著者
瀬沼 花子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 27 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.229-232, 2003-07-20 (Released:2018-05-16)
参考文献数
2

TIMSS1999の付帯調査として, 7か国の中学校2年生について合計638の数学授業のビデオ撮影と分析が行われた。分析の結果, 各国の指導法には類似点とともに多くの相違点があり, 高い得点を導く指導法はただ一つに決まるのではないことが明らかになった。例えば香港と日本は同じくらい数学得点の高い国であるが, 指導法はかなり異なっていた。なお, 国際比較結果に対する各国の視点は, その国の文化と相まって様々である。日本にとっては, 撮影された授業が典型か否かの検討と生徒の数学に対する態度を高める指導法の追求が今後の課題である。
著者
長崎 栄三 太田 伸也 大谷 実 久保 良宏 重松 敬一 瀬沼 花子 滝井 章 阿部 好貴 島田 功 長尾 篤志 西村 圭一 日野 圭子 松元 新一郎
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

第1に、成人期の数学的リテラシーの捉え方について次の3点から考察した。個人と組織が求める数学的リテラシー、幸せに生きるための数学的リテラシー、不確定な社会における社会人に持っていて欲しい数学的リテラシー、第2に、民主主義社会などを念頭において数学的リテラシーとして次の4つの領域からその内容・視点を考察した。人間にとっての算数・数学、算数・数学における対象、算数・数学における方法、社会にとっての算数・数学。第3に、「すべての人々」について検討を行い、算数・数学における子どもの多様性から考察した。
著者
瀬沼 花子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.34-42, 2004-03-10 (Released:2017-06-30)
参考文献数
13

It is very important to know the "needs of society" for mathematics, and to incorporate them into mathematics curricula. A survey on "The degree of requirement and expectation for mathematics" was conducted for 2060 companies by mail from January to February 2002, and 399 companies replied. From an analysis of the results, it is revealed that the general image of a person as expected by companies is "Being able to know numbers, to do calculation, to make predictions based on data, to consider things logically, to make judgments, to know statistics, and to express things briefly" as a result of mathematics education. From an analysis of opinions about mathematics education, it is revealed that "Improvements of mathematics teaching" such as applications to everyday life, lessons which emphasize interest, etc are expected. In addition, "Logical thinking" and "Creativity" are also expected. Making predictions based on data has not attracted attention up to now and should be emphasized more. Although companies' expectation for statistics is very high, statistics has been shifted to the upper secondary mathematics from the lower secondary in the new courses of study. Moreover, companies pay attention to not only the contents of mathematics but also the ways of teaching.
著者
大谷 実 瀬沼 花子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集
巻号頁・発行日
vol.28, pp.133-136, 2004

数学教育における創造性の育成に関して,才能豊かな児童・生徒に対する特別な方策を講じてきたハンガリーを取り上げ,その伝統と今日的課題を整理する.①数学は初等・中等教育段階の必履修教科であり,数学コンテストや数学教育雑誌等が創造性育成の重要な手段として機能している.②社会主義崩壊後,中等教育の拡充・と多様化が進み,数学優秀児のクラス数が増大した.③国家基本教育課程(NAT)の実施と欧州連合加盟により,数学の教育内容の大幅なレベルダウンと授業時間数の削減,学力低下が懸念されている.
著者
瀬沼 花子
出版者
玉川大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

1. 諸外国におけるコンピュータを利用した数学テスト問題作成の在り方と現状について,最新の情報を収集した。その結果,静止画ではなく動画で,日常生活での数学の活用場面を映像で,自然現象における数学的な事象を映像で提示し,数学問題の理解を深め数学的思考を高めようとするテスト問題開発は,わが国のみならず世界的にも,2010年2月の時点でいまだ挑戦的な試みであることが明らかになった。2. 一方で,授業中に生徒が一人であるいはグループになって取り組み,数学的思考を高めるような,ICTを使った問題解決,数学的活動,数学的モデル化の教材開発に関しては,わが国よりはるかに先進的な事例が諸外国にみられた。そこで,イングランドにおける先進的な数学デジタル教材Bowland Maths(11歳から16歳を主な対象とした約20の教材)の教材開発の背景と概要,今後わが国においてコンピュータを用いた数学教材の在り方として示唆を与えると思われる「交通事故の削減」「暮らしの中の危険」について,教材,教師用指導書,ワークシート,などの翻訳を行った。3. わが国の中・高等学校の数学授業におけるコンピュータの利用率が極めて低い現状を少しでも改善するために,OECD PISA調査における今後のコンピュータ利用の方向性,及び,Bowland Mathsの教材についての情報を,研究代表者及び研究協力者で執筆した。(明治図書『数学教育』)