子ともエネルギー (E) 摂取量における朝昼夕の3食配分比は2 : 3 : 4で, 朝食摂取不足, 夕食摂取量多過が考えられた。食品群別 (E) 摂取量は肉類が魚介類の2倍以上と多く, 野菜類は対象の摂取目標値 (350 g/1日) に比べ少なかった。ライフスタイル (男子%, 女子%) では朝食に主菜 (34.3, 29.9) ・野菜 (25.1, 24.2) を食べる, 油の多い料理をとり過ぎない (34.9, 34.8) がそれぞれ半数に満たなかった。重回帰分析によりSPSスコア低値と男子・女子の食物繊維摂取量 (p=0.011, p<0.001) , 夜12時には熟睡 (p=0.006, p<0.001) , 睡眠6時間以上 (p<0.001, p=0.018) , 同高値と嗜好品類摂取量の多さ (p<0.001, p=0.001) が関連していた。中学生の食事摂取・ライフスタイルとSPSとの関連性が示唆された。
著者
堀江 早喜 竹内 真純 山岡 和枝 野原 理子 蓮沼 直子 冲永 寛子 野村 恭子
出版者
一般社団法人日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.264-270, 2015 (Released:2015-09-26)
参考文献数
20
被引用文献数
2 3

Objectives: This study aims to develop a scale of “women-doctor-friendly working conditions in a hospital setting”. Methods: A task team consisting of relevant people including a medical doctor and a hospital personnel identified 36 items related to women-doctor-friendly working conditions. From December in 2012 to January in 2013, we sent a self-administered questionnaire to 807 full-time employees including faculty members and medical doctors who worked for a university-affiliated hospital. We asked them to score the extent to which they think it is necessary for women doctors to balance between work and gender role responsibilities on the basis of the Likert scale. We carried out a factor analysis and computed Cronbach’s alpha to develop a scale and investigated its construct validity and reliability. Results: Of the 807 employees, 291 returned the questionnaires (response rate, 36.1%). The item-total correlation (between an individual item score and the total score) coefficient was in the range from 0.44 to 0.68. In factor analysis, we deleted six items, and five factors were extracted on the basis of the least likelihood method with the oblique Promax rotation. The factors were termed “gender equality action in an organization”, “the compliance of care leave in both sexes and parental leave in men”, “balance between life events and work”, “childcare support at the workplace”, and “flexible employment status”. The Cronbach’s alpha values of all the factors and the total items were 0.82–0.89 and 0.93, respectively, suggesting that the scale we developed has high reliability. Conclusions: The result indicated that the scale of women-doctor-friendly working conditions consisting of five factors with 30 items is highly validated and reliable.
著者
大坪 浩一 山岡 和枝 横山 徹爾 高橋 邦彦 丹後 俊郎
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 = JAPANESE JOURNAL OF PUBLIC HEALTH (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.347-356, 2004-05-15
被引用文献数
5

<b>目的</b> 医療資源の適正配分・適正配置を考えるうえで,地域における医療資源の死亡への影響を評価することは重要である。死亡指標として用いられることの多い標準化死亡比(SMR)は,市区町村単位のような小地域レベルでの比較に用いる際には人口サイズの相違の影響を受けやすく,わずかな死亡数の変化が見かけ上の指標を大きく変化させるという問題がある。そこで,本研究では,「経験ベイズ推定に基づく SMR」(EBSMR)に基づき医療資源の死亡に及ぼす影響について,社会経済要因の影響を調整したうえで評価することを目的とした。<br/><b>方法</b> 本研究では医療資源が適正配置されているかという点に着目し,これまでの研究で主な医療資源の指標とされてきた医師数,一般診療所数,一般病床数(いずれも対人口)に加え,脳血管疾患や心疾患死亡に影響すると考えられた救急医療体制参加施設数などを取り上げた。死亡指標は,平成 5 年~平成 9 年の福岡県における全死因および脳血管疾患,心疾患,悪性新生物の 3 大疾患,および急性心筋梗塞の性別の EBSMR を取り上げた。社会経済要因として,出生数,転入・転出者数,高齢者世帯数,婚姻件数,離婚件数,課税対象所得,完全失業者,第一次産業就業者,第二次産業就業者数,第三次産業就業者数,刑法犯認知件数を取り上げた。EBSMR と医療資源変数および社会経済変数との関連性を,正規分布を呈しない変数については対数変換後,重回帰分析により検討した。<br/><b>結果</b> 重回帰分析より得られた主要な結果として,人口対医師数(男性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.047,女性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.012),人口対救急医療体制参加施設数(女性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.001),人口対一般病床数(女性全死因 <i>P</i><0.001,女性脳血管疾患 <i>P</i>=0.007,女性心疾患 <i>P</i><0.001,女性悪性新生物 <i>P</i>=0.049)では,それが多いほど EBSMR が低くなる傾向が認められた。逆に,人口対一般診療所数では,それが高いほど死亡が高まる傾向を示していた(女性全死因 <i>P</i>=0.025,女性急性心筋梗塞 <i>P</i>=0.006)。<br/><b>結論</b> 以上より,福岡県を事例として,市区町村レベルでの医療資源の死亡に及ぼす影響を EBSMR で評価したところ,医師数の充実と男女の急性心筋梗塞死亡の低下,一般病床数の充実と女性の全死因・女性の脳血管疾患・女性の心疾患・女性の悪性新生物死亡の低下,救急医療体制参加施設数の充実と女性の急性心筋梗塞死亡の低下の関連が認められ,医師数および入院や救急に関する医療資源を適正配分することの重要性が示唆された。
著者
松田 彩子 小林 国彦 山岡 和枝
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.127-134, 2018 (Released:2019-04-26)
参考文献数
38

Quality of life (QOL) is a subjective assessment and is included among patient-re-ported outcome (PRO) studies. QOL is as important for cancer patients as objectiveassessments such as survival and response rates. However, PRO studies are more diffi-cult to conduct than are studies to assess objective data. Regarding QOL studies whichare important among PRO studies, first we describe QOL, which Dr. Hayashi promotedaiming to improve. Then we describe the methods of assessing QOL. Finally, we in-troduce a novel self-monitoring QOL intervention. In the methods of assessing QOL,Minimal clinically important difference (MCID) and response shift are major challengesamong the methods of assessing QOL. MCID enables recognition of the patient’s per-ceptions, as well as the clinical outcomes. It is important to consider response shift wheninterpreting actual change of QOL. In the introduction of novel self-monitoring QOLintervention, QOL assessments are often seen as being for research purposes, thoughQOL self-monitoring should also be implemented in daily clinical routines. QOL as-sessment is often used as an outcome measure in clinical trials, and cancer diagnosisand treatments affect patients’ QOL. However, medical personnel may not sufficientlyunderstand patients’ problems, including QOL. In advancing the study of QOL, it is afuture task to address how QOL assessment information is to be fed back to patients.
著者
峯村 芳樹 山岡 和枝 吉野 諒三
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.304-312, 2010-09
被引用文献数
1

改正臓器移植法が本年(2010年)7月から全面施行されたが,わが国における臓器移植の現状や脳死の認識には,生命観等の社会的・文化的要因が大きく影響しているとされる.本稿では,筆者らの「医療と文化の連関に関する統計科学的研究」における日本と,欧米(アメリカ,ドイツ,フランス,イギリス)及びアジア(韓国及び台湾)における社会意識調査結果を比較分析した.特に臓器移植・脳死の質問項目について,属性や生命観(宗教,信頼感等)などとクロス集計を行い,臓器移植・脳死に関する認識や行動に係る文化差について検討した.その結果,日本では若い世代,高学歴の人々ほど臓器移植について肯定的な傾向が認められた.脳死については日本では「(どのようなものか)わからない」とする割合が欧米諸国に比べて高いことが特徴的であった.以上から,わが国における脳死・臓器移植に関する情報の発信の必要性が示唆された.
著者
渡邉 純子 渡辺 満利子 山岡 和枝 根本 明日香 安達 美佐 横塚 昌子 丹後 俊郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.113-125, 2016 (Released:2016-04-02)
参考文献数
36

目的 本研究は,中学生におけるライフスタイルと愁訴との関連性の検討を目的とした。方法 2012年 5~11月,同意を得た熊本県内10校の中学校 1, 2 年生,計1,229人(男子527人,女子702人)を対象とし,愁訴(12項目)および体格,食事調査(FFQW82),ライフスタイル(18項目),食・健康意識(9 項目)に関する自記式質問紙調査を実施した。回答を得た1,182人(回収率96.2%,男子500人,女子682人)を解析対象とした。愁訴は(いつも・ときどき)を愁訴ありとして,12項目のありの個数を「愁訴数」として取り扱った。要約統計量は男女別に,連続量は平均値と標準偏差または中央値(25%点,75%点),頻度のデータについては出現頻度(%)を求めた。男女間の比較には前者では t 検定,またはウィルコクソン順位和検定を,後者ではカイ 2 乗検定により比較した。愁訴については因子分析で因子構造を確認した。ライフスタイル等と愁訴との関連性は,主成分分析およびステップワイズ法による変数選択により検討した。有意水準は両側 5%,解析は SAS Ver9.3を用いた。結果 本対象の体格は全国平均とほぼ同レベルであった。エネルギー摂取量の朝・昼・夕食の配分比率は,2:3:4 を示し,とくに朝食の摂取不足の傾向が認められた。ライフスタイルでは,男女ともに朝食を十分摂取できていない者 2 割強,夜 9 時以降の夕食摂取者 3 割程度,TV・ゲーム等 2 時間以上の者 5 割程度認められた。愁訴の出現頻度は,「いつも疲れている感じがする」,「集中力がない」,「やる気がでない」がそれぞれ男女ともに 40%以上を示した。 多変量解析の結果,「愁訴数」の少なさと関連するライフスタイル項目として,男女ともに「バランス食摂取」,「睡眠 6 時間以上」,女子の「3 食規則的摂取」,「食欲あり」,「リラックス時間あり」が示唆された。「愁訴数」の多さと関連する項目として,男女ともに「早食い」,「TV・ゲーム等 2 時間以上」,男子の「料理・菓子をつくる」,女子の「間食・夜食をとる」,「夜 9 時以後の夕食摂取」,「弁当は自分でつくる」が示唆された。なお、食事摂取量は「愁訴数」とはほとんど関連が認められなかった。結論 中学生の「朝食を落ち着いてしっかり食べる」および「食事は 1 日 3 回規則的に食べる」などの食事摂取状況やライフスタイルが「愁訴数」の少なさと関連することが示唆された。
著者
吉野 諒三 松本 渉 林 文 山岡 和枝 鄭 躍軍 佐々木 正道 林 文 山岡 和枝 佐々木 正道 鄭 躍軍 前田 忠彦 土屋 隆裕
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

急変する世界情勢を考慮し、特に日本と他の東アジアやその周辺諸国の人々の価値観、対人的信頼感など人間関係に関する意識、自然観や生命観など、各国の人々の意見を、偏らずに集約する統計的方法にもとづいて面接調査を遂行した。政治体制と国民性との交絡など多様な側面が明らかなってきたが、特に、洋の東西を問わず、「家族の大切さ」の普遍的価値が浮き彫りとなった。我々は、これを「文化の多様体解析」としてまとめあげた。
著者
丹後 俊郎 山岡 和枝 緒方 裕光 池口 孝
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

「ごみ焼却施設からの距離」をダイオキシン類への曝露の主要な代替変数としたごみ焼却施設周辺の疾病の超過リスクの検出に関して、本研究では、(1)焼却施設の位置を既知としてその周辺の超過リスクを検出する方法(Focused test)と、(2)焼却施設の位置を未知として、超過リスクが生じている「場所とその周辺」を特定する方法(Global test)を検討してきた。前者については、すでにStatistics in Medicine(2002)に報告し、かつ、周辺地域のがん死亡率の経年的変化に基づく新しい健康影響評価のための方法を、施設からの方角など距離以外の要因も考慮に入れた柔軟な統計モデルを英国王立統計学会主催の国際統計学会(2002)で発表(招待講演)した。後者の方法については、Connecticut大学の生物統計学科Kulldorff助教授との共同研究により,昨年度までに提案した方法と他の方法,Kulldorffのspatial scan statisticとBonetti-Pagano's M statisticsとの検出力の総合的な比較を行い、その結果はComputational Statistics and Data Analysis(2003)に掲載された。本研究で検討した統計モデルの応用として,ごみ焼却施設周辺の乳児死亡への影響の解析に適用するとともに、ごみ焼却施設とは異なるものの単一汚染源への応用例として、原子力発電所周辺の周産期死亡データの解析例を示し、その応用可能性を検討した。