著者
岩井 啓一郎 辻 博 鈴木 統久 東 晃一 藤島 正敏
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.919-923, 1998-12-25 (Released:2010-02-22)
参考文献数
10

経過中に抗核抗体が消失, 再出現しステロイド治療が無効であったautoimmune cholangiopathy (AIC) の1症例を経験したので報告する. 症例は38歳, 女性. 1990年5月に全身倦怠感が出現. 初めて肝機能障害を指摘され, 精査目的で8月13日当科入院. 入院時, アルカリフォスファターゼ1686 IU/l, γ-GTP 1135 IU/lと胆汁うっ滞を認め, 抗核抗体は初診時のみ陽性で, 入院時には陰性化していた. また, 抗ミトコンドリア抗体, 肝炎ウイルスマーカーは全て陰性であった. 1991年より掻痒感が出現. 1992年より抗核抗体が再出現しプレドニゾロンを投与したが肝機能検査に変化はみられなかった. 1994年にも再びプレドニゾロンを投与したが, 肝機能検査に変化はみられなかった. 本症例では, 肝生検組織で小葉間胆管が消失し, 胆管病変が進行したAICであったためステロイド治療が無効であったと考えられた.
著者
辻 博之
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.147-154, 2010-01

農業技術は古来より進歩を続け、さまざまな生産上の問題を克服してきた。畑作農業にあって古くから問題となってきたのは、地力の維持と増進の問題、病害虫や雑草害による収量の不安定、連作障害などである。緑肥作物はそれぞれの時代に直面した問題に対応するために輪作に導入されてきた。もっとも、緑肥作物などの輪作は問題の最終的な克服手段とはならず、他の技術(化学肥料、農薬、抵抗性品種等)の開発と普及までのつなぎや、それらとの組合せに使う技術といって良い。しかし、時代は移り変わっても、緑肥作物には常に新しい役割が与えられてきた。現在、緑肥作物に求められている役割は、現在の技術で克服しがたい生産上の諸問題や、最新技術が引き起こす副作用、地域が抱える社会的な状況に起因する諸問題の解決にあるといえる。本稿では、畑作やその周辺で使われる緑肥作物の利用の現状を概説するとともに、その問題点と展望を述べようと思う。
著者
山本 聡 辻 博治 原 信介 田川 泰 綾部 公懿 劉 中誠 澤田 貴裕 白藤 智之 田村 和貴 岸本 晃司 新宮 浩 赤嶺 晋治 岡 忠之
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.493-496, 1997
参考文献数
5
被引用文献数
4

鈍的外傷による頸部気管完全断裂の2手術例を経験した。症例1は21歳, 男性。バイク乗車中転倒, チェーンにて頸部受傷。第1と第2気管軟骨間において完全断裂, 両側反回神経と食道の合併損傷も認めた。症例2は55歳, 男性。ショベルカーのアーム部にて前胸部, 頸部を受傷。第1と第2気管軟骨間において完全断裂, 両側反回神経と頸髄の損傷を認めた。両症例とも気管損傷に対しては気管端々吻合術を施行した。鈍的外傷による気管完全断裂症例は受傷早期の気道確保を確実に行えば, 比較的救命率の良い外傷であると考えられた。また, このような症例では気管のみではなく他臓器の合併損傷の可能性もあることが示唆され, 術中術後の充分な検索が必要と思われた。
著者
進藤 裕英 小堀 智之 堀口 勝三 山田 英一 中嶋 秀夫 辻 博史
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.793-798, 1995 (Released:2008-04-04)
参考文献数
12
被引用文献数
2

This paper discusses fracture toughness and temperature rise for JJ1 austenitic stainless steel forged plate at liquid helium temperature for fusion reactor magnets of next generation. Elastic-plastic fracture toughness (JIC) testing was conducted in general accordance with ASTM standards E813-81 and E813-87, and unloading-compliance technique was applied using compact specimens 25.0 mm and 12.5 mm thick. Thermocouples were used to measure the temperature rise near the crack tip. The effects of specimen size and side-groove on the cryogenic fracture properties of this alloy are examined. Examination of the fracture surface of CT specimens by scanning electron microscopy showed ductile failure by microvoid coalescence. The effect of inclusion on fracture mechanics parameters (JQ, JIC) is also discussed using energy dispersive X-ray analyser.
著者
石川 順三 後藤 康仁 辻 博司
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1993

1.半導体プロセス用大電流負イオン源と中電流負イオン注入装置の開発:半導体への負イオン注入に必要な硼素、燐、珪素、炭素など種々の負イオンを連続して数mA得供給できるRFプラズマスパッタ型負重イオン源(RFNIS)を開発した。また、小型の負イオン源を搭載した最大加速電圧140kVの中電流負イオン注入装置を開発した。本装置はクリーンブ-ズを有しており、実プロセスと同じ清浄な条件で負イオン注入が可能である。2.負イオン注入に伴う帯電現象の解明:負イオン注入時の絶縁電極の帯電は数Vであることを理論的に解明し、これを二次電子放出比とエネルギー分布測定から証明した。また、絶縁物の表面帯電電位の計測法として二次電子エネルギー分析による方法を考案し、これで半導体製造に用いられる絶縁物の負イオン注入による帯電電位は負の10V程度で有ることが判明した。更に、絶縁物の帯電機構として電気二重層モデルを提案した。3.負イオン注入デバイスの評価:ゲート酸化膜の劣化試験用デバイスに負イオン注入を行って評価して、負イオン注入が実際の半導体製造や次世代ULSI製造工程に利用できることを証明し、実用化の見通しを得た。4.極低エネルギー負イオンビーム蒸着の研究:大電流負イオンビーム減速蒸着装置を製作した。極低エネルギーにおけるビームのエネルギー幅は10eVと小さく、30eV程度に減速してもエネルギー制御性が有ることが判明した。更に、炭素負イオンを50eV〜400eVの極低エネルギーで蒸着し、その評価を行った。特性測定の結果、蒸着したカーボン膜は非晶質ダイヤモンドライクカーボン薄膜であることが判った。5.粉末への無飛散イオン注入法の開発:微粒子粉末へのイオン注入での粒子飛散問題に関して、飛散機構を理論的に解明し、理論や実験から負イオンによる無飛散イオン注入法を開発し、実用化の見通しを得た。