著者
芥川 洋平 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏
雑誌
研究報告 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.18, pp.1-8, 2012-05-25

日常生活において我々は所属するコミュニティに貢献する活動を分担して行っている.その1つに,研究室などのように部屋を共用する場合の共用ゴミ箱のゴミ出しがある.このゴミ出しにおいて,ゴミをあまり捨てていない人がゴミ出し当番となると,その人は不公平感を覚えるという問題が生じる.本稿では,この不公平感を解消することを目的とし,個人認識をすることなく,各人の捨てたゴミの量の割合に応じた確率でゴミ出し当番を自動選出する「出す当ボックス」を提案する.評価実験の結果,ゴミ出し当番を決定する際に不公平感は生じなかったが,ゴミ捨てがゴミ出し当番になる確率を上げることに繋がることと,ゴミ出し当番を通知する際に用いられる写真を撮られることから,ゴミ捨てへの抵抗感が生じたことが分かった.In daily life, people usually share some activities for contributing to their community. For example, when people share one room such as a laboratory, it is one of such activities to take out garbage from their shared trash box. However, if a member of the community who has thrown the small amount of trash is required to become a dustman, he or she might feel unfair. In this paper, we propose "Judgemental Trash Box", which determines a dustman automatically without personal identification, based on the amount of trash thrown by each member. As the result of an experimental evaluation of the proposed system, it is found that the participants do not feel unfair when this system chooses a dustman. However, they do not want to throw trash because throwing trash is directly related to raising their probability of assigning to a dustman. Moreover, they feel uncomfortable because the system unexpectedly takes their pictures for informing next dustman to all community's members.
著者
中村 洋 山本 景子 倉本 到 辻野 嘉宏 水口 充
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-8, 2011-01-14

ユーザが携帯電話を所持していても,実際に相手と通話できるか否かは相手の物理的・社会的状況に依存する.そのため,相手の無事を知るために通話をしたいと感じても,相手が通話に応じてくれるかどうかわからないため,漠然とした不安が生じてしまう.そこで本研究では,相手の携帯電話に付与したセンサにより相手の状況を自動的に判別し,相手が通話できかつ電話に出てもよいと考えているかどうかという通話是非情報を通知する手法を提案する.それにより,「相手の無事による安心感」,「相手に自分を助けてもらえることによる安心感」,「相手の意思・意図」の 3 つの感覚が伝達でき,その結果として安心感の拡大や行動を決定する上での判断の助けとなる.アンケート評価の結果,安心感を拡大することができ,行動を決定する上での判断の助けとなることがわかった.さらに試作システムによる携帯電話所有者の通話是非状態の判別精度を評価し,高い精度で判別できることを確認した.Whether a person with mobile phone can receive someone's call is dependent on the physical and social situation of him/her. Therefore, when we want to communicate with our partner to know his/her safety, we feel insecure because we cannot know whether he/she can accept our call or not. To solve the problem of insecurity feeling, we propose a method which helps to emphasize our sense of security by notifying the partner's acceptability of receiving our call. The acceptability is estimated with several sensors attached to mobile phone. The method aims to transmit three senses ― "sense of security about the partner's safety", "relief by the partner's help", "intention of the partner". From the result of questionnaire about the proposed method, it is found that the method can enhance sense of security so that we can decide what to do. In addition, it is found that the prototype can estimate participants' acceptability with high accuracy.
著者
桝田 秀夫 増澤 利光 辻野 嘉宏 都倉 信樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.94, no.389, pp.11-18, 1994-12-09
被引用文献数
2

ネットワークの取り得る全状況集合をSとし,そのうち望ましい状態とみなせる状態の集合を正当な状況といい,Lと表す(L⊆S).任意のSの状態から出発し有限時間内にLに含まれる状態に達する分散アルゴリズムを自己安定アルゴリズムという.従来,自己安定アルゴリズムは,プロセッサ同士が通信路として2点間通信(Point-to-Point)リンクを用いて情報を交換するネットワークモデル上で考えられてきた.本稿では,マルチアクセスチャネルを持つネットワーク上でリーダー選択問題を解く自己安定分散アルゴリズムを提案する.
著者
三好 史隆 倉本 到 渋谷 雄 辻野 嘉宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.831-839, 2006-10-01
被引用文献数
5 5

ユーザがPCを用いて作業を行っているときに,優先的に行われている作業のことをメインタスクと呼ぶ.そして,そのメインタスクに割り込んで表示される情報のことを周辺情報と呼び,その提示方法のことを周辺表示法と呼ぶ.周辺情報により,ユーザは効率的に作業を進めることが可能になるが,周辺表示法が適切でなければ,ユーザは周辺情報を見逃したり,逆にメインタスクを邪魔され,効率良く作業を行うことができない.つまり,"メインタスクを邪魔しない"ということと"情報提示を気づかせやすい"ということが周辺表示法に求められている.しかし,この二つはトレードオフの関係にあり,両方を同時に満たすことは困難である.そこで,ユーザが周辺情報を受け取りながら作業を効率的に進めるためには,周辺表示法がユーザの作業に与える影響を知ることが重要となる.本研究では,"メインタスクへの妨害の度合"の指標として「タスク集中度」を提案し,これに加えて,"気づかせやすさ"の指標である認知時間を用いて周辺表示法を評価する.
著者
重森 晴樹 後藤啓太 倉本 到 渋谷 雄 辻野 嘉宏 水口充
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.79, pp.43-48, 2008-07-31
被引用文献数
2

これまで PC ユーザはファイルやメール,ブックマークなどの膨大な情報資源に短時間でアクセスするために,情報資源を手探りで分類したりキーワード検索を利用してきたが,これらの手法による支援は十分ではない.一般に PC ユーザは情報資源にアクセスするために,それらに対する経験 (ユーザエクスペリエンス) を分類や検索のキーとして利用できると考えられる.そこで本論文では,このユーザエクスペリエンスを 5W1H (What,Where,Who,When,Why,How) を用いて記述し,従来手法を含む様々な情報分類・検索手法を表現することができる情報資源管理スキームについて述べる.PC users have many information resources such as files, e-mails and bookmarks. They would be able to use their experiences related to the information resources as keywords of classification and search to access them quickly. We discuss an information resource management scheme in which the user experience is described based on 5W1H (What, Where, Who, When, Why and How). In the scheme, we can represent various methods of information classification and search, including traditional ones.
著者
大迫 孝 倉本 到 渋谷 雄 辻野 嘉宏 水口 充
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.5, pp.23-30, 2009-01-19

スケジューラを用いるとき,人は抱えている予定を思い出すために,それを事前に通知するリマインダ機能を用いる.既存のスケジューラでは,事前通知時刻をユーザが決定する必要があり,他のタスクおよびスケジュールをすべて考慮して適切な事前通知時刻を決定することは難しい.そこで,自動的に事前通知時刻を決定することを考える.このためには,ユーザ自身のタスクおよびスケジュールに対する余裕の持ち方について考慮しなければならない.そこで,まず,タスクおよびスケジュールに対して人が持つ時間的余裕を余裕時間と定義し,その余裕時間と,タスク実行に最低限必要であると予想する見込み時間およびスケジュール実行場所への移動時間との関係をアンケートより調査した.さらに,その結果を用いて事前通知時刻を自動的に決定する手法を開発し,効果を検証するために実環境での実験を行った.その結果,余裕時間を用いた事前通知手法が既存の手法に比べて適切なタイミングでスケジュール情報を通知できることがわかった.Many people use their calendar software with reminder function to remind their task or schedule in good time. Most current calendar software asks the user to set such good remind time, called the prior notification time below, manually. In order to decide the prior notification time automatically, it is necessary to consider how much margin the user needs for a task and/or a schedule. In this paper, we investigated the relationship between time margin and the expected time for task completion / the expected traveling time by questionnaire, and then we proposed a prior notification method based on the relationship. As a result of experiment, we found that the proposed method provided better timing than the conventional method of popular calendar software.