著者
首藤 一幸 関口 智嗣 村岡 洋一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.1570-1582, 2003-06-15

IA-32プロセッサは,IEEE 754準拠であるにもかかわらず,ある浮動小数点演算に対して他のプロセッサとは異なる結果を返す.IA-32プロセッサ上で他のプロセッサと同一の演算結果を得るための対処をJava Just-in-Timeコンパイラに実装した.倍精度数の演算ではストア--リロードとスケーリングを行う必要があるが,単精度数の演算では丸め精度を倍精度としたままストア--リロードだけ行えば十分であることが明らかになった.また,いくつかの実装方法について性能への影響を調べたところ,スケーリング専用命令ではなく乗算命令を用いることで性能の低下幅は約40%にまで抑えられることが分かった.
著者
平野 基孝 首藤 一幸 田中 良夫 佐藤三久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.79, pp.17-24, 2005-08-03
被引用文献数
2

我々は数千ノードからなるP2P、グリッド等の大規模並列分散コンピューティング用の安全な通信基盤の形成を目的として、匿名相互証明書とP2P通信を用いる認証方式AUBReX(Authentication method Using Buddy-buddy relationship Represented by Cross centificate)を提案する。AUBReXでは、2ユーザ間(友人)の信頼関係を、そのユーザ間以外では個人情報の特定が出来ないように生成されたエンドエンティティ名(SubjectDN内のCommonName)を持つX.509デジタル証明書を相互に発行しあうことで表現する。これを匿名相互証明書と呼び、匿名相互証明書からなる証明書チェインをP2P通信により生成、検査することで、直後の信頼関係を結んでいないユーザ間での、匿名性を確保した上でのユーザ認証機構を提供する。AUBReXを用いることで、中央集権的CAを必要とせず、かつ不特定多数のユーザ間でのPKIベースの相互認証が可能になり、P2P環境でのピア間相互認証に有効である。We propose an authentication method called AUBReX(Authentication method Using Buddy-buddy relationship Represented by Cross certificate),which enables a secure communication infrastructure of a thousand of nodes for P2P and Grid distributed parallel computing using anonymous cross certificates and P2P communication. In the AUBReX,a trusted relationship (fellowship,or buddy-buddy relationship) between two users is represented by issueing X.509 cross certificate each other. The cross certificate has a secure-hashed CommonName as an end entity,that can only be revealed between the users. By collecting such anonymous cross certificates via P2P connection and generating a certificate chain and verifying it, the AUBReX provides an authentication mechanism between users who don`t have direct turusted relationship. By using AUBReX,it enables that PKI based mutual authentication between any users without a centralized CA,in which is suitable for P2P environment.
著者
首藤 一幸 阿部 洋丈 亀井 聡 塩澤 一洋 高木 浩光
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.3_1-3_7, 2005 (Released:2005-09-30)

2004年9月14日(火),ソフトウェア科学会第21回大会の併設企画として,チュートリアル「P2Pコンピューティング―基盤技術と社会的側面―」が開催された.チュートリアル最後のパネルディスカッションでは,技術者として,今後P2Pソフトウェアを構築するにあたって,何を踏まえ,どのように取り組んだらよいのかを議論した.本稿ではその議論を報告する.
著者
藤田 俊貴 首藤 一幸 西川 武志 大西 真晶
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.321-326, 2017

高性能なカメラが安価で手に入るようになった.そこで,多数のカメラを用いて多数の撮影対象を複数の視点から撮影することが可能になってきた.サッカーや音楽ライブ等で多数のカメラを活用するためには,カメラ毎にどこを撮影するか決定して撮影する必要がある.また撮影したい映像によっては,複数のカメラが同じ場所を撮影しないようにカメラ間で協調制御をする必要がある.しかし人の手により多数のカメラを操作することや,協調制御を行うことは困難である.よって,多数のカメラを用いて多数の撮影対象を撮影するには,カメラを自動制御するべきである.カメラを自動制御する際に,制御するプログラムを書き下すのは大変であり,また撮影したい映像を撮影するように制御プログラムを書くのは困難である.そこで本論文では,撮影者が撮影指針を点数付けで与えることにより,複数台のカメラを自動制御する制御手法を示す.本制御手法を用いることで,撮影者が撮影したい映像を自動で簡単に複数撮影することが可能となる.提案制御手法の有効性を確認するために,Unityで作成したシミュレータ上で行った実験の結果を示す.実験は点数付け方法を変化させて提案制御手法で撮影することで行い,その結果撮影映像が変化し,また複数のカメラが連携して撮影していることを確認した.
著者
北條 真史 長尾 洋也 宮尾 武裕 首藤 一幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.439-447, 2015-02-15

センサが構成する無線メッシュネットワークなどにおいてメッセージ配送やデータ収集を行うためには,ノード群でオーバレイネットワークを構築することが有望である.地理的な近接性を考慮したルーティングや範囲問合せを行うためには,ノード位置に基づいたオーバレイネットワークの構築が必要となる.ノード位置をIDとして用いる場合,ルーティングの方式には,ノード位置すなわちIDに偏りがあっても経路長を短く抑えることが求められる.我々は,この要件を満たし,かつ,構造化オーバレイの設計手法である柔軟な経路表(FRT)の特長を備える構造化オーバレイを提案する.柔軟な経路表の特長とは,経路表サイズの動的な設定や高い拡張性を指す.提案手法は,既存手法の1つであるP2Pドロネーネットワークをトポロジとして採用し,ホップ数の推定に基づいて遠隔ノードとのショートカットリンクを形成することによって経路長を短く抑える.It is a promising way to construct an overlay network with sensor nodes for wireless mesh networks to perform message delivery and data collection from the nodes. It is necessary for an overlay to reflect nodes' locations to perform geometric routing and geometric search, for example node IDs on the overlay are nodes' location. Furthermore, a route on the overlay should be small, in other words, involve small number of hops even if the distribution of node locations and IDs are biased. A structured overlay presented in this paper fulfills the requirements and provides features of Flexible Routing Tables (FRT), a method for designing routing algorithms for structured overlays. Features of FRT are the dynamic routing table size and high extensibility. The proposed overlay adopts P2P Delaunay Network as its topology, and the method keeps route length short by forming shortcut links to distant nodes based on the estimated number of hops.
著者
池長 慶彦 首藤 一幸 村岡 洋一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.24, pp.13-18, 2007-03-09
被引用文献数
2

本研究は 実ネットワークに適応するオーバーレイマルチキャスト放送基盤を提案する.従来のツリー型ベースのオーバレイマルチキャストの研究では 参加するノードの上り帯をうまく活用することができない問題や ノードの参加や脱退などが頻繁におきる状況に弱いなどの問題があった.一方でメッシュ型ベースのオーバレイマルチキャストでは 上記で述べたような問題に対して非常に効率がよい.しかしながら 従来のメッシュ型ベースのオーバレイマルチキャストの研究では ネットワークの多様性の存在を考慮していない.そこで本研究では 実ネットワーク上で起こりうるネットワークの多様性を考慮した よりスケーラビリティの高い手法を提案する.In this paper,we present the overlay multicast system to adjust to the real network. Traditional tree-based approaches to overlay multicast ineciently utilise the outgoing bandwidth of participating nodes and poorly adapt to nodemembership churn.In constrast, mesh-based approaches can utilise bandwidth and adapt to churn. However a common mesh-based approach doesn't consider the heterogeneous network like the real network.we present approach of a higher scalability in the real network.
著者
首藤 一幸
出版者
東京工業大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

今後我々は数百億~兆という規模の分散システムを研究の対象としていかなければならない。これまで、我々研究者が実験可能な分散システムの規模は10万~100万にとどまっていた。本研究ではそれを数百万まで向上させた。成果は、各国の研究者が研究に用いているオープンソースソフトウェアの一部として公開・配布されている。また、汎用分散処理システムの上でシミュレーションを行うという新しいアプローチでの研究を開始した。