著者
鈴木 哲也 関田 俊明
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究の目的は,高齢無歯顎者における義歯装着状態の違いが摂食,嚥下機能に及ぼす影響を明らかにすることである.被験者には,無歯顎者,高齢有歯顎者,成人有歯顎者,偏食傾向の者の4群を選択し,5種類の半固形状食品および2mlの冷茶を摂食させた.無歯顎者には3種の義歯装着条件(上下顎義歯装着,下顎義歯撤去,上下顎義歯撤去)を設定し,顎二腹筋前腹筋電図,咬筋筋電図,下顎運動の測定を行った.統計処理には反復測定分散分析とscheffeの方法を用いた.以下に結果示す.1.高齢正常有歯顎者と若年正常有歯顎者では,高齢正常有歯顎者の方が咀嚼所要時間は長かった.2.高齢正常有歯顎者と全部床義歯装着者では,食品によっては,咀嚼所要時間には必ずしも有意差がみられなかった.3.全部床義歯装着者と若年正常有歯顎者では,上下顎義歯撤去時ではすべての食品で若年正常有歯顎者より咀嚼所要時間は長かった.しかし,上下顎義歯装着時では,はんぺん,試験用ゼリー(強度650),芋ようかんで有意差はみられなかった.4.義歯の装着状況で比較すると,上下顎義歯装着時と上下顎義歯撤去時では,上下顎義歯撤去時の咀嚼所要時間が短かった.5.下顎義歯撤去時と上下顎義歯撤去時では,下顎義歯撤去時の咀嚼所要時間が短かった.6.ゼリー,芋ようかん以外では,上下顎義歯装着時と下顎義歯撤去時の咀嚼所要時間に差はみられなかった.7.口腔内条件の違いよりも,食品の好き嫌いが咀嚼所要時間に最も大きく影響を与えた.以上の結果から,高齢者における全部床義歯の装着は,半固形状食品の円滑な咀嚼の遂行,維持に重要であることが示唆された.
著者
鈴木 哲夫
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.47, pp.59-66, 1991-10-25

管路を流れる流体の形状損失ヘッドを生じさせる原因が,流体あるいは管壁への流れの衝突に基づくものとして,乱流の流れにおける合流管の損失係数を示す理論的表示式,および文献にある研究者の実験結果に基づいて理論的な表示式の実験係数を定めた.それらにより,任意の合流角度と任意の面積比の場合について非対称Y形の合流する流れの損失係数を計算することができる.また,計算値は実用上十分な精度で良く一致している.
著者
大熊 孝 大川 秀雄 鈴木 哲
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

1.河川水温の変化の測定と解析昭和63年12月から平成2年12月まで信濃川水系において水温,気温を9地点について測定し、一年を通じて水温と気温に強い相関があること、及び降雪の混入によって水温が急激に下がるとともに降雪が終れば回復することが明らかとなった。水温と気温の変化の位相差を考慮して、水温と気温、降雪量などと重相関分析と行うことによって、水温の年変化及び日変化を追跡することが可能となった。このモデルにより、昭和56年豪雪時の小出地点の水温を測定し、豪雪年でも消融雪溝が利用可能なことを明らかにした。2.流雪溝・消融雪溝の流雪・融雪能力の改善流雪溝の流雪能力を埋論的に明らかにするには条件設定が困難で十分に成果をあげることはできなかったが、現地及び室内実験によって設計に使用すべき流雪能力を求めることができた。また、流雪溝の壁面を塗装することによって、一定流量に対し2倍以上に流雪能力を高め得ることを明らかにした。消融雪溝に関しては、流量、水温が与えられれば理論的に融雪能力を算定でき、それは実験結果と良く符合することを明らかにした。また、効率的に融かすには堰の高さを低くし、多段構造にするのが良いことを明らかにした。3.除雪システムの運用に関する研究岩手県沢内村や新潟県津南町、十日町市など特別豪雪地帯における除雪システムを調査することによって、冬期除雪体制の確立が地域振興の基盤であることを明らかにするとともに、行政と住民組織との協力システムが多種・多様な形態・内容で存在し、それぞれ個別では出し得ない大きな力を発揮していることを明らかにした。
著者
秋田谷 英次 石井 吉之 成田 英器 石川 信敬 小林 俊一 鈴木 哲 早川 典生 対馬 勝年 石坂 雅昭 楽 鵬飛 張 森
出版者
北海道大学
雑誌
低温科学. 物理篇 (ISSN:04393538)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.35-50, 1995-02

1994年3月上旬,中国黒竜江省の 1500km を車で走破し積雪と道路状況を調査し,道路雪害の実態を明らかにした。北海道と比べて寒冷ではあるが雪は極端に少なく,吹雪と吹溜の発生頻度と規模は小さい。しかし,除雪作業や車の冬期用装備がされていないため,交通量が増加すれば深刻な道路雪害となることが予想される。平地の農耕地内の道路は農地からの土砂で著しく汚れた圧雪た氷板からなり,そのため滑りの危険は小さいが,凹凸がはげしい。山地森林内の道路は汚れのすくない圧雪と氷板からなり,滑りの危険が大きい。この地方の特徴である道路に沿った並木は配置が不適当なため,吹雪の面から見ると,むしろマイナスの効果が大きい。吹雪対策としては側溝と盛り土された道路,および効果的な並木の配置がある。さらに,簡単な除雪機による吹雪直後の除雪が効果的である。山地の坂道やカーブでは滑り止めの土砂散布も必要である。