- 著者
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有光 興記
- 出版者
- 日本パーソナリティ心理学会
- 雑誌
- 性格心理学研究 (ISSN:13453629)
- 巻号頁・発行日
- vol.9, no.2, pp.71-86, 2001-03-30 (Released:2017-07-24)
- 被引用文献数
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5
本研究は, 罪悪感と羞恥心(恥の意識, コミュニケーション不安)の関係および性格特性との関連を明確にするために行われた. 大学生292名を対象に, 罪悪感喚起状況尺度, 状況別羞恥感情尺度, 自己意識尺度, Big Five尺度による自記式調査を実施した. その結果, 罪悪感と羞恥心間に高い正の相関関係が認められた. また, 羞恥心の影響を除去した純粋な罪悪感は, 調和性, 私的自己意識と正の相関が認められ, 罪悪感の影響を除去した純粋な恥の意識は, 情緒不安定性, 公的自己意識と正の相関, 調和性と負の相関が認められた. 罪悪感の影響を除去した純粋な気恥ずかしさ(コミュニケーション不安の下位因子)は, 情緒不安定性, 公的自己意識と正の相関, 外向性, 開放性, 調和性と負の相関が認められた. 以上の結果, 罪悪感には社会的適応機能があり, 羞恥心は不適応行動につながる可能性が示唆された. また, 罪悪感, 羞恥心と自己意識の関係は男女で異なっており, その原因として性役割の違いが論議された.