- 著者
-
鈴木 直仁
大田 健
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.97, no.6, pp.1184-1191, 2008 (Released:2012-08-02)
- 参考文献数
- 16
COPDの急性増悪はしばしば入院の原因となり,患者の呼吸機能,QOL(quality of life)を悪化させる重大な事象であり,生命予後にも著しく影響する.急性増悪の主たる原因は,ウイルス感染,細菌感染,大気汚染である.病態的には気道の過分泌,気管支粘膜浮腫,気管支平滑筋収縮などにより気道が狭窄し,換気血流比不均等が増強して低酸素血症が進行し,全身的な異化の亢進とあいまって呼吸困難を来す.炎症の中心的細胞は好中球と考えられており,とくにエラスターゼに代表される好中球プロテアーゼによる組織障害の重要性が指摘されている.また,急性増悪期には気道粘膜組織や喀痰中に好酸球が増加することも報告されており,気道傷害,狭窄に関与していると考えられている.治療には気管支拡張薬,ステロイド薬,抗菌薬を用いる.多くの場合,酸素投与が必要となり,非侵襲的人工呼吸の有用性が示されている.