著者
小田 朋宏 荒木 啓二郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.4_129-4_143, 2017

ソフトウェアシステムの開発において仕様記述は重要な工程であり,仕様記述の曖昧さや誤りは開発全体の生産性および信頼性に重大な影響を与えることが知られている.形式仕様を記述することはモデリングの一種であり,数学的な裏付けのある道具立てによって適切な抽象度でシステムの機能を厳密に定義する工程である.厳密で適切な抽象度の仕様記述を得るために,形式仕様記述者は仕様記述の初期段階において問題領域を探索し対象ドメインの知識獲得や要求項目への理解を深めながらモデリングを進める.本論文では,探索的なモデリングを支援するためのツールに求められる性質を示した上で,形式仕様記述言語VDM-SLによる探索的モデリングを支援する統合開発環境ViennaTalkのデザイン指針,設計および実装を示す.
著者
大森 洋一 荒木 啓二郎
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.18-28, 2010-12-10

形式的な論理に基づいたモデルベース開発は,上流工程からソフトウェア品質の向上に有用なさまざまな数理的検証を可能とする.しかし,システム開発における仕様記述のほとんどは自然言語により行われており,形式モデルへの変換が必要である.我々は,自然言語による要求あるいは仕様の記述から形式的なモデルの要素となるキーワードを抽出し,それらの関連を特定するという,よく知られた手順をより精密に定義し,この手順を効率的にサポートするツールを開発した.自然言語記述と形式モデルを対応づけることによって,解釈の一意性と記述の柔軟性を両立させることができる.開発したツールを活用した検証では,自然言語による仕様記述に対して,用語や表記のゆれといった言語的な品質から,記述不足や多義的な用語といった解釈に関する問題まで幅広く改善できることを示すとともに,より高度な自動変換に向けての課題を明らかにした.
著者
小田 朋宏 荒木 啓二郎
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.4_129-4_143, 2017-10-25 (Released:2017-11-03)

ソフトウェアシステムの開発において仕様記述は重要な工程であり,仕様記述の曖昧さや誤りは開発全体の生産性および信頼性に重大な影響を与えることが知られている.形式仕様を記述することはモデリングの一種であり,数学的な裏付けのある道具立てによって適切な抽象度でシステムの機能を厳密に定義する工程である.厳密で適切な抽象度の仕様記述を得るために,形式仕様記述者は仕様記述の初期段階において問題領域を探索し対象ドメインの知識獲得や要求項目への理解を深めながらモデリングを進める.本論文では,探索的なモデリングを支援するためのツールに求められる性質を示した上で,形式仕様記述言語VDM-SLによる探索的モデリングを支援する統合開発環境ViennaTalkのデザイン指針,設計および実装を示す.
著者
後藤幸功 長野 央 荒木 啓二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.104, pp.115-120, 1997-11-06
参考文献数
6
被引用文献数
8

インターネットを使用した動画像アプリケーションは,品質が保証された通信を必要とするためRSVPなどを用いて資源予約を行なう必要がある.しかし,RSVPとIntegrated Serviceで規定されている品質のパラメータはユーザが動画像が要求する品質パラメータと異なるため,動画アプリケーションはRSVPを使用して要求するパラメータとは他にユーザから動画アプリケーションに要求する品質パラメータの値を送信者に送る必要がある.本稿では,ユーザが動画アプリケーションに対して要求するパラメータを考察し,RSVPを用いて資源予約可能な動画アプリケーションを実装するための機能のモデルを提案した.Movie applications on the internet need to use RSVP (Resource Reservation Protocol) which is one of reservation protocol on the internet to guarantee of QoS. However, QoS parameters which are described in drafts of RSVP and Integrated Service by IETF differ with QoS parameters which are required from users to movie application. "Therefore it is need the system which send QoS parameters required user to the movie server beside RSVP. In this paper, we discuss QoS parameters which are required by users and proposed the model of system for the implementation of movie application which guarantees QoS using RSVP.
著者
須賀 祐治 荒木 啓二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.104, pp.13-18, 1997-11-06

本報告ではアソシエーションスキームを用いたゼロ知識対話証明(以下ZKI)を提案する。ZKIPは相手認証やディジタル署名などといった情報セキュリティの技術へと形を変えることができる。今回提案するZKIPは認証方式としてはまだ実用的ではないが、秘密分散方式にも対応できる点で優れている。現在、RSA 等多くの認証方式の安全性を保証しているのは、十分大きな数の因数分解は難しいという事実である。近い将来、効率のよい因数分解のアルゴリズムが発見された時点で、これらの認証方式の安全性が失われることも想定される。本研究はRSA等とは全く別の観点から新しい認証方式を導入することで、これらの事故が起きた場合の一つの代替方式として提案する意味合いも持つ。This paper proposes zero-knowledge interactive proofs (ZKIPs in short) using association schemes. ZKIPs can be transformed into technologies of securities such as authentication, digital signature and so on. Proposed protocols are not practical, but are superior others because these can use as the secret sharing schemes. The difficulties of the solution into factors assure everyone of one's securities. So if useful algorithms for the solution into factors are found, RSA for ferfeits confidence. This paper also proposes a new substitute method by viewing from a different angle.
著者
須賀 祐治 山崎重一郎 村上 美幸 荒木啓二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.54, pp.23-28, 1998-05-29

現在、インターネット上のプロトコル,アプリケーションはセキュリティを確保するために公開暗号鍵技術を使用しているが、それらが利用できる公開暗号鍵インフラ(public-key infrastructure PKI)の整備が急務となっている。X.509標準[2]はこのインフラのベースとなるもので、認証の基本的な枠組みおよび証明書のフォーマットが規定されている。またX.509デジタル証明書はすでに多くのアプリケーションで利用されている。本報告では、異なる認証ドメインの証明書の検証が可能になり、結果的にPKIクライアントのサービス有効範囲を拡大することができる相互認証技術をディレクトリサービスを用いた方式で提案する。Many Internet protocols and applications employ public-key technology forsecurity purposes and also require a public-key infrastructure (PKI in short) to manage public keys. The X.509 standard constitutes a basis for such an infrastructure, defining data formats and authentication framework. X.509 certificates are already used in multiple applications. This document proposes cross-certification by using the X.500 Directory, and it is possible to verify certificates on another domain and also extend scopes which PKI users can receive services.
著者
朝長 康介 太田 昌孝 荒木 啓二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告高度交通システム(ITS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.115, pp.127-132, 2002-11-28

ユビキタス環境において、携帯端末の位置情報はそのユーザの位置を表す。この位置情報を複数個組み合わせれば、複数の携帯端末ユーザが位置に基づいて協調するためのグループウェアが実現できる。本論文では、このグループウェアに位置情報を提供するためのプロトコルLBGPを設計し、この応用を提案する。応用としては、地理的に周囲の人に話しかける文字チャットや,自分の位置情報を望む相手に通知するサービスがある。この応用は、LBGPとエニキャストを用いた位置依存サービスを組み合わせることで容易に実現できる。In ubiquitous computing environment, location information of portable devices indicates location of the device users. Therefore, location based groupware can use location information of portable devices as their user's location information. This paper presents a protocol which defines how portable devices embed their location information into a URL. By using this protocol, portable devices can submit their location information on HTTP. This paper also presents applications of the protocol such as chat system which allow users to chat with people around them.
著者
坂本 憲昭 深瀬 光聡 峯 恒憲 日下部 茂 中西 恒夫 大森洋一 北須賀 輝明 ウッディンモハマッドメスバ 荒木 啓二郎 福田 晃 安浦 寛人
出版者
社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.2830-2842, 2008-08-15
被引用文献数
6

高度情報化社会の基礎である情報技術の発達は我々の生活を一変させるほどのインパクトを持っており,その進歩の速度は目覚ましいものがある.一方で産業界からは次世代を担う能力を備えた高度ICT(Information and Communication Technology)人材の不足が指摘されている.このような技術の進歩と社会的要請に応えるため,九州大学大学院システム情報科学府では平成19年4月から新しい修士課程教育コースである社会情報システム工学コースを設置した.本コースでは,文部科学省の支援を受け,日本経団連傘下企業との大規模な連携体制の下で,高度な技術力を持ち,基礎知識と社会的倫理観を兼ね備えた世界に通用するリーダの育成を目的とした実践的教育を開始した.この教育プログラムの計画実施過程の中で,1) PBL(Project Based Learning),2) オムニバス形式講義,3) 長期インターンシップ,4) カリキュラム内容検討,のあり方や実施方法に関していくつかの知見が得られた.本論文では,当コースの教育内容と方法,修士課程1年前期終了時点における実績と評価,および今後の課題について述べる.The progress of Information Technology, which is the infrastructure of an advanced information society, is remarkable and has the enormous impact on our daily life. On the other hand, it has been pointed out by the industry that there is a lack of highly skilled ICT (Information and Communication Technology) personnel who can lead the next generation. In order to address this issue, the Graduate School of Information Science and Electrical Engineering in Kyushu University has established Social Information System Engineering Course. Since April 2007, we have started practical education program with an objective to foster world class leader who has extraordinary technical skill, basic knowledge and sense of ethics. This effort is gradually progressing by the collaboration with various companies through Nippon Keidanren with support of Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. There have been several findings in 1) PBL (Project Based Learning), 2) omnibus classes, 3) long term internship, and 4) curriculum improvements during the planning and execution of this program. This paper describes the content, method, result and evaluation at the end of the first semester of this course. We also discuss the issues and concerns that need to be resolved.
著者
岡村 耕二 縄田 毅史 平原 正樹 荒木 啓二郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.40, pp.756-757, 1990-03-14

我々は並列プログラミング言語の処理系を分散環境上で実現する研究を行っている。本論文ではこの処理系の言語仕様で記述された並列プログラムの実行を支援するオペレーティングシステム(以下OS)、DaOSの概要を述べる。本論文では処理単位の呼び方を扱い方によってプロセスとタスクとに区別する。すなわち、処理単位をOSで管理する場合はプロセスと呼び、処理単位を言語のレベルで指定する時はタスクと呼ぶ。
著者
山崎重一郎 井上 崇 川根 祐二 荒木 啓二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.26-31, 2000-01-15
被引用文献数
4

福岡市早良区の"シーサイドももち地区"に無線を利用した地域ネットワークを構築し,都市のインフラとしてのインターネットの利用の実証実験を行った.本稿では高層建築物を利用した都市部に適した無線LAN装置によるネットワークの構築方法,地域ネットワークのコンテンツとサービス,そして地域コミュニティによる地域ネットワーク利用について報告する.
著者
有田 五次郎 荒木 啓二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.230-237, 1983-03-15
被引用文献数
2

オペレーションを点 制御の移動を枝とする非巡回定向グラフで表現される並列プログラムのあるクラスは 各プロセッサが先着順(FCFS)で各オペレーションを実行するとき 自然に同期がとれる.木構造グラフとなるこのような並列プログラムを待ちなし並列プログラム(SPP)と呼ぶ.FCFSはFIFOメモリを用いてハードウェアで容易に実現でき SPPはMIMD型高多重並列処理における同期問題を解決する一つの手段となる.本論文ではまず並列プログラムをグラフ表現し 確定性 同値性等の幾つかの性質について論じる.ここで用いる定義は並列プログラムの物理的性質 すなわちセグメンテーションやプロセッサ割当てを含んでいる.次に木構造グラフで表現されるSPPを定義してその性質について考察し 最後に一般の並列プログラムをそれと同値なSPPに変換する手順を与える.SPPはデータ依存関係に基づいて構成されており 一種のデータ駆動型プログラムとみなすことができるしかしこれらはオペレーションとその間のコントロールフローで表現されており FIFOキューをハードウェアでもったマルチプロセッサシステムによって効率よく実行できる.