著者
甚野 尚志 大稔 哲也 平山 篤子 踊 共二 三浦 清美 青柳 かおり 太田 敬子 根占 献一 関 哲行 網野 徹哉 大月 康弘 疇谷 憲洋 皆川 卓 印出 忠夫 堀越 宏一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々のプロジェクトは、中近世のキリスト教に関わる諸問題をさまざまな視角から分析することを目指した。それも地域的には、ヨーロッパ世界に広がったキリスト教の問題だけでなく、布教活動とともにキリスト教化した他の世界の諸地域も対象とした。これまでの研究は主として、中近世キリスト教の非妥協的態度、迫害社会の形成、異教徒との対決の視点から研究がなされてきたが、我々は最近の研究動向に従い、中近世キリスト教世界の多様性やことなる宗教の共存に光があてつつ研究活動を行ってきた。この間の多くのワークショップなどの成果に基づき、各分担者が論文などで中近世のキリスト教史の新しいイメージを提示できた。
著者
増田 一夫 伊達 聖伸 網野 徹哉 杉田 英明 長沢 栄治 村松 真理子 矢口 祐人 安岡 治子 古矢 旬
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

「宗教的近代」を疑問に付す諸現象(宗教の再活性化、保守革命、イスラーム民衆運動)に対して西洋諸社会が警戒を示すなかで、寛容を創出すべき政教分離の制度が、かえってマイノリティ抑圧へと転化する状況が見られる。本研究では、民主主義的諸価値が特定の宗教に対して動員され、グローバル化に伴う社会問題を相対化、隠蔽する様子を分析した。フランスでは、国家が対話しやすいイスラーム教を制度化するという、政教分離に矛盾する動きも見られた。他方で、ナショナル・アイデンティティとしてのライシテ(脱宗教)が、イスラーム系市民を周縁化しつつ、差別、経済格差、植民地主義的な人種主義をめぐる問題提起をむずかしくしている。
著者
大貫 隆 北川 東子 黒住 真 杉田 英明 増田 一夫 村田 雄二郎 網野 徹哉 安西 信一 安岡 治子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

ユダヤ、キリスト、イスラームの三大一神教を「アブラハム的伝統」と捉え、そこに内在する差異、および他の宗教との差異を、地域文化研究に特有な多元的視点でもって分析、理論化した。その作業によって、「文明の衝突」論に見られるような、文明(西洋)/野蛮(非西洋)という図式の看過や行きすぎを指摘、訂正するとともに、世俗性もしくは世俗化についても、社会のあり方に応じて多様な形態がありうることを示した。