著者
石岡 恒憲 峯 恒憲 宮澤 芳光 須鎗 弘樹
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

センター試験など大学入試試験レベルの短答式記述試験の自動採点および人間による採点を支援する実用可能なシステムを試作・実装する。採点は設問ごとに作題者が用意した「模範解答」と「採点基準」に従いシステムがある程度の精度をもった採点計算(自動採点)を行うことを基本とし、その結果を人間が確認・修正できるものとする。このシステムの最大の特徴は「(予め用意された)模範解答」と「(被験者の実際の)記述解答」との意味的同一性や含意性の判定に採点済みの教師データを使わないことにある。予め別に用意された新聞や教科書、Wikipediaなど別のコーパスなどから自動構築した言語モデルによって判定を行う。
著者
三宅 悠介 峯 恒憲
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J105-D, no.11, pp.641-652, 2022-11-01

ECサイトで扱う商品種類増大に伴う情報過多問題を解決するため,効果的な推薦手法を選択することが重要である.推薦手法の有効性は様々な要因や時間の経過によって左右されるため,最適な推薦手法の選択には実環境での継続的な評価が不可欠である.しかしながら,実環境での評価では機会損失が課題となる.本研究では,この実環境での評価を,文脈と時間の経過を考慮した多腕バンディット問題とみなして解くことで,機会損失を抑えながら最適な推薦手法を自動かつ継続的に選択するメタ推薦システムを提案する.評価では,実際のECサイトから取得したデータを用いて最適な推薦手法を選択するシミュレーションを実施した.実験の結果,提案システムが,評価時に生じる機会損失を抑え,文脈と時間の経過を考慮しない場合と比較して累積クリック数を約9.7%増加させる効果があることを確認した.
著者
石岡 恒憲 峯 恒憲 宮澤 芳光 橋本 貴充
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

短答式記述採点支援システムを実装した。採点エンジンの性能を評価するために、国立情報学研究所が主催するタスク競争型の国際研究集会NTCIR-13の質問応答のサブタスクに参加し、国内外11の研究機関が参加する中、横浜国立大学と並んでトップの成績を収めた。タスク課題は東大2次試験の世界史における500字論述試験の自動採点(過去5年分)である。研究成果は国際的なトップカンファレンスの一つであるWI 2007に採択された。その後も九州大学と連携しシステム性能の向上を目指した。技術的には、LSTMというストリーム型の言語モデルに学習の精度を上げるための工夫を創案し、JAWS 2019にその成果を発表した。
著者
三宅 悠介 峯 恒憲
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.11, pp.764-775, 2020-11-01

ECサイトには商品種類増大に伴う情報過多問題を解決するため,商品の自動提案機能が導入されている.この機能に用いられる推薦手法は数多く提案されていることから,ECサイトの運営者にとっては効果的な推薦手法を選択することが重要となる.推薦手法の有効性は様々な文脈に左右されるため,実環境での継続的な評価なしに最適な推薦手法を選択することは困難である.本研究では,推薦手法の選択を自動的かつ継続的に最適化する推薦システムを提案する.提案システムでは,最善な推薦手法の選択を多腕バンディット問題とみなして解く.また,時間の経過並びに商品特性の差異を文脈として考慮することで推薦手法の選択を最適化する.提案システムの有効性を評価するために,ECサイトから収集した実際のデータを使用して実験を行った.評価実験の結果,ECサイトにおいて時間の経過並びに商品特性の差異により有効な推薦手法が異なること,そのため時間による推薦手法の有効性の変化並びに閲覧中の商品カテゴリーを文脈とみなした最適化手法が,文脈を考慮しない場合と比較して累積クリック数を約2%増加させる効果があることを確認した.
著者
東 優 峯 恒憲 雨宮 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.96, no.294, pp.39-44, 1996-10-11
被引用文献数
6

動詞の多義性解消の手段の一つとして格フレームを利用する方法がある。しかし、実用規模の格フレームは現存しないため、その作成が望まれている。この格フレームの構造として、実際の文中に現れた共起関係を集め、その共起情報を統合したものがある。この共起情報を統合する際には、何らかの基準に従って、文を分類する過程が必要となる。我々は、その分類基準として、文間の類似度を計る方法を取り、その類似度を計算するための辞書として、EDR電子化辞書の概念体系辞書を利用することとした。しかし、EDR電子化辞書は人間の手で作成されたものであるため、分類基準に個々人の主観が影響しており、実際にどの程度利用可能なものか明らかになっていない。そこで本稿では、まず、我々の格フレーム獲得手法を提案し、その手法を使った文の分類結果をもとに、EDR電子化辞書の特徴ならびに本手法の有効性について議論する。
著者
石岡 恒憲 峯 恒憲 亀田 雅之
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

センター試験など大学入試レベルの短答式記述試験における自動採点および人間採点を支援する実用可能なシステムの試作および実装をした.自然言語における完全な意味理解はこの数年では不可能であるという判断のもと,採点は設問ごとに作題者が用意した「採点基準」に従った自動採点を基本とし,その結果を人間が確認・修正できるものとする.システムは「(予め用意された)模範解答」と「実際の記述解答」との意味的同一性や含意性を判定するほか,プロンプトと呼ばれる素材文と解答文との意味的近似性なども考慮する.また採点結果は多値分類であることから,サポートベクターマシンではなくランダムフォレストによる機械学習分類を使う.
著者
清弘 晃史 山口 晃平 高 赫 中村 啓之 峯 恒憲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.89, pp.37-42, 2014-06-19

近年では,デバイスの履歴を用い,マーケティングにおいて重要なキーとなる顧客の購買行動の傾向をつかむ事ができるようになった.これまでの研究ではPOS(Points Of Sales)データを用いてCRM(Customer Relationship Management)への応用を目的として購買行動の解析がなされてきた.また,交通系ICカードや携帯電話などのセンサーデバイスも普及し,GPSデータによる歩行者の回遊行動の解析もなされてきた.しかしながら,交通系ICカードの履歴を用いた乗降行動と購買行動を関連づけた解析の研究はほとんど行われていない.本研究では交通系ICカードの利用履歴から乗車前の購買行動と降車後の購買行動に焦点をあてて解析した結果について報告する.
著者
中尾 好佑 峯 恒憲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.51, pp.31-36, 2009-05-15

ブラウジング支援のための情報推薦手法として、「関連ページ推薦」を提案する。関連ページ推薦とは閲覧中のWebページと関連が深いと思われるWebページを推薦する手法であり、この手法によりユーザによりパーソナライズされたブラウジングを提供することができると考える。ページ間の関連の深さはユーザの履歴を分析することによって算出される。本研究では、ユーザの閲覧履歴が林構造にマッピング可能であるということ、またタブブラウザにおいて異なるタブで同時に出現するページの間には共起性があるという仮説に基づいた関連度の算出法を提案し、さらに行った実験の結果を考察することで今後の課題、方針を示す。
著者
坂本 憲昭 深瀬 光聡 峯 恒憲 日下部 茂 中西 恒夫 大森洋一 北須賀 輝明 ウッディンモハマッドメスバ 荒木 啓二郎 福田 晃 安浦 寛人
出版者
社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.2830-2842, 2008-08-15
被引用文献数
6

高度情報化社会の基礎である情報技術の発達は我々の生活を一変させるほどのインパクトを持っており,その進歩の速度は目覚ましいものがある.一方で産業界からは次世代を担う能力を備えた高度ICT(Information and Communication Technology)人材の不足が指摘されている.このような技術の進歩と社会的要請に応えるため,九州大学大学院システム情報科学府では平成19年4月から新しい修士課程教育コースである社会情報システム工学コースを設置した.本コースでは,文部科学省の支援を受け,日本経団連傘下企業との大規模な連携体制の下で,高度な技術力を持ち,基礎知識と社会的倫理観を兼ね備えた世界に通用するリーダの育成を目的とした実践的教育を開始した.この教育プログラムの計画実施過程の中で,1) PBL(Project Based Learning),2) オムニバス形式講義,3) 長期インターンシップ,4) カリキュラム内容検討,のあり方や実施方法に関していくつかの知見が得られた.本論文では,当コースの教育内容と方法,修士課程1年前期終了時点における実績と評価,および今後の課題について述べる.The progress of Information Technology, which is the infrastructure of an advanced information society, is remarkable and has the enormous impact on our daily life. On the other hand, it has been pointed out by the industry that there is a lack of highly skilled ICT (Information and Communication Technology) personnel who can lead the next generation. In order to address this issue, the Graduate School of Information Science and Electrical Engineering in Kyushu University has established Social Information System Engineering Course. Since April 2007, we have started practical education program with an objective to foster world class leader who has extraordinary technical skill, basic knowledge and sense of ethics. This effort is gradually progressing by the collaboration with various companies through Nippon Keidanren with support of Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology. There have been several findings in 1) PBL (Project Based Learning), 2) omnibus classes, 3) long term internship, and 4) curriculum improvements during the planning and execution of this program. This paper describes the content, method, result and evaluation at the end of the first semester of this course. We also discuss the issues and concerns that need to be resolved.
著者
堀 憲太郎 大石 哲也 峯 恒憲 長谷川 隆三 藤田 博 越村 三幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.56, pp.81-88, 2008-06-12

本稿では,ユーザのクエリから,その意図に沿った拡張クエリを作成する際に,Web 上で最大の百科事典である Wikipedia を用いるシステムを提案する.Wikipedia からの拡張クエリの抽出には,関連単語提案アルゴリズム[1]を用いる.関連単語提案アルゴリズムとは,あるキーワードとそれに関連するテキストが与えられた時,テキスト内で出現する単語間の距離に着目して,与えられたキーワードに関連し尚且つ重要と思われる単語を抽出するアルゴリズムである.このシステムを Web 検索時に用いることにより,クエリ拡張し,ユーザの目的とする文書を見つけるための支援技術とすることを目的としている.In this paper, we propose a method to extend the original query by applying a related word extraction algorithm to Wikipedia that is an encyclopedia. The algorithm extracts words related to given key words from any text and calculates a score for each extracted word according to distance between words in the text. The method helps users to obtain their desired documents in web search by extending a query with highly scored words.
著者
越村 三幸 長谷川 隆三 藤田 博 峯 恒憲 力 規晃
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ユーザの意図に適合した検索を行うWeb検索支援システムの構築を目指して,ソーシャルブツクマークやODP(OpenDirectoryProject), Twitter,プログ, Web閲覧履歴を用いたユーザの特徴抽出,及び, Wikipediaを知識源とした関連語抽出を行った.抽出した特徴に基づいたユーザ類似性に着目した情報推薦システムを試作した.また,時間的な距離に着目した関連単語の抽出を行い,タイムリーな検索支援に有効であることを確かめた.
著者
大石 哲也 峯 恒憲 長谷川 隆三 藤田 博 越村 三幸 倉元 俊介 永田 廣人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.473, pp.37-42, 2007-01-16

これまでユーザに特化したWeb検索に関する研究が多数行われてきたが,ユーザの視点や状況に注目したWeb検索に関する研究は,まだ十分に行われていない.ユーザが必要とするときに必要な情報へ容易にアクセスできるようにする機能は,これからのユビキタス情報環境を構築する上で,最も重要な機能のうちの一つと言える.そこで,本稿では,ユーザの視点や状況を時間に沿って把握するための情報源として,時間の要素とユーザの趣向を併せ持ったスケジュールデータを用いた情報推薦システムを提案するとともに,そのシステムの概念について具体例を用いて説明する.