- 著者
-
重松 敬一
日野 圭子
- 出版者
- 奈良教育大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1998
本年度の計画とそれに対する研究実績は以下の通りである。1.前年度の研究から得られた結果に基づいて,「学習ユニット」の構成と評価の視点を明確にする。=> 学習ユニットの構成では,Plan-Do-SeeのサイクルのPlanの段階において,数学的道具をどう組み込むか,それをどう評価するかを考える。更に,(1)数学的道具の異なる側面(「基礎技能」「表現」「処理」「解釈」「問題解決」「道具づくり」),(2)道具使用の場面(「道具を選んでの計算」「数学的探究や説明の中での道具使用」「日常生活の問題解決における道具使用」「総合的な作業における道具使用」)の2つの軸の中での位置付けを考える。尚,電卓・グラフ電卓の使用を組み込んだ学習ユニットの一部として,「ちらしを使って考えよう」「電卓で遊ぼう」(小学校高学年),「バスケットボールのシュートの正確さを予測しよう」(高校)の授業を考え,実践した。2.視点に基づいて,算数・数学科カリキュラム・指導・評価をつなぐシステムを考案する。=> 学習ユニットの構成と評価の視点を織り込んだ具体事例を幾つか考案するところまでを行った。今後の課題が残された。(1)数学的道具を今回は狭い意味で用いたが,数学的活動との関わりなどから,より広く規定していくことが必要である。(2)数学的道具の取り入れを意識するために,指導案を作る上でのガイドラインを更に検討する必要がある。(3)道具の使用を認めるような評価方法についても,更なる検討が必要である。(4)より広く,「道具を使った数学的探究」という総合的な柱についての検討が必要である。