- 著者
-
阿江 通良
藤井 範久
- 出版者
- 筑波大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2002
本研究では,小学1年生から6年生までの児童284名(男子141名,女子143名)の歩行動作の計測を行い動作データを収集した.得られたデータをもとに小学生の歩行動作の標準的動作パターンを作成した.また青年および高齢者の歩行動作と比較することにより,小学生の歩行動作の特徴を明らかにした.1.小学生の歩行動作の特徴歩行速度,ステップ長,ステップ頻度に関しては,以下の特徴が見られた。(1)学年とともに歩行速度・ステップ長,歩行比が大きくなり,ステップ頻度は小さくなった.また男子の方が女子より歩行比が大きく,ステップ頻度が小さかった.(2)歩行パターンは,学年とともにステップ頻度依存からステップ長依存に変わり,小学生以降さらにステップ長に依存していくと考えられる.また男子の方が女子よりステップ長に依存していた.また、動作に関しては,以下のような特徴が見られた.(1)支持期の股関節は男子の方が女子より伸展しており,これは体幹が起きており,R-on時の大腿の後傾が小さく,L-on時の前傾が大きいためであった.(2)男子より女子の方が膝関節,下腿および足の動作範囲が大きかった.2.小学生の歩行動作に関するデータベースの構築ステップ長,ステップ頻度,歩行速度,歩行比(ステップ長/ステップ頻度),kinematics(身体重心の軌跡,関節および部分角度など),kinetics(回復脚の関節トルクおよび関節トルクパワー)などを算出し,学年,性別に着目してまとめた.そして,身体各部の2次元座標をもとに標準的動作を学年,性別ごとに作成し,stick picturesで表示できるようにした.