著者
柚木 純二 藤井 進 森田 茂樹 野出 孝一
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年新たな低侵襲手術が登場し、適応や費用対効果が問題になっている。日本のビッグデータによる解析が必要と考え、DPCデータに着目した。データ抽出のプロトコールを作成すれば、全国データでの解析が可能であると考え、大動脈弁狭窄症(AS)に対する従来手術(AVR)と新たな低侵襲手術、経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)を抽出するプロトコールを作成した。AVRは95.0%、TAVIは100%検出できた。当院のDPCデータでは在院死亡に差はなく在院日数はTAVIが有意に短かった。また全入院費はTAVIが有意に高く、薬剤はAVRが材料はTAVIが有意に高かった。 全国DPCデータでの解析につなげたい。
著者
野出 孝一
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.630-632, 2005-11-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
8

心筋細胞にもエストロゲン受容体, 両方が局在し, 女性ホルモンであるエストロゲンが心筋の肥大・炎症に抑制効果を有することが明らかになった. 臨床例でも, 高齢女性が高血圧による心肥大・心不全を合併しやすいことや, ホルモン補充療法が心肥大を抑制することが報告されている. エストロゲンが心筋細胞肥大を抑制するメカニズムとしては, ERK・AP-1活性化の抑制作用やカルシニューリン・NFAT3の活性化抑制作用, さらにその上流にあるGqに対する直接作用がわかってきた. 本稿では, エストロゲンの心筋細胞について自験例も含めて概説する.
著者
田中 敦史 野出 孝一
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.19-25, 2020-01-15 (Released:2021-03-07)
参考文献数
26
著者
諸岡 俊文 野出 孝一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.4, pp.850-856, 2017-04-10 (Released:2018-04-10)
参考文献数
10

血管内皮細胞は,血流と直に接し,血球成分や種々の生理活性物質と連携して生体にとり最適な反応を引き起こすという大事な役割を担っている.一方で,高血圧や高血糖などにより内皮細胞が障害を受けると正常血管機能が破綻し,動脈硬化の進展,不安定プラークの形成,大血管障害の発生に関与する.このため,より早期に内皮機能障害を知ることはイベント発生の予防と予後予測が可能であると考えられ,多くの基礎研究や臨床試験により,内皮細胞で起こる現象や病態の解明が進むことでエビデンスの蓄積が実現した.それに伴い,内皮機能検査の方法や手技が進化し,検査機器も発展し,進化した.こうして,血管内皮機能検査は2012年より,保険適用を獲得した.ここでは,汎用されるプレチスモグラフィー,FMD(flow mediated dilation,血流依存性血管拡張反応),RH-PAT(reactive hyperemia peripheral arterial tonometry),各種バイオマーカーも含めて説明し,各種病態でのエビデンスレベルについて言及していく.
著者
北風 政史 真田 昌爾 浅沼 博司 野出 孝一 南野 哲男 高島 成二 中篠 光章 篠崎 芳郎 盛 英三 葛谷 恒彦 堀 正二
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.103-111, 2000-03-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
24

先行する短時間心筋虚血 (ischemic preconditioning) は, 長時間虚血により生じる心筋壊死サイズを縮小する.本研究では, 麻酔開胸イヌを用いそのメカニズムを検討した.その結果, 1) ischemic preconditioningによる心筋梗塞サイズ縮小効果には, アデノシン産生酵素活性化が関与する, 2) protein kinase C活性化に加えてATP感受性K+チャネル開口がアデノシン産生酵素活性化に関与する, 3) 細胞膜・ミトコンドリアに存在するATP感受性K+チヤネルが独立して相加的にischemic preconditioningに関与する, ことが明らかになった.以上の結果より, ischemic preconditioningによる心筋保護作用にはアデノシンーアデノシン産生酵素・protein kinase C・ATP感受性K+チャネル開口が連関している可能性が示された.