著者
越智 啓太
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.175-181, 2010-10

In the present study, behavioral patterns of financial robberies who broke into banks and post offices in Japan were analyzed. The analysis was based on the newspaper database resources. The results of the analysis showed that the typical type of robbery, in which the criminal threatened a counter staff with a knife, accounted for only 60 percent of all financial robberies, and that atypical types of robberies had happened more frequently than expected. As the results of more detailed analysis in MDS (Multi Dimensional Scaling), it was found that the criminal could escape most easily when the criminal struck and robbed a bank customer who appeared to use a night-deposit safe. Finally, the method of the crime prevention in financial institutions was discussed based on the results above.
著者
越智 啓太
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.81, pp.85-94, 2020-09-30

本論文では,未婚のカップルを対象として1年間の追跡調査を行い,カップル間の関係性とデートバイオレンス・ハラスメントがどのように変化するのかについて検討した。その結果,デートバイオレンス・ハラスメントの程度は,交際期間を通じてほとんど変化しないことがわかった。この傾向は,1年間の追跡期間中に恋愛関係が終結したカップルでも継続しているカップルでも同様であった。また,デートバイオレンス・ハラスメントの程度はカップルの交際が終了するかどうかと関連していなかった。同様な傾向は,交際初期のカップルのみを対象にした場合にも見られた。これらの結果から,デートバイオレンス・ハラスメントの経時変化についてディスカッションした。
著者
越智 啓太
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
vol.80, pp.97-112, 2020-03-13

本研究では,恋愛の進展・崩壊のプロセスとデートバイオレンス,ハラスメントの関連について明らかにする。まず,恋愛の進展と崩壊について,カップルが現在どのような交際フェイズにいるのかについて査定するある程度の信頼性と妥当性を持つ尺度を構成した。つぎにこの尺度とデートバイオレンス・ハラスメント尺度の相関を算出した。その結果,デートバイオレンス・ハラスメントは恋愛進展フェイズでは,あまり発生せず,崩壊フェイズにおいて発生することが示された。
著者
喜入 暁 越智 啓太
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

サイコパシーは,冷淡な感情や他者操作性などを主軸とする1次性サイコパシー(primary psychopathy: PP)と,衝動性や反社会性を主軸とする2次性サイコパシー(secondary psychopathy: SP)からなるパーソナリティ概念の1つである。特に,PPは反社会性パーソナリティ障害と決定的に異なる点であり,したがって,PPがサイコパシーを特徴づける側面であることが指摘されている。本研究では,サイコパシーが他者を道具的に捉え扱う傾向(PP)が,女性に対しての女性蔑視傾向として示されるかどうかを検討した。分析の結果,男性参加者において女性蔑視傾向とPPとの正の関連が示された(SPとは有意な関連は示されなかった)。一方で,女性参加者の場合にこの関連は示されなかった。まとめると,男性のサイコパシーは,女性は道具的に支配するものであるという信念を持つことが示唆された。
著者
越智 啓太
出版者
日本催眠医学心理学会
雑誌
催眠学研究 (ISSN:05813131)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.23-30, 2003-03
著者
越智 啓太
出版者
法政大学文学部
雑誌
法政大学文学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Letters, Hosei University (ISSN:04412486)
巻号頁・発行日
no.78, pp.185-194, 2019-03-18

本研究では,Schwartz et al.,(2002)の開発した消費行動における追求-後悔尺度(Maximization and Regret Scale)を恋愛関係に特化させた尺度を作成し,その妥当性と信頼性について検討した。その結果,この尺度の得点の高い恋愛マキシマイザーは恋愛に関する幸福感が低く,嫉妬認知をしやすく,多くの人と交際し,それぞれの交際期間は短いということが示された。また,恋愛における追求―後悔尺度の得点は,消費行動における追求―後悔尺度の得点と比較的高い相関をもっており,恋人選択過程と購買行動が類似したパターンを示すことがわかった。
著者
野畑 友恵 越智 啓太
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.23-32, 2005-08-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
31
被引用文献数
3 2

本研究は,記憶における感情の質と覚醒度の影響について検討することを目的として行われた.実験1では,被験者は,写真スライドを見て,それぞれのスライドについて感情の質,覚醒度,そしてスライドの説明しやすさについて評定した.スライドは,感情の質と覚醒度の感情次元において幅広いものが使用された.スライド提示直後と1カ月後に,被験者には偶発記憶テストが与えられ,覚えているスライドについて報告させた.その結果,直後,遅延のどちらの記憶テストにおいても,快感情を生じさせるスライドでは,低覚醒スライドが高覚醒スライドよりも多く再生され,不快感情を生じさせるスライドでは,高覚醒スライドが低覚醒スライドよりも多く再生されることが示された.実験2では,刺激や手続きを改善し,再度この現象について検討した.その結果,実験1と同様な結果が得られた.よって,記憶における覚醒度の効果は,感情の質によって異なることが考えられた.