- 著者
-
山野井 貴浩
井澤 優佳
金井 正
- 出版者
- 一般社団法人 日本科学教育学会
- 雑誌
- 日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
- 巻号頁・発行日
- vol.34, no.3, pp.77-80, 2019-12-21 (Released:2019-12-18)
- 参考文献数
- 8
日本遺伝学会は「優性」「劣性」の語の使用が,形質が優れているや劣っているという誤概念をもたらすと指摘し,「優性」を「顕性」に,「劣性」を「潜性」に変更することを2017年9月に提案し,それ以降も用語を変更する方向で社会は動いている.しかしながら,これらの用語を用いて遺伝学習を行っている中学生の認識は十分調査されておらず,どれほどの生徒が誤概念を有しているのかについては不明である.そこで本研究は,栃木県内の公立中学校13校に通う,遺伝学習後の中学校3年生約1000名を対象に,優性劣性の認識に関する質問紙調査を行った.その結果,約7割の回答が優性の形質を「集団中の頻度」を根拠に,約6割の回答が優性の形質を「生存上の有利性」を根拠に選択されていたことが示唆された.またこれらの誤概念は多くの生徒の中で共存していることも明らかとなった.