著者
植月 学 丸山 真史 菊地 大樹 武井 紀子 庄田 慎矢 覚張 隆史 諫早 直人 平野 修
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

牛馬に関わる文化複合の歴史的変遷と地域性を明らかにした。歴史的変遷については大陸の影響が残る古墳時代から古代において若齢での屠畜や肉食が行われていたのに対し、中世以降には都市外縁への処理場所の移転や、中世城館で牛馬肉食が常習的ではなかったことを明らかにした。牛馬肉食の忌避や穢れ意識は列島の家畜利用の特徴とされるが、その成立過程を考古学的に跡付ける見通しが得られた。地域的様相については特に北東北における馬利用の変遷が明らかになった。古代には同時期の東国よりも東国古墳時代との共通性が認められ、律令国家との歴史的関係性の差異が馬利用のあり方にも反映されていることが窺われた。
著者
本郷 一美 石黒 直隆 鵜沢 和宏 遠藤 秀紀 姉崎 智子 茂原 信生 米田 穣 覚張 隆史 高橋 遼平 朱 有田 VU The Long
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本への家畜ブタ導入を判定する基礎資料として、現生および遺跡出土のイノシシ属の計測データを蓄積し、日本列島の南北におけるイノシシのサイズ変異の程度を明らかにした。また、東南アジア、琉球列島産の在来種ブタとイノシシおよび遺跡出土のイノシシ属のmtDNA分析を行った。日本在来馬の体格の変遷を探り、大陸のウマと比較するため、現生および中部~東北地方の古代、中世および近世の遺跡から出土したウマ骨格の計測データを収集した。
著者
白石 典之 鈴木 宏節 篠田 雅人 覚張 隆史 三宅 俊彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究はモンゴル高原に興亡した歴代遊牧王朝の中で、史料に名を留めても、その実態が不明であった時代(たとえば、鮮卑、柔然、第1突厥、阻卜など)を「空白期」と位置づけ、その時代を実証的かつ学際的に解明することを目的としている。研究組織は考古学を中心とし、文献史学、気候学、遺伝生物学に参画した超域的になっている。令和元(2019)年度は引き続き、モンゴル科学アカデミー考古学研究所と共同で、モンゴル国ヘンティー県ゴルバンドブ遺跡で発掘調査を行った。ここには3基の墳丘が残されているが、そのうち1号墳丘の発掘を行った。1号墳丘では2016年と17年に先行発掘が行われ、6基の「空白期」の墓が見つかっている。今年度は7号墓と8号墓を検出した。7号墓は第1突厥期の火葬墓で、きわめて珍しい発見である。8号墓は初期モンゴル帝国期の幼児墓で、ガラス玉などの副葬品に恵まれていた。試料の一部は日本に将来し、理化学的分析に付した。並行して同じくヘンティー県にて同県博物館とともに、突厥時代の石碑調査も行い、新たな石碑遺跡を発見した。成果は博物館と共同で発表する予定である。金沢大学および淑徳大学にて、メンバーによる研究集会を開催し、研究の現状と問題点を整理した。また、最終成果のまとめ方についても議論した。新型コロナ感染症の影響で、予定していた現地調査1件ができなかったため、研究期間を翌年に延長し、それを補う試料の理化学的分析と論文化の作業を行った。なお、本研究に係る年度内の研究成果としては、研究発表2本、研究ノート1本がある。
著者
覚張 隆史 米田 穣
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2018年大会
巻号頁・発行日
2018-03-14

遺跡出土遺存体の動物考古学的・植物考古学的研究に基づくと、農耕牧畜以前のヒトはhunter-gathererの生業形態であったと考えられており、後期更新世末までのイヌは狩猟と採集の生業形態に深く関わる形でヒトのニッチェに近づいたと考えられる。特に、狩猟に有利な機能形態をもつ石器群の出土例の増加とともに、遺跡からイヌの出土例も増加する。西アジアのナトゥーフ文化期のAin Mallaha遺跡およびドイツの中石器時代のOberkassel遺跡から約1万4千年前~1万2千年前と比定された最古のイヌが出土しており、遊動性から半定住性社会の移行期において、イヌがヒトと移動を共にした可能性が指摘されている。一方、東アジアの後期更新世末において、遊動性から半定住性社会に移行する時期は、土器が出現し始める土器新石器時代に相当する。東アジアにおける土器新石器時代の遺跡からイヌが出土した最古の例は、日本列島の関東の夏島貝塚(神奈川県)から出土した犬骨破片である。夏島貝塚から出土した犬骨は、同遺跡から採取された貝および炭化物の放射性炭素年代測定に基づいて、12,117–9,281 BPと報告されている。また、中国のJiahu遺跡(9000 -7800 calBP)やDadiwan遺跡(7560-7160calBP)日本の上黒岩岩陰遺跡(7420–7266 calBP)が報告されており、少なくとも東アジアにおいてはこれらの時期以前からイヌが存在していた可能性が考えられる。特に、日本列島においてこれらの遺跡出土犬がヒトとどのような関係であったかを示した研究例はまだ少ないのが現状である。 そこで本研究では日本列島の遺跡出土犬の骨コラーゲンの炭素・窒素同位体比に基づいて、各時代の犬の食性の変遷を評価することを試みた。また、比較試料としてニホンオオカミと古人骨を分析し、ヒトと犬の関係について考察を試みた。 その結果、縄文犬は多量の海生魚類・貝類・海獣類も存在していたことがわかり、弥生時代以降に陸生食物資源に依存するという変化が明確に検出された。これは、縄文時代から弥生時代にかけてのヒトの生業活動の変化が、犬にも反映している可能性を示唆している。
著者
覚張 隆史 米田 穣
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
奈良文化財研究所研究報告
巻号頁・発行日
vol.17, pp.53-62, 2016-03-31

本書の編集は、所長松村恵司のもと、石橋茂登と降幡順子の協力を得て、山崎健がおこなった。