- 著者
-
河野 勝
荒井 紀一郎
- 出版者
- 日本選挙学会
- 雑誌
- 選挙研究 (ISSN:09123512)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.2, pp.5-18, 2019 (Released:2022-09-12)
- 参考文献数
- 25
現代の民主主義は,エリートレベルでの「競争」とマスレベルでの「代表」という,2つの異なる政治過程との関連において特徴づけられ,理解されてきた。本稿の目的は,戦後日本を題材にして,様々な調査データを効果的に組み合わせて利用することにより,競争プロセスと代表プロセスとが織りなす交差の動態を明らかにする。まず,記述統計に依拠して,圧力団体が一般有権者を念頭において行う活動のパターン,また有権者の側の圧力団体への関与のパターンを,検証する。続いて,平均構造モデルを用いて,競争と代表のプロセスが互いに影響を及ぼしあう「行動的共振(behavioral synchronization)」とでも呼べる現象を浮き彫りにする。具体的には,分野ごとまた時代ごとに異なる圧力団体の影響力や戦略に応じて,当該団体に関与する人々の政治的有効性感覚が変動することを示す。