著者
木村 政樹
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.93-108, 2014-05-15 (Released:2017-06-01)

本稿は、純文学論争における平野謙の批評を、「アクチュアリティ」という語が文芸雑誌で流通していた歴史的文脈に置き直して考察したものである。純文学論争をきっかけとして、「アクチュアリティ」という語は文芸雑誌において急速に流布してゆく。この言葉は、論争以前から、新日本文学会や記録芸術の会といった文学・芸術運動のなかで、キーワードとして用いられていた。平野はそのことを意識しながら、小説アクチュアリティ説を展開した。こうした平野の一連の批評は、文学・芸術運動の動向に応じた言説戦略として捉えることができる。
著者
木村 政樹
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.90, pp.93-108, 2014-05

本稿は、純文学論争における平野謙の批評を、「アクチュアリティ」という語が文芸雑誌で流通していた歴史的文脈に置き直して考察したものである。純文学論争をきっかけとして、「アクチュアリティ」という語は文芸雑誌において急速に流布してゆく。この言葉は、論争以前から、新日本文学会や記録芸術の会といった文学・芸術運動のなかで、キーワードとして用いられていた。平野はそのことを意識しながら、小説アクチュアリティ説を展開した。こうした平野の一連の批評は、文学・芸術運動の動向に応じた言説戦略として捉えることができる。
著者
小谷 瑛輔 田中 祐介 中野 綾子 若島 正 木村 政樹 矢口 貢大
出版者
富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

近代において、将棋と文学は密接に関わりあいながら展開してきた。本研究では、その様相を具体的に解き明かし、データベースや論集にまとめた。一つ目は、小説という近代的な新しい概念が将棋の比喩によって誕生し、その後も文学の概念に影響を与えてきたこと。二つ目は、新聞・雑誌メディアの発展において将棋と文学がともに重要なコンテンツであったということ。三つ目は、文壇の人的ネットワークにおいて将棋が大きな役割を果たしてきたことである。
著者
山口 直孝 竹内 栄美子 福田 桃子 橋本 あゆみ 竹峰 義和 坂 堅太 木村 政樹 石橋 正孝
出版者
二松學舍大學
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

『神聖喜劇』で知られる作家大西巨人(1916~2014)の教養形成と作品の成立過程とを実証的に考察し、西洋の事例と比較しながら、現代の知識人のありようを探る。新日本文学会や記録芸術の会など、関係した文学芸術運動の活動の詳細を明らかにする。研究は、①資料調査、②聞き取り調査、③フィールドワークから成る。①は、大西巨人資料(二松学舎大学寄託)を核としながら、ほかの文学館や図書館についても行う。②はは、大西巨人の家族や知人に対して行う。③は、福岡や対馬で行う。成果は、公開ワークショップで報告する。資料目録や年譜など各種データベースを作成する。自筆資料をデジタルデータ化し、重要なものを翻刻する。
著者
木村 政樹
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.80-95, 2022-05-15 (Released:2023-05-15)

本稿では本多秋五「文芸史研究の方法に就いて」について、文芸の「評価」をめぐる議論を中心に考察した。文芸の「評価」とはなにかという問いは、現在においても解決していない問題であり、こうした視座からみれば、本多の文芸史論は人文社会科学という知について考えるうえで今もって重要である。本多は文芸史に「評価」が必要であると唱えたが、それは「歴史」のなかに複数の「可能性」を探ろうとするものであった。本多はプロレタリア文化運動における「実践」の問題として「評価」を捉えながら、このような文芸史研究のあり方について思考していたのである。