著者
鐘ヶ江 靖史 加藤 真紀 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所 第1調査研究グループ
巻号頁・発行日
2012-06-25 (Released:2012-08-08)

本報告書では、2010年度に実施した「博士課程修了者の進路と就職活動に関する調査」を基に、我が国の博士課程修了者の就職活動の実態を分析した。この結果、博士課程進学時は回答者(全回答者から論文博士、社会人学生および留学生を除いた一般学生(1,537名)のうち、博士課程在籍中に就職活動を実施した1,055名)のおよそ3人に1人は、博士課程進学時には国外機関を就職候補先の1つとして考えており、日本国内の機関については半数以上の回答者が複数の機関種別(教育機関(大学等)、民間企業、公的研究機関)を就職候補先として考えていたことが示された。ただし、実際の就職活動において国外機関に応募した者の割合はおよそ8人に1人程度にとどまり、複数の国内機関種別に対して応募した割合についても4人に1人程度であることが明らかとなった。また、教育機関(大学等)と民間企業では就職活動時期が異なり、就職活動期間の時間的な負荷は就職活動先によって差があることが示された。
著者
朴 堯星 袰岩 晶 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所 第1調査研究グループ
巻号頁・発行日
2012-09-10 (Released:2012-09-10)

本稿は、我が国における博士課程修了者等のうち、人文・社会科学分野を専攻していた博士課程修了者等の基本属性と進路動向を分析したものである。その主な特徴は、大学教員として就職する者の割合が約45%(専任およびその他を含む)と理系の19.7%に比べて高いことである。一方、博士課程修了直後にポストドクターとなった者のうちポストドクターの職に留まる者は博士課程修了から時間が経つにつれて減少し、5 年後には人文科学の場合15.1%、社会科学の場合9.3%になり、博士課程修了5 年後に専任の大学教員になった者はそれぞれ56.6%、74.4%まで増えている。これはポストドクターから専任の大学教員になるというアカデミックなキャリアパスが開かれていることを示している。ただし博士課程修了直後に大学の非常勤職等に就いた者は、博士課程修了から5 年後にもそれぞれ65.7%、46.1%が非常勤職等に留まっている。
著者
加藤 真紀 鐘ヶ江 靖史 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所 第1調査研究グループ
巻号頁・発行日
2012-03-08 (Released:2012-08-07)

本報告書では2010年度に実施した「博士課程修了者の進路と就職活動に関する調査」(有効回答数2,265人)を基に、我が国の博士課程修了者の大学院における修学と経済状況を分析した。この結果、国内学会に3回以上登壇した回答者の割合は8割近くであり、国外学会で1回以上発表した者は6割以上であることが示された。国外での研究経験がある回答者は2割であり、うち期間が1ヶ月以上である者が8割以上を占めた。分野別に見ると人文系や社会系は他分野よりも海外研究の期間が長い。一方、回答者のうち8割は国外研究をしておらず、この理由として必要性と時間の欠如を挙げている。また本調査回答者は米国の博士号取得者と比較して、大学院で学費を免除される人数比率が低く、最も多くの金額を利用した資金種別は自己資金である者が多い。また多くの回答者がTAやRAとして雇用されていたが、これで生活費や学費等を賄うには不十分な状況が示唆された。
著者
栗山 喬行 関口 洋美 大竹 洋平 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所 第2調査研究グループ
巻号頁・発行日
2011-03 (Released:2012-03-14)

2009 年3 月に日・米・英の3 カ国で、インターネット調査会社の登録モニターを対象に科学技術に関する意識調査を実施したところ、日本は、科学的な課題に対する関心度が米・英両国より低く、特に、20 代~30 代の若年層が低いという結果が得られた。科学技術の各種分野に対するイメージでは、日本人は米国・英国人よりも、「素晴らしく進んだもの」といったプラスのイメージと、「近寄り難い」といったマイナスのイメージを有していることが把握された。今後、我が国では、多くの人にとって科学技術がもっと身近な存在として感じられるようにするため、科学技術の様々な成果や情報を、分かりやすく、かつ、魅力的な内容となるようにして発信するとともに、様々な人が科学について語り合うことができる「科学コミュニケーションの場」を充実していくことが重要となる。
著者
早川 雄司 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2013-07 (Released:2013-08-23)

2012年10月8日、スウェーデンのカロリンスカ研究所は、京都大学の山中伸弥教授に2012年のノーベル医学生理学賞を授与することを発表した。本調査は、日本人によるノーベル医学生理学賞受賞が国民の科学技術に関連する意識に与えた影響について把握するため、2012年11月、2013年1月及び3月にインターネット調査を実施した。その結果、国民、特に女性の科学技術の話題に対する関心や子どもの研究者の仕事に対する関心などの高まりが見られた。
著者
加藤 真紀 茶山 秀一 星越 明日香
出版者
科学技術政策研究所 第1調査研究グループ
巻号頁・発行日
2012-05-24 (Released:2012-08-08)

本調査研究は、日本の大学生から大学教員への各段階における女性比率を分析した。まず1975年から2010年の間に日本の大学学部卒業者および大学院修了者に占める女性比率は増加していることが示された。多くの分野では教育段階が高いほど女子比率が低いが、工学と社会科学では学部と大学院での女性比率がほぼ等しい。これは大学院で留学生が増加するためである。我が国の博士課程修了直後に日本に滞在した者の進路を見ると、留学生は男女ともに大学においてポストドクターなどの仕事に就く率が一般学生よりも高く、留学生の男女間での差異は殆ど無いことが分かった。さらに疑似コホートを用いた分析によって、若い世代ほど改善しているとは言え、大学教員では職階が高いほど女性比率が低いことが示された。2007年度の日本人女性教員の離職率(定年退職を除いた値)は6.6%であり日本人男性よりも2.2%ポイント高いことから、女性が大学に勤務する上で男性と異なる隘路があると考えられる。
著者
加藤 真紀 鐘ヶ江 靖史 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2012-12-25 (Released:2012-12-25)

本報告書は、大学院博士課程での研究指導の実態や課題の把握を目的とし2011年度に59大学を対象に年2回実施した調査の結果を取りまとめたものである(回答者数2,636人、有効回答率21.9%)。まず組織的に複数の教員から博士論文作成の日常的な指導を受けた者は約7割であり、彼らは研究能力を身につけたと考える割合や、大学院における満足度が高いことが明らかとなった。次に、自然科学系では人文・社会系よりも指導教員が博士論文のテーマ決定に積極的に関わることが示された。博士論文のテーマ決定に学生が積極的に関わる場合に、研究能力を身につけたと考える割合が多く、論文テーマの決定に指導教員が積極的に関わる場合に、サービスとしての大学院の満足度を高く評価する学生の割合が多い。また大学院(修士・博士)の授業のうち履修して良かったと思う授業が6割以上を占めると回答した学生は3割以下に留まることが示された。
著者
早川 雄司 茶山 秀一
出版者
科学技術・学術政策研究所
巻号頁・発行日
2013-07 (Released:2013-08-23)

2012年5月21日、日本の広範囲において、非常に珍しい天体現象である金環日食が観測され、多くの国民が実際に太陽を観察した。本調査は、この金環日食が国民の科学技術に関連する意識に与えた影響について把握するため、2012年6月、8月及び12月にインターネット調査を実施した。その結果、国民の宇宙や天体に対する関心や子どもの理科に対する関心の高まりが見られた。
著者
茶山 秀一
出版者
研究・イノベーション学会
雑誌
年次学術大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, pp.705-708, 2017-10-28

一般講演要旨
著者
齋藤 経史 中務 貴之 茶山 秀一
出版者
科学技術政策研究所 第1調査研究グループ
巻号頁・発行日
2011-03 (Released:2012-03-14)

本調査〔アカデミックキャリアパスの実態把握のための調査〕では、同一機関内の内部昇格を含む研究職歴における研究環境・権限、任期の有無および状態、研究者としての独立の自覚を調査した(有効回答4,456, 回収率66.3%)。研究環境・権限は総じて「発表論文の責任者」「担当課題の予算作成・執行の実質的な責任者」「特定の部下(大学院生)の指導の責任者」「研究グループの予算作成・執行の実質的な責任者」「独立した研究室」の順に拡大していくこと、これら5つの権限を満たしたPI(Principal Investigator)は研究者のうち36%であることが確認された。加えて、1950年代生まれの世代と1970年代生まれの世代を比較すると、研究環境は概して改善していることが示された。