著者
奥村 貴史
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.648-651, 2016-06-15

我が国の情報処理技術の競争力を回復するうえでは,日本に優位性がある分野の戦略的な発展を目指す必要がある.その点,我が国の医療は,世界一の水準を誇りながらも情報系研究者の参入が少ないため,今後の発展が期待される.その中でも,社会全体の健康水準の向上を目指す公衆衛生分野は,多量な情報の効率的な処理を要する点で個々人にかかわる臨床医学以上に情報処理が貢献し得る可能性がある.本稿では,この公衆衛生と情報処理に関する分野融合型の研究をいくつか紹介しつつ,情報系研究の発展の方向性について提言を試みる.
著者
奥村 貴史
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1012-1013, 2020-09-15
著者
奥村 貴史
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.150-157, 2018-05-31 (Released:2018-06-30)
参考文献数
13

我が国の医療が抱える多くの問題に対して,情報技術が有力な解決策となりうるのではないかと期待されてきた.そこで政府はさまざまな取り組みを続けてきたが,医療機関を越えた患者情報の共有は一般化しておらず,情報技術が医療の質向上に寄与している事例も限定されている.こうした事態が生じた原因の一つとして,医療の情報化を支える人材面での課題が考えられる.そこで,2007年,政府IT戦略本部が定めた「重点計画―2007」において,地域医療の情報化を支える人材育成体制の整備が提言された.国立保健医療科学院では,この提言に基づき,2010年度より地方自治体職員を対象とした「地域医療の情報化コーディネータ育成研修」を開講している.本研修は集合研修 3 日間,遠隔研修 2 ヶ月間の短期研修であるため,医療,情報,行政の全てに通暁した人材の育成は現実的な目標とはいえない.そこで,地方自治体において医療の情報化に関わる人材間のコミュニティ育成を目標とし,まずは各自治体に生じている課題とその解決策の共有が図られるような体制の確立を目指した.開催後 8 年間を経て,総計280名を超える修了生を輩出し,地域医療の情報化に関わる地方自治体職員間の緩やかなコミュニティを形成するに至っている.また,研修を通じて,地域医療の情報化に関する事例集と我が国における関連事業の網羅的な台帳を構築した.今後,コミュニティの発展を通じた政策分野への貢献が望まれる.