著者
横田 賢祐 近藤 靖史 佐藤 誠 芹川 真緒 秋元 孝之 長井 達夫
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成28年度大会(鹿児島)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.17-20, 2016 (Released:2017-10-31)

「ヒートショック」とは急激な温度変化により血圧が急変し、脳卒中や心筋梗塞を引き起こす現象のことである。特に、冬期に暖房で暖められたリビングから気温の低い脱衣所や浴室へ移動し、肌を露出した際にリスクが高く、住宅内の温度差を小さくすることがリスク緩和として有効であると考えられる。本研究では、戸建て住宅モデルを数値流体解析により検討し、断熱改修等により断熱性能を向上した場合の冬期の入浴時におけるヒートショック緩和について検討を行う。
著者
小笠原 岳 近藤 靖史
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.31, no.115, pp.19-24, 2006-10-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
10
被引用文献数
1

空調設備設計の際に用いられる熱負荷計算では非常に複雑である伝熱現象を単純化して扱っている。特に放射熱伝達は放射熱伝達率を用いて壁面温度と室内空気温度との関係として表現される。また放射熱伝達率はほとんどのケースで一定の値が用いられている。しかし放射熱伝達は本来物体表面間のみで起こる熱移動現象であるため、壁面温度と空気温度の関係で実現象を充分に捉えているか、また様々な条件下で一定の放射熱伝達率が適用できるかなど、検討の余地がある。本研究ではCFD解析に基づく放射熱伝達率の算出方法を示し、事務室空間における放射熱伝達率について検討を行う。
著者
近藤 靖史 青木 平等 太田 恭兵 永吉 智之 大塚 弘樹
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.19, no.41, pp.203-208, 2013-02-20 (Released:2013-02-20)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

The attic in a house can be utilized for storage space but the thermal condition may not be suitable for such usage. In order to keep temperature in attic within a moderate range, it is well known that improvement of insulation and solar reflectance of roof are very effective but the combined effect of roof insulation and solar reflectance has not been discussed. In this study, such combined effect is examined on the basis of measured data in full scale house models and results of numerical simulations. The simulated results show good correspondence to measured data and numerical simulations under various conditions are conducted. This paper also gives the charts in which appropriate insulation performance and solar reflectance of roof can be selected according to requirement for attic space.
著者
近藤 靖史 長澤 康弘 藤本 哲夫 田坂 太一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.73, no.634, pp.1361-1368, 2008-12-30 (Released:2009-10-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1 3

The insulation materials are used to improve thermal performance of buildings and their performance should be kept in required value during building life time, however long term change of thermal conductivity is observed for most of insulation materials. It is well known that the thermal conductivity of insulation foams increases with time due to the emission of the blowing agents from the insulation foams and the transfer of the air into them. In this paper, the aging of thermal conductivity in various insulation foams is discussed with measured data and numerical analysis. Two kinds of accelerated test are conducted and the aging characteristics of various foams are examined. The estimation equations of thermal conductivity change of insulation foams are shown and applied to the measured materials. The effective diffusion coefficient of the blowing agents is obtained by comparing the simulation results and the measured value.
著者
近藤 靖史 川口 明伸 吉野 一 荻田 俊輔
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.76, no.664, pp.547-554, 2011-06-30 (Released:2011-11-16)
参考文献数
27
被引用文献数
1 2

Oil mist generated in commercial kitchens has a serious influence on worker's health and may make an odor problem. Therefore many research works have been recently reported on oil mist emitted from cooking equipment such as fryers and griddles in USA (ASHRAE 745-RP Final Report etc.) and in Japan. In this paper, particle size distributions emitted from griddle and fryer were measured with two measurement systems (WPS and SMPS/APS) and the results showed that size of almost all particles was under 1μm. However oil mist includes relatively large particles over 1μm which should not be neglected when cleanness in kitchen especially in the vicinity of cooking equipment is discussed. This paper also examined the aerosol dynamics of oil mist under 1μm. The results showed gravitational settling, coagulation and Brownian diffusion had no important effect on oil mist distribution in kitchens and oil mist under 1μm can be treated as passive scalar in CFD simulation.
著者
近藤 靖史 太田 恭兵 小倉 久 横田 賢祐 早川 眞
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.215, pp.11-18, 2015-02-05 (Released:2017-09-05)

シックハウス対策として新築住宅に義務付けられた常時換気システムの一つである「排気セントラル換気方式」では、排気経路として扉のアンダーカットが多く採用されている。しかし人体から発生する汚染質や水蒸気などの排出を主な目的とする場合においては、室上部に排出経路を設けることが適切と考えられる。そこで、本研究では就寝時の住宅寝室を対象とし、排気経路を扉のアンダーカットとした場合と扉上部に設けた開口とした場合の換気性状を実験とCFD解析により比較・検討した。その結果、温熱環境には両者に大きな差は見られないが、空気環境は扉上部の開口を排気経路とした場合の方が良好となった。
著者
早川 眞 近藤 靖史 太田 恭兵
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.38, no.192, pp.31-34, 2013-03-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
6

シックハウス対策として新築住宅に義務付けられた「住宅の常時換気システム」の一つである「排気セントラル換気方式」では、排気経路として扉アンダーカットが多く採用されている。しかし、人体から発生する汚染質や水蒸気の排出を主目的とする「個室の換気性能確保」の観点では、扉の上部開口を中心とする上部排気経路の配置の方が効果的なはずである。このような観点から冬期の夜間の寝室を想定して、アンダーカットと扉上部開口を比較する形で気流分布、温度分布、CO_2濃度分布をCFD解析で求めてその優劣を確認した。その結果、扉上部開口の設置の方が有効であること、既存の換気計画マニュアル等の改正が望ましいことが分かった。
著者
長澤 康弘 近藤 靖史
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.29, no.71, pp.239-244, 2023-02-20 (Released:2023-02-20)
参考文献数
8
被引用文献数
1

It is known that the thermal conductivity of insulation foams increases with time due to the emission of the blowing agents from foams and the transfer of the air into them. In this paper, the aging of thermal conductivity in phenolic foam is discussed with measured data and numerical analysis. Measurement of specimens with different thicknesses and surface material conditions are conducted and the aging characteristics are examined. Using the estimation equations of thermal conductivity change, the effective diffusion coefficient and mass transfer coefficient of the blowing agents is obtained by comparing the simulation results and the measured value.
著者
村上 周三 高橋 義文 加藤 信介 崔 棟皓 近藤 靖史
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.57, pp.105-116, 1995
参考文献数
11
被引用文献数
13

閉鎖空間内の温熱環境を詳細かつ総合的に予測するためには流れ場,放射場を連成させた数値シミュレーションを行うことが有効となる.冷風吹出しと冷却パネルを併用した冷房方式の居室を対象として,壁面対流熱伝達の計算に熱伝達率α_cを壁関数として用いる境界条件を用い,対流場と放射場を連成させた数値シミュレーション(k-εモデル)を行い,温熱環境を構造的に検討した.本報(第1報)では,放射と対流を連成させる数値シミュレーション手法の概要を説明し,冷風吹出しと冷却パネルを併用する冷房居室にこれを適用解析した結果を示す.次報(第2報)では複雑形状をした居室内における対流・放射連成シミュレーションの放射計算にモンテカルロ法を適用し,その精度向上を図るとともに室内に家具などを設置した場合の解析結果を示す.本報に示す主な検討結果は,以下のとおりである.(1)対流熱伝達シミュレーションの精度に十分な注意を払えば,実験と数値シミュレーションは気流分布・空間温度・壁面温度ともに十分な精度で対応している.(2)実験と数値シミュレーションでは,強制対流式冷房の場合,居住域内でドラフトが発生しているが,強制対流・放射併用式冷房の場合は居住域内のドラフトは発生せず,天井冷却パネルはドラフトの軽減に効果的である.(3)ペリメータ部(窓面,外壁面)から室内に侵入する熱,および天井冷却パネルの表面から吸熱される熱は,約半分がその面における対流熱伝達によるものであり,残りの半分は放射熱伝達によるものである.
著者
近藤 靖史 小笠原 岳 宿谷 昌則
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.127, pp.25-30, 2007-10-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
5
被引用文献数
2

タバコ煙は室内空気の汚染質の一つであり、健康への影響が広く認められている。近年、室内での非喫煙者が喫煙者のタバコ煙を吸引する受動喫煙は社会的に大きな問題となっている。このような背景のもと公布された健康増進法では、受動喫煙の防止に関して努力義務規定が明文化され、建築内においてタバコ煙に関する分煙が進められている。本研究では空間分煙に着目し、滞在時間が比較的長く、未成年者も利用すると考えられる飲食店舗を対象とした実態調査を行った。次に実態調査の結果に基づいて効率的な分煙方法を数種類想定し、CFD解析により検討した。
著者
近藤 靖史 遠藤 俊
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.187, pp.57-64, 2012-10-05

地下鉄の駅では車両からの排熱などにより空間温度が高くなる傾向がある。これに対し、駅構内の温熱・空気環境を適正範囲内に維持するためには、冷房設備や機械換気設備を稼働させることとなり、膨大なエネルギー消費につながる。本研究では、移動物体CFD解析により列車風の影響を組み込んだ上で、駅構内の温熱・空気環境を検討した。また、シャフトを介した自然換気の性状や、ホームドアによってホーム部冷房空気が線路部へ漏出するのを防ぐことができることなどを示した。
著者
橋本 哲 寺野 真明 杉浦 敏浩 中村 政治 川瀬 貴晴 近藤 靖史
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.93, pp.67-76, 2004-04-25
被引用文献数
11

室内環境は,オフィスワーカーや学校生徒など建物居住者のプロダクティビティや健康に影響する.近年,室内環境の改善によるプロダクティビティ向上が,費用対効果の高い投資であることを強調する文献が目立ってきている.このような状況の中,筆者らは,この分野の研究や応用商品の開発が国内で活発化する可能性について調査を行ってきた.本稿ではまず,海外の研究動向を紹介する.次に,現在,様々な見解や方法が提案されているプロダクティビティの概念・定義,および,測定方法について,その解釈と今後の方向を考察する.
著者
近藤 靖史 長澤 康弘 張本 和芳 守屋 賢志
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.557, pp.65-72, 2002
参考文献数
8
被引用文献数
8 6

Computational Fluid Dynamics (CFD) is one of the most useful techniques to predict the air distribution in air-conditioned and ventilated rooms. The supply airflow such as free jet, wall jet and combined flow of these jets has a great influence on the air distribution in rooms. Most of supply air diffusers have complex geometry, however, the shape of diffuser is usually oversimplified in CFD with coarse grids system. The results of such simulation may give incorrect prediction due to the poor modeling of diffusers. Even if the complex geometry of air diffuser can be described in detail, huge computer capacity and very long calculation time were required. In this paper, several modeling methods to simplify the boundary condition around air diffusers, such as BOX Method (P.V. Nielsen; 1976,1992) and P.V. Method (Prescribed Velocity Method, P.V. Nielsen et al.; 1980), are compared. These modelings require the distribution of air velocity, turbulence properties, temperature and concentrations around the diffuser beforehand. These data as the boundary condition for CFD with coarse grids can be obtained from the experimental measurement or the unstructured CFD simulation with fine meshes. In this paper, the full scale experiment was carried out at isothermal condition, and the airflow data around complex air diffuser installed at ceiling was obtained. With the basis of the flow data around the diffuser by the measurement, BOX Method and P.V. Method were applied to the air diffuser. The results of coarse grids CFD showed the good agreement not only around diffusers but in other part of rooms with the measurement.
著者
杉浦 敏浩 橋本 哲 寺野 真明 中村 政治 川瀬 貴晴 近藤 靖史
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.123, pp.11-22, 2007-06-05
被引用文献数
1

室内環境は,建物在室者のプロダクティビティや健康に影響する.したがって,プロダクティビティに着目すれば,プロダクティビティ向上を意図した室内環境計画や室内環境改善を行うことも想定できる.しかし,これらに対する投資判断や実施効果を確認するための評価方法が整備・標準化されておらず,室内環境をより高品質なものにする取り組みは充分には進められていない.このような状況の中,筆者らはできるだけ簡単に,かつ確実に実施できる標準的なプロダクティビティ評価方法について検討を行った.本報ではまず,既往のプロダクティビティ評価方法と最近の研究動向を整理する.次に,一般的な建物で利用できる標準的な評価方法の要件を整理し,これをもとに評価票を提案する.さらに今後の課題を整理する.
著者
近藤 靖史 小笠原 岳 藤村 淳一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.547, pp.67-74, 2001
被引用文献数
2 1

It is well known that water vapor and carbon dioxide in the air have several infrared bands where these gases absorb and emit radiative energy. Therefore the radiative heat absorbed by room moisture may not be neglected in the prediction of room air temperature. Glicksman and Chen(1998) carried out numerical analysis and showed that the effect of radiative heat absorbed by room air moisture should be considered in the prediction of temperature distribution in large enclosed spaces. In this paper the analysis method of the radiative energy absorbed by room moisture is shown and some examples simulated by this method are presented. (1) The numerical analysis with temperature of walls as a given boundary condition was carried out. The simulated results with 25%, 50%, 75% relative humidity were compared to the case with absolutely dry air and the impact of radiative heat absorbed by room moisture on air temperature was confirmed. The effect of moisture on air temperature was remarkable especially when the temperature difference between walls was large and the volume of space was big. (2) The interactive simulation of convective and radiative heat transfer was conducted with the moisture's effect on air temperature simultaneously. The results showed that the impact of the radiative heat absorbed by room moisture appeared not only in air temperature but in the surface temperatures of walls.