著者
境家 史郎
出版者
日本政治学会
雑誌
日本政治學會年報政治學 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1_236-1_255, 2013
被引用文献数
1

In the late 1980s, Ikuo Kabashima empirically showed that uneducated voters in rural areas were more likely to participate in elections in postwar Japan unlike other developed democracies. He argued that this participation structure was the key to Japan's postwar super-stable party system and rapid economic growth with equality. This paper reexamines this well-known "political equality" thesis. The analysis of survey data covering the period from 1958 to 2009 shows that the participation structure shown by Kabashima existed only in the 1970s-80s or the golden age of the 1955 system. The study then explores why the structure changed in the 1990s comparing data from the 1980s and 2000s. The analysis suggests that rural political networks became weaker and the political efficacy of urban educated voters increased over the past 20 years, which resulted in rural voters' lower turnout and educated voters' higher turnout in recent elections.
著者
境家 史郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.57-72, 2013 (Released:2017-11-03)
参考文献数
7

本稿では,月例ウェブ調査の分析を通し,東日本大震災が日本人の政治的意識・行動に与えた影響について包括的に検討する。分析の結果,女性,低学歴層,低所得層において震災による社会的被害が比較的深刻に捉えられている一方,東北地方以外においてはこの「社会的被害認識」が時間とともに弱まりつつあることが示される。社会的被害認識の政治行動論的影響という面では,震災被害を深刻に受けとめている有権者ほど一般に政治に対する関心を高め,多くの個別的政策争点について意見を変化させていること,また有権者の意識上で,経済や外交面での近年の日本の置かれた多重的危機状況が震災危機と関連付けられていることを明らかにする。他方,有権者の社会的被害認識は,2012年衆院選での投票参加および投票先の選択にはほとんど影響していなかったことが示される。
著者
三輪 洋文 境家 史郎
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.1_34-1_57, 2020 (Released:2021-06-16)
参考文献数
17

本研究は、戦後に主要7調査機関が実施した憲法に関する世論調査の結果を包括的に分析することで、戦後日本人の憲法意識の変遷を追うことを目的とする。動的線形モデルを応用した世論調査集積法を用いることによって、質問内容やワーディングの違い、調査機関・調査方法ごとの傾向、標本誤差を考慮した上で、憲法改正に対する潜在的な賛成・反対率を推定できる。推定結果からは、有権者の認識において1950年代には憲法改正が全面改憲を意味したのに対して、1960~80年代にかけて争点が9条改正に収斂していったこと、1990~2000年代には9条以外の論点が明確に意識されるようになったこと、小泉政権後は焦点が再び9条問題に絞られつつあることが読み取れる。さらに、質問内容やワーディングに関する分析結果からは、一般的に9条の改正が2項の改正として有権者に認識されていることや、戦争を連想させることが9条改正の反対率を高めることなどが示唆される。
著者
境家 史郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.5-17, 2010 (Released:2017-03-31)
参考文献数
12

本稿の目的は,候補者レベルの選挙公約が決定されるメカニズムについて,現代日本政治の保守化の問題と関連させながら論じることである。1990年代後半以降,国旗国歌法制定,首相の靖国神社参拝,防衛「省」昇格,教育基本法,国民投票法制定など保守的傾向の強い政策実施が目立つが,こうした日本政治の保守化傾向を説明する要因のひとつとして選挙過程が機能しているというのが筆者の立場である。すなわち,近年の「小選挙区制+左翼政党候補の出馬+公明党の自民候補推薦」という選挙競争の文脈において,自民党,民主党候補が「選挙民の選好分布とは独立に」より保守的な公約を訴えるインセンティブを持つことを理論的に示し,実証するのが本稿の主題である。
著者
肥前 洋一 船木 由喜彦 河野 勝 谷口 尚子 境家 史郎 荒井 紀一郎 上條 良夫 神作 憲司 加藤 淳子 井手 弘子
出版者
北海道大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

領域全体の主題である実験社会科学の確立に向け、政治学分野の実験研究を発展させた。具体的には、実験室実験・fMRI実験・調査実験を実施して「民主主義政治はいかにして機能することが可能か」という課題に取り組むとともに、政治学における実験的手法の有用性を検討する論文・図書の出版および報告会の開催を行った。
著者
境家 史郎
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.1_236-1_255, 2013 (Released:2016-07-01)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

In the late 1980s, Ikuo Kabashima empirically showed that uneducated voters in rural areas were more likely to participate in elections in postwar Japan unlike other developed democracies. He argued that this participation structure was the key to Japan's postwar super-stable party system and rapid economic growth with equality. This paper reexamines this well-known “political equality” thesis. The analysis of survey data covering the period from 1958 to 2009 shows that the participation structure shown by Kabashima existed only in the 1970s-80s or the golden age of the 1955 system. The study then explores why the structure changed in the 1990s comparing data from the 1980s and 2000s. The analysis suggests that rural political networks became weaker and the political efficacy of urban educated voters increased over the past 20 years, which resulted in rural voters' lower turnout and educated voters' higher turnout in recent elections.
著者
境家 史郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.81-95, 2014 (Released:2018-01-05)
参考文献数
37

政治学において自然科学を範とする傾向がますます強まり,「より科学的」な研究を行うがための方法論争が盛んである。近年の実験的手法の流行もこの文脈において理解できる。しかしそもそも政治学者の想定する自然科学像ないし自然科学における研究蓄積過程のイメージは,どれだけその実態に即しているのだろうか。本稿では筆者自身のfMRI実験(Sakaiya et al. 2013)の経験もふまえ,認知神経科学における研究蓄積過程の実際を概観する。その結果,メカニズム追究,少数事例研究,帰納的分析といった,政治学にお いて意義の争われてきた方法が,自然科学分野において積極的に採られていることが示される。また,実験(という政治学者が理想とする検証方法)が可能な自然科学分野においても,少数の検証結果によって最終的結論に至るわけではなく,実際には同様の目的の実験を反復し,あるいは他のアプローチを併用するなど,きわめて慎重に議論が進められていることも示される。以上の観察は,政治学研究の「科学的」発展のための新たな方法論的示唆を与える。
著者
境家 史郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.5-17, 2010

本稿の目的は,候補者レベルの選挙公約が決定されるメカニズムについて,現代日本政治の保守化の問題と関連させながら論じることである。1990年代後半以降,国旗国歌法制定,首相の靖国神社参拝,防衛「省」昇格,教育基本法,国民投票法制定など保守的傾向の強い政策実施が目立つが,こうした日本政治の保守化傾向を説明する要因のひとつとして選挙過程が機能しているというのが筆者の立場である。すなわち,近年の「小選挙区制+左翼政党候補の出馬+公明党の自民候補推薦」という選挙競争の文脈において,自民党,民主党候補が「選挙民の選好分布とは独立に」より保守的な公約を訴えるインセンティブを持つことを理論的に示し,実証するのが本稿の主題である。
著者
境家 史郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.20-31, 2012 (Released:2017-08-04)
参考文献数
25

本研究では政治家調査データを分析し,2010年参院選時におけるエリートレベルの政策的対立軸を示す。探索的因子分析の結果,「安保・社会政策における保守―リベラル度」「五五年型政治経済体制に対する賛否」「新自由主義的経済に対する賛否」「民主党目玉政策に対する賛否」と解釈しうる,4次元の統計的に有意味な軸が抽出される。これらの争点軸は,五五年体制期以来の旧来的政治対立構造に加え,90年代以降の経済財政危機,2009年の政権交代の実現等により累積的に形成されてきたものと考えられる。本研究では以上の結果から先行分析に対する再検討を行う。また,4次元軸上における主要政党の政策位置や散らばりの程度を示し,昨今の政党間・政党内競争のあり方に関する含意を得る。
著者
境家 史郎
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.81-95, 2014

政治学において自然科学を範とする傾向がますます強まり,「より科学的」な研究を行うがための方法論争が盛んである。近年の実験的手法の流行もこの文脈において理解できる。しかしそもそも政治学者の想定する自然科学像ないし自然科学における研究蓄積過程のイメージは,どれだけその実態に即しているのだろうか。本稿では筆者自身のfMRI実験(Sakaiya et al. 2013)の経験もふまえ,認知神経科学における研究蓄積過程の実際を概観する。その結果,メカニズム追究,少数事例研究,帰納的分析といった,政治学にお いて意義の争われてきた方法が,自然科学分野において積極的に採られていることが示される。また,実験(という政治学者が理想とする検証方法)が可能な自然科学分野においても,少数の検証結果によって最終的結論に至るわけではなく,実際には同様の目的の実験を反復し,あるいは他のアプローチを併用するなど,きわめて慎重に議論が進められていることも示される。以上の観察は,政治学研究の「科学的」発展のための新たな方法論的示唆を与える。
著者
久米 郁男 曽我 謙悟 境家 史郎
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、江戸時代における大名家の「統治体制」の成立を、大名家が大名個人の「家」から、家臣団がそれぞれの分限にしたがって帰属する「公的」な共同体たる「御家」といたる変化と捉えて、そのプロセスを実証的に解明し、その意義を検討することを目的とした。その際に、アメリカやヨーロッパの政治学会において近年注目される統治体制形成に関する計量的歴史分析の業績のなかでも、Blaydes&Chaneyによる封建革命とヨーロッパ君主の在位期間に関する研究やKokkonenn & Sundellによる長子相続と君主制の存続可能性に関する研究など江戸期への応用可能性の高い論文を検討してその延長上に我々の研究デザインを構築した上で、我々プロジェクトの従属変数である統治体制変容の計量分析の前提となる各大名家・諸藩の統治体制データの構築を行うための手がかりとして、工藤編『江戸時代全大名家事典』などの2次資料を利用してデータベースの作成を進めた。その結果、江戸大名3576名について、家名、藩主名、藩名、石高、出自(父母)、出生地(判明しているもののみ)、生年、没年、家督相続年月、官位、官位叙任年、退任年月、退任理由、幕府要職、要職就任年を項目とするデータベースを完成させた。これと平行して、御家騒動の様々な類型(福田2005)の背後にある因果メカニズムに注目し、先行研究に基づく御家騒動データベースを構築した。しかし、この過程において、御家騒動に至らない(観察されない)統治体制の変化をどのように捉え、その効果を検証するかについて研究上大きな課題があるとの結論に至った。そこで、藩主在任期間、藩主交替の態様などについてより広く計量分析を行い、我々の仮説を一定程度サポートする有意な分析結果を得た。本プロジェクトは終了したが、この分析結果を基に内外の学会での報告に向けてペーパーを作成し成果発表を準備している。