著者
斎藤 公明 遠藤 章
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.63, no.12, pp.585-602, 2014-12-15 (Released:2014-12-27)
参考文献数
32
被引用文献数
2 3

環境中における適切な外部被ばく線量評価に必要な基本情報を提供する。まず,環境中に分布する典型的な線源から放出されるγ線の基本的な性質について説明するとともに,この性質を考慮して行われた被ばくシミュレーションにより得られた,広い年齢層に対する線量換算係数をまとめて紹介する。さらに,様々な要因による被ばく線量の変動の様子,また,空間線量率の測定値と被ばく線量の関係についても議論する。
著者
吉田 昌弘 遠藤 章 佐藤 滋朗 大畑 勉 渡辺 正敏 大山 柳太郎 古屋 廣高
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.213-218, 2005-09-25 (Released:2009-04-21)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

A number of consumer's goods which contain natural uranium and thorium are circulated in the familiar living environment. Based on various kinds of information sources, 20 kinds of these consumer's goods were collected and their radioactive concentrations were measured by using ICP-MS and Ge semiconductor detector. As this result, it was found that the concentrations of uranium and thorium in the consumer's goods used at home and industries were below 34Bq/g and below 270Bq/g, respectively. Next, the concentrations of daughter nuclides were not so different from the ones of uranium or thorium, which showed that the secular radioactive equilibrium held between both concentrations.In addition, the radiation exposures for public consumer were evaluated when four kinds of typical consumer's goods frequently used in daily life are utilized. The results computed by MCNP-4C code were below 250μSv/y.
著者
真辺 健太郎 遠藤 章
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.375-384, 2011 (Released:2011-09-29)
参考文献数
26

改訂された放射性核種データICRP Publ.107(ICRP107)及び従来のデータICRP Publ.38(ICRP38)を使用し,放射性核種データの改訂が内部被ばく線量係数に及ぼす影響について調べた。ICRP107及びICRP38に基づく作業者の経口摂取に対する線量係数を計算した。計算は,内部被ばく線量計算コードDCALを使用し,774核種の876の化学形について行った。ICRP107に基づく線量係数が,ICRP38に基づく線量係数に比べて10%以上増加または減少した化学形の数は,それぞれ61及び28であった。経口摂取に対する線量係数が変化した主な原因は,先に報告した吸入摂取の場合と同様にエネルギーデータの変化であることがわかった。また,電子と光子のエネルギー割合,壊変様式及び半減期の変化も,線量係数の変化の原因であることも明らかになった。次に,経口摂取及び吸入摂取に対する線量係数が変化した程度と原因を比較した。その結果,電子と光子のエネルギー割合の変化は,吸入摂取に比べ経口摂取の方がより大きな影響を及ぼすことがわかった。一方,β線エネルギースペクトルの形状の変化は,吸入摂取に対する線量係数が変化した原因の一つであったが,経口摂取に対する線量係数には影響を及ぼさないことが明らかになった。
著者
甲斐 倫明 遠藤 章 高橋 史明 佐藤 薫 伴 信彦
出版者
大分県立看護科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

CT診断からの臓器線量計算を行うWebシステムWAZA-ARIにおいて、年齢と体型の個人差を考慮できるシステムに拡張したWAZA-ARI 2を開発した。未成年はフロリダ大学で開発した年齢別ファントムを用いた。成人体型の違いを計算するために、日本人の標準体型からBMIで2倍の標準偏差だけ外れるやせ型、2倍と5倍の標準偏差だけ外れる肥満型のファントムを皮下軟組織のみを変形することでファントムを構築した。また、実際の臨床で得られたCT画像をもとにボクセルファントムを構築し、臓器線量の個人差を実際の体型ごとに計算し、体型と臓器線量の関係を導いた。有効直径が体格の指数として利用できることがわかった。
著者
真辺 健太郎 佐藤 薫 遠藤 章
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

身長、体重、臓器質量について成人日本人男性の平均的値に調整されたファントムJM-103に基づく比吸収割合を用いて臓器線量及び実効線量に相当する量を計算するとともに、ICRPの成人男性リファレンスファントムICRP-AMに基づく線量と比較した。Cs-137の経口摂取では、ICRP-AMに対し、JM-103に基づく線量が10%大きいなど、核種によっては体格や臓器質量の違いが線量に影響を及ぼすことが明らかとなった。
著者
遠藤 章
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.276-280, 2010-04-01 (Released:2011-08-29)
参考文献数
20

コンパクチン(ML-236B,メバスタチン)とその最初の同族体ロバスタチン(モナコリンK,メビノリン)が発見されたのは30年以上前の1970年代である(コンパクチン同族体をスタチンと総称).ロバスタチンが商業化スタチン第1号として登場してから(1987年)でも20年以上が過ぎた.現在では,その後開発された半合成および合成スタチンを加えた計7種のスタチンが,世界中で毎日約4,000万人の患者に投与され,すでに500万人の命を救ったとされる.スタチンの年間売り上げは3兆円(邦貨換算)を越す.卓越した安全性と薬効が認められたスタチンは,ペニシリンと並ぶ‘奇跡の薬’と呼ばれている.医学と医療に与えたインパクトが巨大なだけでなく,世界の医薬品産業でも史上最大の売上げを記録して,産業界からも注目されている.このような例は百年に幾度もないだけに,ペニシリンの例に倣って(1),発見と開発をめぐる事実を正確に後世に残すのが,筆者に課せられた責務と考える.
著者
遠藤 章
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.136-138, 2018-02-20 (Released:2019-02-20)

本稿では筆者が研究者として大切にしてきた「研究者としての心がけ10か条」を紹介したい.この10か条は筆者が三共(現第一三共)を退職して農工大学に移った頃に(1980年頃),友人から見せてもらい,自分でも気に入って大切にしてきたものだ.30年も前のことで,10か条の一部か大部分が変わっているかもしれない.古臭い話で,現在にはそぐわないかもしれないが,現在では忘れられている昔の良さを思い出すきっかけになればと思い紹介する.
著者
遠藤 章 沖 雄一 三浦 太一 神田 征夫 近藤 健次郎
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌 (ISSN:00047120)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.210-218, 1997-03-30 (Released:2009-03-31)
参考文献数
35

現在,各国において種々の大強度高エネルギー加速器施設の建設計画が進められており,加速器を利用して得られる様々な放射線を用いた研究が,今後ますます盛んになることが予想される。大型加速器施設では,加速器の運転に伴い発生する高エネルギー放射線と,それにより生成される放射化物などに対する安全対策が重要になるが,原子炉施設とは異なる加速器施設特有の問題もある。本稿では,その一つである高エネルギー加速器施設における放射化と,それに基づく内部被ばくの問題について,加速器施設の安全管理の経験から得られた知見を中心に紹介する。
著者
遠藤 章二
出版者
聖カタリナ大学短期大学部
雑誌
聖カタリナ女子短期大学研究紀要 (ISSN:02869748)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.69-76, 2002-03-10

本学に在学する女子短大2年生を対象に日中の体温変動を3日間単位として2回にわたり測定した。測定した結果を, 1日の最高体温と最低体温との差から3つのグループ, 「激しい・中程度・緩やか」群に分類し, その日内変動の特性を検討した。「激しい」群は, 日中の体温差が平均で1℃を超した。多分, 覚醒レベルが高く, 学習意欲も旺盛なグループであろうと考える。一方, 日中の体温変動の平均が0.43度と少なかった「緩やか」群の者は, 1日中覚醒レベルが上がることなく, 学習意欲も高まることなく漫然と過ごしたのではなかろうかと考える。 今後, 朝食の摂取, 運動などの体温上昇などの要因を加味した調査を検討している。