著者
三田 俊夫 酒井 明夫 上田 均 藤村 剛男 中村 正彦 伊藤 欣司 坂本 文明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.983-989, 1993-09-15

【抄録】 憑依症状群(キツネ憑き)を中心とするfolie à troisの2例を報告した。発端者はいずれも精神分裂病であり,「家」のうちでは中心的役割を果たし,共同体の文化的脈絡にそって生活していくべき立場にあった。1例は山村,他例は漁村が舞台となっているが,いずれにおいても発端者と継発者とは,地域の民間信仰と俗信を絆として互いの緊密な結びつきを保ち,それを土台に互いの病像を支持し合い,強め合うという傾向が顕著に認められた。従来,本病態の発生には,外部とは隔絶された,長期にわたる同居の期間が必要とされてきたが,本例では,地域と家庭双方における民間信仰の共有が,いわば心性という次元で同居と同様の状況を作り出していると考えられる。これらのことより,本病態の発生因として,従来重要視されてきた遺伝的近接と環境的近接に加えて,地域の伝統風俗や習慣に土台を持つ,信仰,思想上の近接が重要な役割を果たしうることが示唆された。
著者
酒井 明夫
出版者
日本精神神経学会
雑誌
精神神經學雜誌 = Psychiatria et neurologia Japonica (ISSN:00332658)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.65-70, 2010-01-25
参考文献数
15
著者
酒井 明夫
出版者
科学評論社
雑誌
精神科 (ISSN:13474790)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.44-48, 2004-01
著者
小野寺 誠 小泉 範高 藤野 靖久 菊池 哲 井上 義博 酒井 明夫 遠藤 重厚
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.307-312, 2014

症例は30代の女性。東北新幹線乗車中に下腹部痛が出現し救急要請となった。救急隊が病院選定を行う際に自分は医師であると話し前医へ搬送となったが,診察をめぐってトラブルとなったため当院紹介となった。救急隊からの連絡で身分証明書の提示を拒否していたこと,インターネット検索をした結果,氏名と所属が一致しないことを確認したために薬物依存の可能性を考え,前医に医師会への報告を依頼するとともに当院精神科医師による診察を依頼した。当院搬入時,下腹部の激痛を訴えており,一刻も早い鎮痛剤の投与を希望していた。患者によると,子宮頸管狭窄症の診断で海外の病院や都内大学病院で大腿静脈よりペンタゾシンとジアゼパムを静脈内投与していたと主張していた。精神科医師による傾聴後,痛み止めは施行できない旨を伝えていた最中に荷物より所持品が落下した。某大学病院や某研究機関研究員など多数のIDカードを所持しており名前も偽名であった。その直後に突然激高し,看護師の腹部を蹴り,当院から逃走した。30分後,当院より約10km離れた地点で救急要請した。搬送となった病院でセルシン<sup>® </sup>とソセゴン<sup>® </sup>を筋注したが10分程で再度除痛するよう訴えた。直後に岩手県医師会から「不審患者に関する情報」がFAXで届き,警察への通報を考慮していたところ突然逃走した。医師会を通じて調査したところ,前日には宮城県,翌日には秋田県の医療機関を同内容で受診していることが判明した。本症例を通して,救急医療機関においては,問題行動のある精神科救急患者を受け入れた際の対応マニュアルを,あらかじめ整備しておくことが望ましいと思われた。
著者
亀甲 武志 北門 利英 石崎 大介 氏家 宗二 澤田 宣雄 三枝 仁 酒井 明久 鈴木 隆夫 西森 克浩 二宮 浩司 甲斐 嘉晃
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.81, no.1, pp.17-26, 2015 (Released:2015-02-02)
参考文献数
36
被引用文献数
3 10

2012 年と 2013 年の 3 月から 5 月にかけて琵琶湖の内湖の一つである伊庭内湖周辺においてホンモロコ釣りの遊漁による釣獲尾数の推定を試みた。調査日を 1 次抽出単位,遊漁者を 2 次抽出単位とする 2 段抽出法により釣獲尾数を推定した。ホンモロコ釣りの遊漁による釣獲尾数は 2012 年は,272,275(変動係数=14%)尾,2013 年においては 85,489(変動係数=13%)尾と推定された。琵琶湖のホンモロコ資源を評価し管理する上で,ホンモロコ釣りの遊漁による釣獲量の把握は重要であることが明らかになった。
著者
酒井 明
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.89-97, 2008-02-29

我が国の総人口が予想より早く2006年から減少し始めた。生産年齢人口については減少に転じてから12年近くが経過している。我が国を少子化と高齢化という二重の負担が覆っている。日本人労働力の減少を補うために、毎年約60万人の外国人労働者を受け入れなければ、日本は現在の経済水準を維持出来ないと言われている。しかし、受け入れの拡大は犯罪、社会保障、教育などで社会秩序リスクを伴う。一方、国際的な労働移動をめぐる環境も大きく変化している。グローバル社会の到来に対応すべく21世紀において日本はこの外国人労働者受け入れ問題をどの様に考え、実践すればよいのか。本論においては方法論として、まず、なぜ、今、外国人労働者問題なのか、問題の背景に触れ、次に現行の制度の概要と変遷、それをめぐる議論について検証し、どの様な問題が生じ、また、なにが課題となっているかを考察する。その後、それを踏まえて諸外国の例を参考としつつ、新しい21世紀日本の外国人労働者受け入れ政策について提示する。
著者
菅原 和宏 井出 充彦 酒井 明久 鈴木 隆夫 久米 宏人 亀甲 武志 西森 克浩 関 慎介
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.45-52, 2014 (Released:2014-01-29)
参考文献数
19
被引用文献数
1 4

琵琶湖でのビワマス引縄釣遊漁の現状を把握するために,2008 年 12 月から遊漁者に対して琵琶湖海区漁業調整委員会指示により届出と採捕報告書の提出を義務付けた。2011 年 9 月までの結果を集計したところ,届出者数は年々増加していた。採捕報告書の提出率は約 90% であった。釣行日数と総採捕尾数は冬期に少なく,夏期に多い傾向を示した。毎年約 1 万尾が採捕され,そのうち 41.4~67.3% は再放流されていた。遊漁者による採捕量は 6.6~8.6 t と推定され,漁業者による漁獲量は 23.2~45.8 t であった。