著者
木村 愛子 内田 芙美佳 鈴木 哲
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.563-567, 2017 (Released:2017-08-20)
参考文献数
24

〔目的〕介護職員に対する腰痛に関する情報提供が,破局的思考および腰痛予後に対する認知に与える影響,またその影響と腰痛の有無・程度との関連性を検討することとした.〔対象と方法〕対象は介護職員29人とし,腰痛に関する情報提供を講義形式の研修会にて行った.対象者を腰痛群と非腰痛群の2群に分け,介入前後間で評価項目の得点を比較した.〔結果〕腰痛予後に対する認知の得点は,腰痛群と非腰痛群のいずれも,介入後に有意に向上した.破局的思考の得点は,非腰痛群では介入後に有意に改善したが,腰痛群では有意な変化はみられなかった.〔結語〕介護職員に対し腰痛に関する情報提供を行うことで,腰痛のある者には破局的思考および腰痛予後に対する認知を,腰痛のない者には腰痛予後に対する認知を改善できる可能性が示唆される.
著者
鈴木 哲 木村 愛子 田中 亮
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.583-588, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
31

〔目的〕介護職員におけるpresenteeismの発生頻度を調べ,かつ腰痛の程度および心理的因子がpresenteeismに与える影響を解析することとした.〔対象〕介護職員139名とした.〔方法〕presenteeismと腰痛の程度,心理的因子を対象者ごとに評価した.測定項目間の関係をモデル化し,パス解析にて,その適合度と測定項目間の関連性を検討した.〔結果〕対象者の66.9%にpresenteeismがみられた.修正モデルの適合性は十分に高かった.〔結語〕介護職員にとってpresenteeismは業務上の一般的な問題であること,心理的因子がこれに影響する因子として重要であることが確認された.
著者
鈴木 哲司
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.25, 2012

土地利用の改変は、放射環境や蒸発散量を変化させ、地域の水収支や熱収支そして生態系に対して影響を与える可能性がある。近年、半乾燥地域であるナミビア北中部地域では、従来は未利用であった季節性湿地帯(以下,オシャナ)の水資源を有効活用し稲作を導入しようとする動きがある。オシャナはその下流部に多くの野生動物の生息域となっているエトーシャ国立公園を有する。そのため、稲作導入によりオシャナの水収支に対しどのような影響が及ぼされるのかを明らかにすることは、地域の生態系保護の観点からも重要である。そこで、本研究は、ナミビア北中部地域に出現するオシャナでの稲作導入に伴う水収支への影響について、とくに蒸発散量の変化とその要因を明らかにすることを目的とし実施した。2008年9月よりナミビア北中部地域に位置するナミビア大学オゴンゴキャンパスにて、オシャナ内にイネ圃場(Rice field, RF)と自然植生圃場(Natural vegetation field, NVF)を、アップランドにアップランド圃場(Upland field, UF)を設営し、ボーエン比・熱収支法によって蒸発散量(<i>ET</i>)を測定した。<i>ET</i>は、すべての圃場において降雨(<i>P</i>)の開始と共に増加した。しかし、UFでは雨季終盤にかけて<i>P</i>の減少に伴い<i>ET</i>も減少する傾向が見られたが、NVFとRFについてはオシャナに水面が存在している期間は<i>P</i>の存在に依存せず比較的高い<i>ET</i>を維持していたことがわかった。NVFとRFの<i>ET</i>は2010年の乾季に顕著な差を示した。その乾季の間、RFの<i>ET</i>は約0.6 mm day<sup>-1</sup>を推移したが、NVFのそれは約0.9 mm day<sup>-1</sup>を推移した。RFではイネの収穫に伴いイネの地上部が刈り取られたことで地表面が現れアルベドが増加し、<i>Rn</i>が減少し、<i>ET</i>が減少したのではないかと考えられる。この結果は、イネを導入する際の栽培管理方法によって栽培期間の雨季だけでなく、乾季においても<i>ET</i>が影響を受ける可能性があることを示唆しており、より詳細に解析を進めていく必要があろう。今後は当地の<i>ET</i>を規定する要因について分析を進め、それらの因子に対する稲作導入の影響についてさらに検討していく。
著者
鈴木 哲也 熊谷 宏 内田 達郎 吉富 信幸 渡邊 竜登美 石鍋 聡 水口 俊介 関田 俊明 平野 滋三 宮下 健吾 小林 賢一 長尾 正憲
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.476-484, 1994-04-01 (Released:2010-08-10)
参考文献数
40
被引用文献数
2 4

The distribution of occlusal support of 366 aged patients of over 70 years was surveyed and analyzed in this study. Their masticatory abilities were also evaluated by the questionnaire on the masticatory aspects of 20 kinds of foods, and their maximum occlusal forces were measured with the pressure sensitive foil. The relations among masticatory ability, maximum occlusal forces and the distribution of occlusal support were analyzed.The results were as follows.1. 52.8% of the upper and lower dentulous patients had less than 5 occlusal tooth contacts.2. Posterior tooth contacts were less than anterior ones, and even in posterior areas, occlusal contacts tended to be less from the second molar to the first premolar.3. 61.2% of the upper and lower dentulous patients had no occlusal support or only unilateral occlusal support. It is evident that occlusal support is extremely ill-conditioned in elderly patients.4. It was found that if the aged have more occlusal tooth contacts and wider occlusal support areas, they would show better masticatory ability and greater maximum occlusal forces.5. In thier initial visits to our clinic they had poor occlusal support with their dentures.6. It is suggested that occlusal tooth contacts and occlusal support areas should be important for maintaining a healthy oral function in elderly people.
著者
卜蔵 建治 山下 洋 鈴木 哲夫
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.309-315, 1982-03-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
7

Using the original infrared digital data of GMS, we obtained the distribution of equivalent black body temperature of the land surface of Tohoku District in the cold summer in 1980 and examined the locality of rice-plant damage caused by cool air mass in that summer.Obtained results are as follows:1. There is a close relationship between the distribution of paddy rice index and the trajectory of cold maritime air mass, what we call “Yamase”, in the northern Tohoku District.2. Inspection of the data derived from the extensive observations without discontinuity make clear the relation between the low temperature area caused by “Yamase” and the damaged area as well as the relation between the trajectory of “Yamase” and orographic features.3. During the prevailing period of “Yamase”, the sensible heat supply from ground surface in daytime is too small to bring about the upward motion in cloud layer, while the increase in horizontal momentum is significant in the cloud layer.4. It is confirmed that the clouds caused by “Yamase” attain the coastal region of the Sea of Japan crossing over the Oou Mountains. The accurate prediction of this phenomenon is likely to be of great importance so as to prevent the cold summer damage.5. In the southern Tohoku District, cloud formation due to Baiu-front activity makes it insufficient to detect the low-level “Yamase” current using the data of the observation from space.6. The data of vertical temperature profile radiometer are needed to analyze “Yamase” advecting in lower layer.7. This is the first time for the area damaged owing to “Yamase” in cold summer to be investigated using the GMS data. Accumulation of the case studies like this will hopefully help us to make out more accurately what the relation between the damaged area and the trajectory of “Yamase” is all about.
著者
田中 元 鈴木 哲也
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.209-218, 2014

<p> 中高理科教員の免許を取得できる大学の教育系/理学系学部それぞれに於いて化学関連シラバスを調査し、化学用語をノードとしたマップを作成した。今回、マップ作成に当たりノードだけでなくエッジのウエイト評価も行い、マップに採用するノードの選別により妥当性を持たせた。このマップを基に、理学系を教育系の対照とした分析を行い、将来の理科教員に求められている化学リテラシーの姿に迫ろうというものである。結論として、教育系に於ける化学教育はミクロ的領域からマクロ的領域へと理論化学を横断する形を主とし、そこから外れる他の要素の比重は有意に小さいことが挙げられる。ここに見られるものは、化学の使われ方よりも、化学そのものを教えるという目的である。教育系における化学教育の現在の形に於ける改良点、他の方向に向いた発展の可能性が、本研究により示される可能性がある。</p>
著者
鈴木 哲也 大木 明子
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は摂食・嚥下障害患者に対して用いられる舌接触補助床(PAP)のメカニズムを調べることを目的としている。健康な成人に5mmの厚さのスプリントを装着させ、実験的に固有口腔を拡大した。PAPの装着による効果を、水およびゼリー嚥下時の口蓋に対する舌圧から検討した。スプリントを装着することで舌圧が低下した被験者が、PAPを装着することで舌圧の増加が認められた。PAPは舌と口蓋の接触が損なわれた患者に対して有効であることが示唆された。
著者
鈴木 哲郎 下野 昌人
出版者
(財)国際科学振興財団
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1998

マルテンサイト変態におけるミクロ機構を計算機シミュレーションにより明らかにし、メゾ組織への発展を明らかにするために、変態過程中の個々の原子運動を追跡する分子動力学法を用いて研究を行った。しかし、現在入手可能な如何なる計算機を用いても、巨視的尺度を持つ試料中にある10^<23>個もあるすべての原子の原子を同時に扱う事は出来ない。この分子動力学法における困難を避ける方法として、周期境界条件およぷそのParrinello andRahmanによる拡張が、殆どすべての分子動力学を用いる研究において採用されて来た。我々は、これらの方法をマルテンサイト変態に適用すると如何なる問題が起こるかを詳細に検討した。その結果、現在までに考えられたすべて周期境界条件およびその拡張は、マルテンサイト変態過程を分子動力学法を用いて研究するのに適切な条件を与えない事が明らかになった。このように、現存する周期境界条件はマルテンサイト変態を研究するには用いる事が出来ないとすると、現在入手可能な計算機を用いて直接行える分子動力学法による研究は原子数が10^4個程度如何のクラスターあるいはナノ粒子と呼ばれる金属結晶に限定される事になる。しかし、幸運にも、最近はクラスターあるいはナノ粒子の実験的研究が急速に進展するに従い、それらが示すマルテンサイト変態をふくめて巨視的結晶とは非常に異なる振る舞いが注目される状況になり、我々が周期境界条件を用いずに行うクラスターあるいはナノ粒子に対する計算機シミュレーションの結果が直接最近の実験結果の理解を深めるのに役立つ事になってきた。
著者
鈴木 哲雄
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

香取神宮における仏教的な資料を多数収集し、鈴木哲雄「香取神宮の神宮寺・寺院関係資料一覧(稿)」(『史流』46号、2016年)として刊行した。また、収集した諸資料にもとづいて、香取神宮境内に存在した愛染堂や経堂(経蔵)のあり方、かつて経蔵にあった大蔵経の散佚と一部の伝来状況、神宮寺における正月修正会の幕末までの存続、七人の供僧体制や諸寺院の存在について明らかにした。
著者
大槻 桂右 鈴木 哲 河野 英美 渡辺 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.793-796, 2009 (Released:2010-01-28)
参考文献数
13

〔目的〕簡便な方法で無酸素性作業閾値(Anaerobic threshold; AT)を測定することが求められている。本研究の第一の目的は,心拍数二乗(HR)2法によってATの検出を試み,基礎的データを提供することとした。さらに,第二の目的はV-slope法ならびに二重積屈曲点(Double Product Break Point; DPBP)法を用いて検出されたATを比較し,(HR)2法の有用性を検討した。〔対象〕健常成人男性10名(23.8±2.5歳)を対象とした。〔方法〕自転車エルゴメーター上にて,5分間の安静座位の後,0 wattでのウォーミングアップを3分間行い,続いて30 wattsから開始した。運動負荷は2分ごとに10 wattずつ負荷を増加させる多段階運動負荷試験を用いた。〔結果〕(HR)2法,DPBP法,V-slope法によるAT検出時のVO2は,それぞれ有意差を認めなかった。また,AT検出時のwattsもそれぞれ有意差を認めなかった。〔結論〕(HR)2法はAT検出に関わる心拍数ならびに負荷量を簡便に知ることが可能な方法の一つであると考えられた。
著者
鈴木 哲也
出版者
埼玉純真短期大学
雑誌
埼玉純真短期大学研究論文集 (ISSN:18827454)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.55-64, 2008-03

学生たちが持つ生命倫理の実態を解明し今後の理科教育における生命倫理の内容の導入の可能性を明らかにすることを目的としている.1生命倫理の諸問題の知名度の上位は体外受精,人工授精,臓器移植,安楽死,脳死判定(70%〜80%)である.2生命倫理の諸問題における意思決定主体では、自分の意思決定が必要なのは精子バンク,臓器移植,体外受精,出生前診断,リビングウイルが30%から40%を占めており、自己と家族が必要なのは臓器移植,脳死体の利用,人工妊娠中絶,安楽死,代理母(30%〜40%)、さらにクローン技術や中絶,遺伝子操作等は絶対に行ってはいけないと同時に生命尊重に反していると考えられている.3生命倫理に関する内容のシーケンスでは半数以上が小・中から理科の中で生命倫理が必要であり、高では自ら意思決定し各個人の立場を明確にすることまで必要であるとする.最後に,調査の結果を踏まえ理科教育における生命倫理の内容のシーケンスの例を示した。
著者
鈴木 哲 秋場 真人 齊藤 正克
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.699-706, 2006-10-25
被引用文献数
2

核融合装置炉内機器の中で最も高い熱負荷を受けるダイバータについて,必要となる機能やその機能を満たすために要求される条件および構造上の特徴や設計の考え方などを,主として国際熱核融合実験炉ITERを例にとって熱・構造工学的な視点から解説するとともに,核融合原型炉ダイバータへの展望についても述べる.