- 著者
-
西野 浩明
- 出版者
- 大分大学
- 雑誌
- 奨励研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1996
平成7年度に開発した「大分大学工学部の3次元ウォークスルー機能」をもとに,以下の項目に関して設計,プロトタイプシステムの開発および実験・評価を行い,その有効性と実用性について実証的研究を行った。1.3次元モデルの分割定義および処理方式の開発:立体視用の液晶シャッターメガネと,視点検出のための磁気センサを利用し,描画対象物の形状と視点からの距離に応じてモデルを分割し,階層的に定義する手法を開発した。さらに本手法を,ネットワークを通して複数利用者間で共有し,使用するマシン性能やグラフィックス描画性能,ネットワークの帯域幅や同時利用者数等に応じて,動的に性能最適化を行うことができる分散仮想環境フレームワークとして拡張した。2.プロトタイプシステムの開発:上述の分散仮想環境フレームワークを実現するソフトウエアを設計・開発した。さらに,ネットワーク上で実験および評価を行うために,新作打上げ花火の設計,試作,製造および花火大会実施までの全プロセスを,仮想環境で行う事が可能な「3次元仮想打上げ花火システム」を,分散仮想環境フレームワーク上に実現した。3.インターネット上での実験と評価:3次元仮想打上げ花火システムのインターネット上での利用実験を行い,本研究で開発を行った手法が,従来のサーバ・クライアント型情報検索のみでなく,対等な関係にある複数ユーザ間での協同作業に有効であることを検証した。以上の研究成果を1996年7月のVRST'96(香港),1996年9月のVSMM(岐阜)および1996年11月電子情報通信学会「マルチメディア・仮想環境基礎研究会」(大分)にて発表した。今後は,大規模ネットワーク環境での評価および本システムの改良を行う予定である。