著者
茂木 謙之介 MOTEGI Kennosuke
出版者
名古屋大学大学院人文学研究科附属「アジアの中の日本文化」研究センター
雑誌
JunCture : 超域的日本文化研究 (ISSN:18844766)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.118-130, 2018-03-23

The purpose of this paper is to study the relationship between literature and religion in Japan from the 1980s to the 2000s. That era was a time when the concept of religion and the concept of literature were being relativized. This paper analyzes the relationship in Genso-Bungaku a book review and research magazine. There has been no research on Genso-Bungaku so far, so this paper will also initiate research on this magazine. Through its analysis, three things became clear in this paper. Firstly, the writers who contributed to the magazine used religious codes as hints for making creations. They were using myths and animisms as unrealistic stories. In the same period, religions were spreading in Japanese society, and it seems that the writers were influenced by this. Secondly, the critics used religious codes as a theory for criticism. The magazine emphasized book reviews, frequently introducing religious books. Critics would present knowledge from religious studies in book reviews and articles. It seems that background lead to the epidemic of occultism since the 1970s. Finally, a number of religious scholars were involved in the magazine. Although they utilized their knowledge of religious studies to comprehend fantasy literature, as the religious concepts became relative, that attempt failed to thrive. The magazine stopped being published at the same time as this trend.
著者
茂木 謙之介
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.49-74, 2014-06-30

本稿の目的は、天皇神格化言説の高揚する昭和戦前戦中期における皇族表象の様相とともに、天皇崇敬に関する宮内省のスタンスを明らかにすることにある。先行論では崇敬対象の天皇と崇敬主体の国民という構造が展開され、抽象的な議論になりがちであるが、本稿では具体性を以て表象される皇族に注目する。本稿では旧宮内省文書から考察を試み、統括官庁の方針を確認するとともに、文書に織り込まれた人びとの声を回復し、それらの経年変化を探る。結果、一九二六〜三七年まででは皇族表象を価値目的的に利用しようとする地域社会のスタンスと、それを規制していく宮内省のスタンスが、一九三七〜四一年前後では〈利用〉と共に皇族を崇敬対象とみなす地域社会の声とともに、その傾向を事実上黙認する宮内省の立場が、そして一九四一〜四五年では軍部の要請と相俟って、崇敬される天皇とそれを崇敬する国民という構造へ収斂させていく宮内省の在り様が看取された。
著者
茂木 謙之介
出版者
特定非営利活動法人 頸城野郷土資料室
雑誌
頸城野郷土資料室学術研究部研究紀要
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.1-24, 2016

戦前期の埼玉県秩父地方において、特権的な立ち位置をもった皇族に、昭和天皇の弟宮である秩父宮雍仁親王がいた。地域の名前を冠した皇族という存在と、それとの関係形成は、近代化の中で〈傷〉を負った地域としての秩父地方にとって、天皇(制)国民国家への参入のための階梯となっていた。また、同時代においては地域と秩父宮との関係性の深さが繰り返し語られていたが、それは地域や語りの主体の卓越化に直結するものであった。まさに〈僻地〉かつ過去に〈負〉の記憶を有する土地にとって、皇族は救済を齎す存在として在り得たのである。だが、秩父地方における皇族表象の特異性はそれだけにとどまるものではない。地域からの過剰な親密さは時として皇族の権威性を攪乱し、地域において生起していた秩父宮の神格化の進展は時として昭和天皇をも超越するような状況をも生んでいた。いわば皇族への過剰な寄り添いと、それをもととした皇族表象の生成は、結果として天皇(制)国民国家の規範を揺さぶるものともなっていたのである。
著者
茂木 謙之介
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.13-24, 2014-09-10 (Released:2019-09-30)

関東大震災周辺の泉鏡花テクストをめぐっては、従来鏡花テクスト群における変化の有無が問われてきた。本稿では「二三羽ー十二三羽」を中心に〈怪異〉に注目して考察し、震災が鏡花テクストにおける〈怪異〉の場としての東京を喪失させていることと共に、同テクストが震災による喪失をミクロに語り出すことで回復を試みるものであったこと、そしてその達成の為に小品という脱ジャンル的領域が選ばれた可能性を指摘した。
著者
茂木 謙之介
出版者
東北大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、戦後から現代の天皇・皇族・皇室の表象について、特にポップカルチャーにおけるイメージを中心的に検討し、その様相を明らかにすることを目的とする。特に2010年代以降、ポップカルチャーにおける天皇表象の数は増加傾向をたどっている。これらは時に皇室に関するオカルト的想像力を喚起し、また時に同時代の歴史認識問題を浮き彫りにするものであり、現在の皇室をめぐる状況を考察する上で欠かすことのできない。本研究では特に昭和天皇と皇族女子の表象を中心的に検討し、同時代の主要メディアや絵画・映画・文学における天皇・皇族・皇室表象と比較を試み、それらを通して従来の近現代天皇制研究を刷新する。
著者
茂木 謙之介
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.49-74, 2014-06-30 (Released:2017-07-14)

本稿の目的は、天皇神格化言説の高揚する昭和戦前戦中期における皇族表象の様相とともに、天皇崇敬に関する宮内省のスタンスを明らかにすることにある。先行論では崇敬対象の天皇と崇敬主体の国民という構造が展開され、抽象的な議論になりがちであるが、本稿では具体性を以て表象される皇族に注目する。本稿では旧宮内省文書から考察を試み、統括官庁の方針を確認するとともに、文書に織り込まれた人びとの声を回復し、それらの経年変化を探る。結果、一九二六〜三七年まででは皇族表象を価値目的的に利用しようとする地域社会のスタンスと、それを規制していく宮内省のスタンスが、一九三七〜四一年前後では〈利用〉と共に皇族を崇敬対象とみなす地域社会の声とともに、その傾向を事実上黙認する宮内省の立場が、そして一九四一〜四五年では軍部の要請と相俟って、崇敬される天皇とそれを崇敬する国民という構造へ収斂させていく宮内省の在り様が看取された。
著者
森 暢平 河西 秀哉 茂木 謙之介 舟橋 正真 松居 宏枝 加藤 祐介
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本の立憲君主制研究は、「日本史」の枠組みで検討されるか、英国との比較のなかでしかなされてこなかったのが現状であり、日本の立憲制のモデルになったドイツとの比較があまり行われてこなかった。そのため本研究は、ドイツの公文書館に所蔵される史料および日本の宮内公文書館の史料を中心に、ドイツ人研究者を交えて、日独の立憲君主制の比較研究を行う。具体的には、(1)新たな立憲君主制論の構築、(2)「宮廷システム」をドイツからの移転という視点で捉え直す研究、(3)皇族の位置づけをドイツの模倣という観点から再検討する研究の3つの分野から研究をすすめる。
著者
茂木 謙之介
出版者
独立行政法人 国立高等専門学校機構 小山工業高等専門学校
雑誌
小山工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:02882825)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.120-128, 2016

The purpose of this paper is to criticize the animation movie "Kazetachinu"(2013) as adaptation of the novel "Kazetachinu" which was written byTatsuo HORI in 1938. We will find following two features: firstly,the movie expressed violence by the elite which is included in the source text; and itcriticized those violence by the viewpoint of metafiction..