著者
横井 勝彦 竹内 真人 小野塚 知二 倉松 中 高田 馨里 松永 友有 福士 純 永岑 三千輝 田嶋 信雄 鈴木 淳 西牟田 祐二 奈倉 文二 須藤 功 西川 純子 山下 雄司 千田 武志
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、総合的歴史研究を通じて軍縮と軍備管理を阻む近現代世界の本質的構造を解明することにある。第二次大戦以降、武器取引は急速に拡大し複雑化したが、その構造はすでに第一次大戦以前に形成されていた。その点を明らかにするために、われわれの研究プロジェクトでは武器移転という事象を、経済史・国際関係史・帝国史・軍事史などの多角的な視点から分析した。分析概念として武器移転を歴史研究の分野に適用したのは、わが国でも本研究プロジェクトが初めてである。
著者
竹内 真人
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.491-506, 2015-02-25

本稿は,18世紀末以降のイギリス自由主義的帝国主義を肯定的に評価する「ウィッグ史観」に基づく研究とは異なり,イギリス自由主義的帝国主義を批判的に分析することを目的としている。福音主義は,1730年代以降の英米の「福音復興運動」によって拡大した禁欲的プロテスタンティズムのことであり,社会を「有機体」と捉える「ジェントルマン理念」(すなわち高教会主義と広教会主義)とは対立していた。この福音主義は,人間を機械化・生産力化するイデオロギー的意味作用を持つものであり,近代的宣教運動に裏づけられたイギリス自由主義的帝国主義を生みだすことになった。本稿は,福音主義とイギリス自由主義的帝国主義の関係を重視し,ジェントルマン・エリートが自由主義的政策転換を行った原因が福音主義イデオロギーにあったことを明らかにする。イギリスの自由主義的帝国主義を理解するには,「ジェントルマン理念」と並んで,福音主義の伝道者的使命感を重視すべきであり,その自由主義的介入は,際限なき営利欲を抑制し,資本と労働の調整を目的とするものでもあった。
著者
竹内 真人 笠井 あすか 横塚 由美
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.41, pp.111-124, 2018-07-31

東京検疫所では、2015年より小笠原父島二見港において、港湾衛生現地調査として、ねずみ族及び蚊族の生息状況調査と検疫感染症の病原体検査を実施している。2017年はベクターサーベイランスの一環として、父島の山林部を含む広域及び母島沖港においても蚊族調査を実施した。ねずみ族については、本土よりも高いクマネズミの捕獲率が示されており、自治体による駆除活動が行われているにも関わらず、捕獲率の低下の傾向は2015年からの3年間においてはみられなかった。捕獲されたクマネズミの病原体検査は陰性であったが、うち1頭で寄生虫の猫条虫が検出された。捕集蚊における病原体検査でも、検疫感染症の病原体は全て陰性であった。父島の港湾区域では、アカイエカ群とヒトスジシマカの幼虫が多くの調査区で確認され、父島山林部においても多くのヒトスジシマカの成虫が捕集された。母島で捕獲された蚊族では、ヒトスジシマカの成虫と幼虫が高い割合を占めていた。これらのことから、ヒトスジシマカが父島と母島で優先種として生息していることが明らかになった。また、母島の蚊族の複数種でヒトへの吸血が確認されたことは、蚊が媒介する感染症の拡散の可能性を示唆する。