- 著者
-
菊池 章夫
有光 興記
- 出版者
- 日本パーソナリティ心理学会
- 雑誌
- パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
- 巻号頁・発行日
- vol.14, no.2, pp.137-148, 2006 (Released:2006-03-31)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
-
2
2
628名の大学生の回答をもとに確認的因子分析を繰り返すことで,6つの自己意識的感情(対人的負債感・個人的苦痛・恥・罪責感・役割取得・共感的配慮)を測定する12シナリオ(場面)・72項目からなる尺度 (KA-JiKoKan-12) が構成された.この尺度の信頼性は,α係数・再テスト信頼性係数とも十分なものであった.その妥当性は,これらの感情に対応あるいは関連する他の特性的尺度(罪悪感喚起状況尺度・状況別羞恥感情質問紙・対人的反応性指標・心理的負債感尺度)および行動指標(攻撃性質問紙・向社会的行動尺度)との関係を分析することで検討された.得られた結果はいずれもおおむね満足すべきもので,この尺度が十分な妥当性を持つことを示していた.「全体的考察」では,こうした結果を背景にして,シナリオ方式の利点や問題点,この尺度が測定している感情の性質,弁別的妥当性の問題などが論じられた.