著者
菊澤 佐江子
出版者
一般社団法人 日本家政学会家族関係学部会
雑誌
家族関係学 (ISSN:09154752)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.179-187, 2011 (Released:2020-07-17)
参考文献数
16
被引用文献数
1

According to recent statistics, those giving care to the frail elderly are predominantly women, but in Japan, abuse of the frail elderly is more prevalent among male caregivers. Is the psychological wellbeing of male caregivers poorer compared to their female counterparts? Is the gender difference explained by factors associated with stress processes (e.g., stressors, mediators) and/or gender differences in the effect of those factors on psychological wellbeing? How do patterns of gender differences vary in terms of relationship between the caregiver and the frail elderly?  Guided by the Care-giving Stress Process Model, this study examined the gender differences in hatred and their relationships to the stress processes among those involved in elderly care at home according to the relationship of caregiver to the frail elderly. Data came from men and women aged 24-90, respondents of the Survey of Caregivers of Frail Elderly in 2001 (N=382). As a result of the analyses, gender differences in hatred were observed among those giving care to spouse or parent-in law, but not among those giving care to their own parent. The OLS results suggest the possibility that the gender differences in hatred may be explained by the gender differences in the effect of stress process variables on hatred, and that such processes may vary by the relationship of caregiver to the frail elderly.
著者
坂野 純子 菊澤 佐江子 的場 智子 山崎 喜比古 杉山 克己 八巻 知香子 望月 美栄子 笠原 麻美
出版者
岡山県立大学
雑誌
岡山県立大学保健福祉学部紀要 (ISSN:13412531)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.19-25, 2010

本研究では、大学生の精神障害者への否定的な態度をスティグマ的反応尺度により把握し、その因子構造と関連要因を明らかにすることを目的とする。青森県、大阪府、岡山県、東京都、奈良県の大学生を対象にビニエット方式で質問紙調査を実施した。ビニエットの事例疾患はうつ病、統合失調症、ぜんそくの3種類を用意し、それらを無作為に対象者に振り分けた。分析項目はビニエットの人物に対するスティグマ的反応、疾患事例、回答者の性別、専攻分野とした。大学生のスティグマ的反応を検討するために最尤法を用いたプロマックス回転による探索的因子分析を行った。その結果、「精神障害者と接することへの不安」「精神障害者の責任能力への不信」「精神科医療を受けていることへの抵抗感」「精神障害者の知的能力や生産性への期待」「精神疾患への恥辱」の5因子が抽出された。一元配置分散分析と多重比較の結果、「精神障害者の責任能力への不信」「精神障害者への恥意識」因子は、ぜんそく群よりもうつ病群および統合失調症群にスティグマ的反応が強い傾向がみられたが、両者の間には差はみられなかった。専攻分野別では「精神障害者の責任能力への不信」「精神障害者の知的能力や生産性への期待」「精神疾患への恥意識」3因子では、看護系が社会福祉系、人文社会系理工系に比べてスティグマ的反応が小さい傾向がみられた。そのうち「精神疾患への意識」因子は社会福祉系が理工系に比べてスティグマ的反応が小さい傾向がみられた。
著者
矢澤 修次郎 伊藤 公雄 長谷川 公一 町村 敬志 篠原 千佳 油井 清光 野宮 大志郎 山本 英弘 細萱 伸子 陳 立行 金井 雅之 L.A Thompson 菊澤 佐江子 西原 和久 Pauline Kent
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

二つのこれまでに行われたことの無い質問紙調査を行い、世界における社会学の国際化に関する基礎データを取得することができた。そのデータを分析することによって、ヨーロッパ社会学と東アジア社会学の間には社会学の国際化に関してはそれほど大きな差は認められないこと、しかし社会学の国際化の形態に関しては、ヨーロッパの場合には国際化が研究者のキャリアにおいて通常のことになっているのに対して、東アジアでは最大限のコミットメントを要する出来事であること、また東アジア内部では、台湾・韓国タイプ(留学と研究者になることがセットである)と中国・日本タイプ(両者がセットではない)とが分かれることが明らかになった。
著者
菊澤 佐江子
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.4, pp.99-119, 2007-06-23 (Released:2012-09-24)
参考文献数
26

少子高齢化が進む中,介護を受ける側である高齢者と介護を担う側である若・中年者の人ロバランスの不均衡が生じている.また,産業構造の変化,低い経済成長,女性の職業意識の向上といった諸々の要因により,女性の被雇用者としての就業は増加の一途をたどっている.こうした戦後の大きな社会変化の中,女性の介護はどのように,またどのような面で,変わってきたのだろうか.本稿は,全国家族調査(NFRJsO1)を用いて,女性の介護経験とその規定要因の歴史的推移の実態についてのコーホート比較を行い,ライフコース視点から考察した.分析の結果,女性の介護経験率は,1940年代生まれの者以降顕著に高くなり,「中年期のいずれかの時点で一度は誰かの介護を行う」女性のライフコースが,この時期からより一般化していることが明らかとなった.また,女性の介護の規定要因については,どのコーホートについても,夫が長男である女性が介護を担う確率は,夫方親との同居という変数を介して,一貫して高いという結果が得られる一方,フルタイム被雇用就業が介護を担う確率を低くする傾向はもっとも最近のコーホートにのみみられることが示された.