著者
中西恒夫 久住憲嗣 福田晃
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.9, pp.1-6, 2013-03-06

XDDP4SPLは,派生開発の中で現有ソフトウェア資産に関する理解を深め,コア資産の新規開発や現有ソフトウェアからの発掘を進め,コア資産の蓄積を進め,プロダクトライン開発に漸次的に移行するべく提唱された開発プロセスである。その過程においては,ソフトウェアプロダクトラインのパラダイムに基づく開発と派生開発による開発が併走し,現有ソフトウェア資産については,プロダクトライン全体の中での位置づけが定まっている部分とそうでない部分,コア資産として管理される部分とそうでない部分とが併存するため,プロダクトライン開発への移行,コア資産の蓄積の現況の把握が欠かせない。この目的のため,現有ソフトウェア資産の理解の深化にあわせて,徐々にトレーサビリティ管理の詳細度を向上できる,階層化トレーサビリティマトリックスの記法,ならびにフィーチャモデルの変化に伴う更新の方法を述べる。
著者
浅野 雅樹 西浦 洋一 中西 恒夫 藤原 啓一
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2019-SE-202, no.3, pp.1-8, 2019-07-05

本稿は,アイシン精機株式会社における自動車ボディ系製品向けプロダクトラインを開発するためのドメインエンジニアリングプロセス改定の事例を示す.このプロセスでは,抽象化や関心事の分離に長けた限られた数の開発者がフィーチャ分析を実施し,仕様からアーキテクチャ設計を含む他の作業は製品に精通する一般の開発者が実施する.フィーチャ分析は,可変性との整合性を担保しつつ抽象化と関心事分離を実現し,以降の工程で作成する開発文書をその分離構造に従わせるために実施する.要求と仕様は,ユースケース,ユースケースシナリオ,階層化された表形式による仕様記述 (USDM) によって詳細化される.さらに,USDM における仕様記述は,ロバストネス図のコントロール間の結合度を表す設計構造マトリクス(DSM :Design Structure Matrix) を用いた,定量的かつ説明可能な手法によってシステム分割へと詳細化される.今回改善したドメインエンジニアリングプロセスにより,仕様やアーキテクチャ設計に係るソフトウェアレビューの問題指摘件数が削減され,アーキテクチャ設計の期間が短縮され,かつ変更しやすいアーキテクチャが維持できたことが確認できた.
著者
部谷 修平 久住 憲嗣 石原 亨 神山 剛 中西 恒夫 福田 晃
雑誌
研究報告システムLSI設計技術(SLDM)
巻号頁・発行日
vol.2011-SLDM-149, no.2, pp.1-6, 2011-03-11

本論文では AndroidOS 上で動作するアプリケーションの省電力化のためのプロファイリング手法を提案する.従来の消費電力分析技術は分析のために対象システムを稼働させなければならなかったり,計算負荷が大きく手軽ではなかった.またシステム全体の電力しか分析できず,ソフトウェアのクラスやメソッドレベルでのボトルネックの発見には役に立たなかった.本手法はリソース消費ログから消費エネルギーを見積もる軽量な線形モデル式をもとにしているためシミュレーションで手軽にできる.またメソッド単位で電力を分析できるという特徴を持つ.本手法の中で電力分析のための侵襲性の異なる 2 種類のログの取り方を示す.本論文の最後で提案手法についてログの取得方法,誤差と侵襲性について評価した結果,それぞれのログの取得方法について精度と侵襲性の関係を明確化できた.
著者
周天宇 中西恒夫 久住憲嗣 福田晃
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.5, pp.1-6, 2013-03-06

GPSならびにQZSSによる測位の精度を向上させるべく,捕捉した衛星の中から実際に測位に用いる衛星を選択するアルゴリズムを提案する。提案アルゴリズムは捕捉した衛星の中から仰角が1番目と2番目に大きい2機,ならびに仰角が近く,方位角が90°ずつ均等に空いている4機,計6機を選び出す。提案アルゴリズム「ファジイ6機衛星群選択アルゴリズム」は,既存のファジイ4機衛星群選択アルゴリズムの拡張である。開空条件の良い場所でも悪い場所でも,測位精度を示すGDOPが同アルゴリズムよりも良い値を示した。また,QZSSを併用する場合としない場合とでは,併用する場合のほうがGDOPが良くなることも確認された。
著者
森 奈実子 久住 憲嗣 中西 恒夫 福田 晃
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2010-MBL-53, no.12, pp.1-8, 2010-03-19

ドメイン特化型開発では,特定の市場領域に属するソフトウェアを効率的に開発できる DSL (Domain-Specific Language) を定義し,開発者はその言語を用いてソフトウェアを開発する.しかし,ドメイン特化型開発では特有のテストプロセスは定義されていない.そこで,本稿では DSL の分類に応じたテストケース自動生成手法を援用したテストプロセスを提案する.ケーススタディとして小規模な DSL に提案手法を適用し,その結果を基に従来手法との比較を行った.
著者
安浦 寛人 村上 和彰 黒木 幸令 櫻井 幸一 佐藤 寿倫 篠崎 彰彦 VASILY Moshnyaga 金谷 晴一 松永 裕介 井上 創造 中西 恒夫 井上 弘士 宮崎 明雄
出版者
九州大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2002

本研究では,システムLSI設計技術を今後の高度情報化社会を支える基盤情報技術ととらえ,システムLSIに十分な機能・性能・品質・安全性・信頼性を与えるための統合的な設計技術の確立を目指す.1.高機能・高性能なシステムLSIを短期間に設計する技術では,無線通信機能を有するシステムLSI設計技術の研究を行い,シリコンチップ上にコンパクトで安定なRFフロントエンドを実現するためにコプレナー線路を通常のCMOSプロセスで形成する技術を確立した.また,新しい可変構造アーキテクチャとしてSysteMorphやRedifisプロセッサを提案し,それに対する自動設計ツールとしてRedifisツール群を開発した.2.必要最小限のエネルギー消費を実現する技術としては,データのビット幅の制御,アーキテクチャの工夫,回路およびプロセスレベルでのエネルギー削減技術,通信システム全体の低消費エネルギー化設計手法などを構築した.3.社会基盤に求められる信頼性・安全性を実現する技術としては,安全性・信頼性を向上させるための技術として,ハッシュ関数や暗号用の回路の設計や評価を行った.また,電子投票システムや競売システムなどの社会システムの安全性を保証する新しい仕組みや,セキュリティと消費電力および性能のトレードオフに関する提案も行った.4.社会システムの実例として,個人ID管理の仕組みとしてMIID(Media Independent ID)を提案し,権利・権限の管理なども行えるシステムへと発展させた.九州大学の全学共通ICカードへの本格的な採用に向けて,伊都キャンパスの4000名の職員、学生にICカードを配布して実証実験を行った.本研究を通じて,社会情報基盤のあり方とそこで用いられるシステムLSIの研究課題を明示した.RFIDや電子マネーへの利用についても利用者や運用者の視点からの可能性と問題点をまとめることができた.
著者
中西 恒夫 福田 晃
雑誌
情報処理学会研究報告システム評価(EVA)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.13(2001-EVA-002), pp.163-170, 2002-02-14

CMOS 回路の消費電力はビット反転の数に比例する.本稿では,CMOS 回路の電力消費を削減するべく,ビット反転数が最小化されるように符号を再割当する問題を,二次整数計画問題として定式化する.大規模な二次整数計画問題を短時間で解析的に解くことはいまだ困難であるため,本稿ではシミュレーテッドアニーリングを用いてこの二次整数計画問題を解く.符号再割当の結果,ビット反転数は 0% から 51.6% まで削減できたが,同時に削減率はファイルの種類や符号のビット幅に大きく依存することがわかった.
著者
岸 知二 石田 裕三 坂田 祐司 中西 恒夫 野田 夏子 野中 誠 林 好一 久住 憲嗣 山内 和幸 吉村 健太郎 鷲崎 弘宜
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.32, pp.1-3, 2013-10-17

ソフトウェアプロダクトライン国際会議(SPLC2013)が東京で開催されたので,会議の状況について報告する.We report on the 17th Software Product Line Conference was held in Tokyo, Japan.
著者
中野 達彦 中西 恒夫 田頭 茂明 荒川 豊 福田 晃
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2013-MBL-66, no.11, pp.1-6, 2013-05-16

センサの小型化,低価格化,高精度化に伴うセンサネットワーク技術の発展の影響は農業にも及び,勘と経験の農業技術の見える化と農作物管理の高度化・高効率化を目指す環境情報モニタリング環境が構築されつつある.我々は,他のどのセンサノードともマルチホップ無線通信によるデータ通信ができずに孤立するセンサノードが存在するような農業疎密無線センサネットワークにおいて農業技術の見える化を試みることを想定し,オープンソースハードウェアの Arduino を採用し費用を最小限に抑え,さらに太陽光と風力によるハイブリッドなエナジーハーベストによって電源を確保し,超音波距離センサあるいは 315MHz 無線通信を用いた起床で実現する省電力な Data MULE によってデータ通信を行うセンサノードのプロトタイプを開発した.さらに,稼働時間に関して試算した結果,エネルギー供給は太陽光と風力で,動作に支障なく十分に賄えることがわかった.
著者
中西 恒夫 グリーペントローク ハンス・ヴェルナー イェーガー・ハンセン クラエス 久住 憲嗣 福田 晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.23, pp.1-6, 2012-05-03
参考文献数
10

製品をまたがってソフトウェア資産を再利用するソフトウェアプロダクトライン開発方法論(SPL: Software Product Line)はその導入障壁の高さが常に問題となる。近年, SPL同様,派生製品の開発を容易にする開発プロセスとして,派生開発プロセスXDDP (eXtreme Derivative Development Process)が注目され,産業界での事例が多く報告されている。SPLはプロダクトラインの大域的かつ将来的な製品計画,システムの全体理解,コア資産の開発と保守を要する計画駆動の全体最適化的パラダイムである。一方, XDDPは派生製品において生じる追加・変更部分の分析に集中し,追加・変更部分の改変手順を明示的に与える変更駆動の部分最適化的プロセスである。XDDPは導入障壁の低さではSPLに勝るが,派生製品導出にかかるコストや複雑さの削減の面ではアプリケーションエンジニアリングでの派生製品開発の自動化を図るSPLが有利である。本稿では,導入障壁の低いXDDPから派生製品の開発を始め,派生製品開発のたびにSPLへの漸次的移行を進めるプロセス, XDDP4SPLを提案し,自律走行車両での試験的実施例を示す。
著者
坂本 憲昭 深瀬 光聡 峯 恒憲 日下部 茂 中西 恒夫 大森洋一 北須賀 輝明 ウッディンモハマッドメスバ 荒木 啓二郎 福田 晃 安浦 寛人
出版者
社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.2830-2842, 2008-08-15
被引用文献数
6

高度情報化社会の基礎である情報技術の発達は我々の生活を一変させるほどのインパクトを持っており,その進歩の速度は目覚ましいものがある.一方で産業界からは次世代を担う能力を備えた高度ICT(Information and Communication Technology)人材の不足が指摘されている.このような技術の進歩と社会的要請に応えるため,九州大学大学院システム情報科学府では平成19年4月から新しい修士課程教育コースである社会情報システム工学コースを設置した.本コースでは,文部科学省の支援を受け,日本経団連傘下企業との大規模な連携体制の下で,高度な技術力を持ち,基礎知識と社会的倫理観を兼ね備えた世界に通用するリーダの育成を目的とした実践的教育を開始した.この教育プログラムの計画実施過程の中で,1) PBL(Project Based Learning),2) オムニバス形式講義,3) 長期インターンシップ,4) カリキュラム内容検討,のあり方や実施方法に関していくつかの知見が得られた.本論文では,当コースの教育内容と方法,修士課程1年前期終了時点における実績と評価,および今後の課題について述べる.The progress of Information Technology, which is the infrastructure of an advanced information society, is remarkable and has the enormous impact on our daily life. On the other hand, it has been pointed out by the industry that there is a lack of highly skilled ICT (Information and Communication Technology) personnel who can lead the next generation. In order to address this issue, the Graduate School of Information Science and Electrical Engineering in Kyushu University has established Social Information System Engineering Course. Since April 2007, we have started practical education program with an objective to foster world class leader who has extraordinary technical skill, basic knowledge and sense of ethics. This effort is gradually progressing by the collaboration with various companies through Nippon Keidanren with support of Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. There have been several findings in 1) PBL (Project Based Learning), 2) omnibus classes, 3) long term internship, and 4) curriculum improvements during the planning and execution of this program. This paper describes the content, method, result and evaluation at the end of the first semester of this course. We also discuss the issues and concerns that need to be resolved.
著者
久住 憲嗣 中西 恒夫 北須賀 輝明 福田 晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MBL, [モバイルコンピューティングとワイヤレス通信] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.133-140, 2002-11-28
被引用文献数
2

近年,ウエアラブルコンピュータの研究がさかんである.常に利用者が装着するウエアラブルコンピュータは,利用者が操作に専念できない状況が考えられ,センサ等の情報から推測される利用者の置かれている状況をもとに,できるだけ自動的に利用者の生活の補助をすることが望ましい.いわゆるコンテキストアウエアネスが必要である。そこで本稿では,コンテキストアウエアアプリケーションの実装を容易化するミドルウエアを提案する.提案ミドルウエアにおいてコンテキストを統一的に扱うために,コンテキストモデルを集合論・関係代数を用いて形式的に定義する.また,コンテキストアウエアアプリケーション実装者の負担を軽減する,コンテキストに基づくプロセスの自動制御手法について述べる.さらに,コンテキストモデル及びコンテキストに基づくプロセス自動制御手法の実装方針について述べる.
著者
築添 明 林田 隆則 安浦 寛人 平川 和之 伊藤 文章 村上 貴志 久住 憲嗣 中西 恒夫 福田 晃
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.38-42, 2006-09-20
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

The Silicon Sea Belt Fukuoka Project was pushed forward in Fukuoka Prefecture in 2001 and has promoted human resource development of System LSI design engineers. Under liaising of industry, academia and government, "College of System LSI, Fukuoka" was founded and QUBE (Q-shu University hardware/software Borderless system design Education program) has been started aiming to establish education system for working engineers. In this paper, results of our challenge and future prospects are described.
著者
中西 恒夫
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

外部ソフトウェア部品は,より多くのアプリケーションに適用できるように再利用性を追求しており,その代償として個別のアプリケーションでは不要なパラメータ検査等の計算時間やコード量における余剰のオーバーヘッドを孕んでいる.本研究では,外部ソフトウェア部品の汎用性ゆえのオーバーヘッドを削減し,対象環境にあわせてアプリケーションと外部ソフトウェア部品を一体的に適応化/最適化する研究を行った.平成17年度は,ITRON, Linux等の特定のオペレーティングシステムを対象に,オペレーティングシステムとアプリケーションの一体的特化を検討する予定であったが,ITRON等のオペレーティングシステムのコンポーネント化が進められていることを鑑み,組込み向けコンポーネントを対象としたアプリケーション特化を検討することとした.Philips社で開発された組込み向けコンポーネントであるKoalaは,そのコンパイラにおいて積極的に静的評価を行い,ある程度のプログラム特化をすでに実現している.そこで,本研究ではKoalaを補強・拡張するとともに,さらに前年度に使用したC言語用プログラム特化器C-Mix/IIを,Koalaコンパイラの出力するC言語コードに適用することで,組込み機器向けソフトウェアの特化を図るアプローチをとることとした.Koalaでは,例外処理機構が整備されていないため,本研究ではKoalaの拡張として例外処理モデルを定め,当該モデルに即した例外処理コードの生成法の考案と性能評価を今年度行った.当該例外処理コード生成を対象としたプログラム特化については,今年度中に成果を出すことはできなかった.
著者
野田 厚志 北須賀 輝明 田頭 茂明 中西 恒夫 福田 晃
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.643-655, 2009-03-25

本論文では,無線可視領域通信(WVAC : Wireless Visible Area Communication)において通信相手の特定を支援する名前解決ミドルウェアを提案する.WVACとは,近距離無線通信デバイスを用いて,ユーザの視界内に存在する端末と,一時的にネットワークを形成し,即座に情報交換を実現する無線通信のことである.提案ミドルウェアは,従来の名前を用いることに加えて,周辺端末との相対位置を補助的に提示することで,WVAC環境における通信相手の特定を効果的に支援する.提案ミドルウェアは,(1)ミドルウェアの機能を,アプリケーションが汎用的に利用できるように,シンプルなAPIを提供する.(2)事前に設定/配置が必要な専用サーバを必要としない.(3)キャリブレーションを必要とせずに,周辺端末の相対位置情報を取得できる測位手法を採用している.また,提案ミドルウェアのプロトタイプシステムを構築し,応用プログラムの作成と基礎的な評価を行った.評価の結果から,PDA程度の処理能力で十分に提案ミドルウェアを稼動できることを示した.
著者
片山 隆一郎 田頭 茂明 北須賀 輝明 中西 恒夫 福田 晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.8, pp.79-85, 2009-01-22

無線 LAN を用いた位置推定システムの重要な課題のひとつに,使用するデバイス間の違いによる推定精度の低下の問題がある.本稿では,デバイス間の特性の違いを明らかにし,校正を行うことで,異なるデバイスを用いた場合でも推定精度の低下を抑えることを目指す.具体的には,無線 LAN を用いた位置推定システムとしてシーン解析法に着目し,事前測定フェーズと位置推定フェーズの間に,校正フェーズを導入し,自動的にデバイス間の差を抽出する.実際に位置推定する際には,校正フェーズで抽出したデバイス間の差を考慮し,観測データを補正する.また,校正フェーズにおけるデバイス間の差を抽出するコストにも着目し,そのコストを削減することも目指す.実験により提案手法の有効性を評価し,その結果から校正しない場合と比べて,最大で約 30% の推定精度の向上を確認することができた.A critical problem with wireless LAN-based positioning systems is degradation in the estimation accuracy due to difference between employing wireless LAN devices. In this paper, we propose a device normalization technique that mitigates the degradation by analyzing and calibrating the difference in the location estimation. More specifically, we introduce calibration phase between the survey phase and estimation phase in the process of the scene analysis. The calibration phase distinguishes the difference automatically, and the estimation phase corrects observation data based on the extracted difference. Furthermore, the proposed technique reduces calibration cost for collecting calibration data. We evaluate the effectiveness of the proposed technique by experiments. The results indicate that it improves the estimation accuracy compared with no calibration.
著者
兼清 裕平 中西 恒夫 田頭 茂明 福田 晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.8, pp.71-77, 2009-01-22

無線 LAN を用いた位置推定システムにおける課題のひとつとして,受信信号強度の変動が原因となり推定精度が低下することがあげられる.この変動に対処することは,正確で信頼のある位置推定システムの実現には必要不可欠である.本稿では,ユーザが協調して,誤った推定結果を補正する手法を提案する.提案手法の主な目的は,過去にユーザが補正した情報を蓄積し,他のユーザにその補正情報を提供することである.これにより,ユーザ自身の現在位置が正しいかの判断を支援でき,さらに,過去の補正情報をもとにユーザは効率的に補正をおこなえる.また,提案手法の有効性を示すために実証実験を行った.この実験結果から,位置推定において過去の補正情報を提示することの有効性を明らかにした.A critical problem with wireless LAN-based positioning systems is degradation in the estimation accuracy due to variations in the strength of the received signal that originate in the nature of the underlying wireless channel. Coping with these complex variations is essential to realizing an accurate and reliable positioning system. Here we propose a collaborative mechanism for correcting positional estimation errors. The main objective is to assist users to manually correct for estimation errors by providing access to a shared body of accumulated information on corrections made by other users. In particular, the mechanism is designed to enable any group of users to collaboratively build upon this body of information. Finally, we evaluate the potential effectiveness of the proposed mechanism through experiments. The results demonstrate that the proposed mechanism can provide corrections for estimation errors in a realistic environment.
著者
水原 隆道 中西 恒夫 福田 晃
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.116, pp.79-64, 2001-11-28
被引用文献数
2

ゲノム情報学分野における相同性検索や立体構造予測などのアプリケーションは,巨大なゲノム配列データに対して解析を行うため,特に解析精度を求める場合には、高速な計算機が要求される.本稿では,このようなゲノム情報学アプリケーションに特化した専用プロセッサを設計し,ハードウェアによるその高速処理を図る.同専用プロセッサは,ゲノム情報学アプリケーションによく用いられる動的計画法をデータフロー並列処理により高速化する.ソフトウェアシミュレーションによる予備評価の結果,PentiumIII 1GHz と比べて,約13.5 倍の処理速度が得られることを確認した.Genome informatics applications such as homology search or protein structure prediction, which deal with a huge amount of DNA or amino acid sequences, requires extremely high performance computers especially for accurate analysis. This paper describes design of an application-specific for genome informatics to achieve high performance computing by hardware. The processor accelerates dynamic programming frequently employed by genome informatics applications by data-flow parallel processing. A preliminary experiment by soft-ware simulation shows that the processor can perform dynamic programming 13.5 times as fast as purely software processing by PentiumIII of 1GHz CPU clock.