著者
青木 佳代 石川 和彦 林 賢一 斉藤 守弘 小西 良子 渡辺 麻衣子 鎌田 洋一
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.28-32, 2013-03-31 (Released:2013-09-07)
参考文献数
15
被引用文献数
4 13

A case of the suspected food poisoning related to deer meat occurred in December, 2011 in Shiga prefecture in Japan. Four of 18 people showed transient diarrhea, abdominal pain, nausea, and vomiting within 5 to 16 hr after eating. No typical food poisonous bacteria and viruses were detected in the food samples. Parasitological tests were performed on the deer meat, and the Ministry of Health, Labour and Welfare of Japan for horsemeat food poisoning were officially notified. A 1,100-bp DNA fragment was amplified by PCR from three slices of the deer meat, suggesting the presence of Sarcocystis sp. Cysts and bradyzoites were detected in the specimens of the deer meat. Immunohistochemical staining of the cysts detected in the deer meat with an antibody against the toxic 15 kDa protein of S. fayeri showed a positive reaction. This indicated that a similar toxic protein originating from Sarcocystis cysts was present in the deer meat. This suggested that the deer meat containing Sarcocystis cysts was the causative food in these cases of food poisoning.
著者
鎌田 洋一
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.47-52, 2012-03-30 (Released:2012-08-23)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
成尾 英仁 中摩 浩太郎 渡部 徹也 鎌田 洋昭 西牟田 瑛子 松崎 大嗣
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.211-228, 2019

<p>薩摩半島南東端に位置する開聞岳(924m)では,平安時代の貞観十六年(AD 874)と仁和元年(AD 885)に噴火が発生した.開聞岳東方の指宿市街地に位置する敷領遺跡・橋牟礼川遺跡では,貞観十六年テフラに対比されるKm12a3~4(紫コラ)下位から,噴火で被災した遺構・遺物が発見されており,噴火災害の様相と当時の人々の対応が明らかになってきた.本論では,遺跡内外でのKm12a3~4の堆積状況と「日本三代実録」の記録とを対比し,居住地域や耕作地が埋没するなどの災害が生じたこと,噴火途中で降雨によるラハールが発生したことなど,記録と発掘結果が整合することを示した.Km12a3~4が厚く堆積した地域では,噴火後に復旧作業を実施しなかったか,途中で断念し集落を完全に放棄した.一方,分布主軸からはずれた地域では復旧がなされ,噴火後の政治・経済の中心となったと推定される.</p>
著者
山﨑 健一 坂 知樹 鎌田 洋
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.135-140, 2023 (Released:2023-01-01)
参考文献数
10

近年デスクトップミュージックが普及してきたが,音楽未経験者にとって作曲は未だ難しく自動音楽生成による支援が重要となる.自動音楽生成の問題の一つとして和音生成が挙げられる.和音は音楽の三大要素の一つで,楽曲の印象や雰囲気を決定する重要な役割であるためさまざまな和音生成手法が提案されてきた.しかし従来手法で生成される和音は表現の幅が狭く単調であった.そこで本研究では,画像生成技術を用いてメロディから「単調ではない和音を自動で生成」する手法を提案する.まず,MIDIをメロディ画像と和音画像に変換する.それらをデータセットとし,pix2pixでメロディ画像と和音画像の関係性を学習させる.学習済みモデルに未知のメロディ画像を入力し,和音画像を生成する.その結果,メロディ画像に対応した単調ではない和音画像の生成に成功した.また,提案手法は類似モデルと比べて主旋律に基づく和音生成ができることが示唆された.
著者
薮 博史 鎌田 洋輔 高橋 誠史 河原塚 有希彦 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.36-46, 2005 (Released:2008-07-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本論文では,変位情報を用いて制作したVRアプリケーションとして,紙相撲をテーマとした対戦型の実装例を2件提案する.はじめに,プレイヤの跳ぶ行為を入力データとし,ディスプレイ上に表示される紙力士の動きに影響を及ぼすシステムを提案する.つづいて,このシステムに対する評価実験の結果を反映させ,プレイヤが水を揺らす行為を入力データとし,水に浮かぶスクリーンに表示される紙力士の動きに影響を及ぼすシステムを提案する.両システムとも,距離を測るセンサを用いて,プレイヤが入力装置に与える動作を変位情報として取得し,システム内のインタラクション処理に利用している. この直感的かつ堅牢なインタラクションモデルを用いることで,新たな体感型VRアプリケーションを実現することができた.
著者
石﨑 直人 鎌田 洋一 古畑 勝則 小西 良子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.132-137, 2020-08-25 (Released:2020-10-02)
参考文献数
34

ブドウ球菌食中毒(SFP)は黄色ブドウ球菌(SA)が産生する嘔吐毒であるブドウ球菌エンテロトキシン(SEs)により引き起こされる.SEsには古典型と新型が存在するが,近年食品から両方の型を有するSAが多く検出されている.なかでもブドウ球菌エンテロトキシンQ (SEQ)はSFPにつながる潜在的なリスクが高いと考えられている新型SEsである.そこで,食品中におけるSAの菌数と古典型SEAおよびSEQの産生量との相関性を,スクランブルエッグをモデルとして条件をpH 6.0,7.0および8.0,塩分濃度0.5および1.0%,静置温度25℃に設定し検討した.SAの菌数はすべての条件で24時間後では107/10 g以上,48時間後では109/10 gとなった.SEAの産生はすべての条件で24時間後に確認された.SEQは,NaCl 1.0%加スクランブルエッグではいずれのpHにおいても24時間後に検出されたが,NaCl 0.5%下でのpH7.0と8.0では24時間では検出されなかった.SEQの産生量はSEA量より少なかったが,SEQは比較的低いpHおよび水分活性のスクランブルエッグにおいては産生されやすく,SFPの発症に関与する可能性があることが示唆された.
著者
鎌田 洋一 星 英之 長木 勇人 小崎 俊司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.767-771, s・iv, 2002-09-25
参考文献数
22
被引用文献数
1

ボツリヌス菌が産生するC3酵素と呼ばれるADP-リボース転移酵素は,GTP-結合タンパク質の1つであるRhoAタンパク質にADP-リボースを転移し失活させる.ヒト神経芽腫GOTO細胞をC3酵素処理するとRhoAタンパク質の修飾の後,神経突起が誘導される.私たちはC3酵素に対しモノクローナル抗体を作成し,C302と名づけ,その性状を検討した.C302はC3酵素のタンパク質分解酵素処理して生じた小さなフラグメントには反応せず,C302のエピトープは立体構造依存性であると考えられた.C302はC3酵素の生物学的活性およびADP-リボース転移酵素活性を効率良く中和した.C302のC3酵素活性抑制と生物学的活性抑制における用量依存曲線は良く類似していた.C3酵素処理によって神経突起が誘導されているGOTO細胞に対しC302を反応させたところ,GOTO細胞の形態がC3酵素処理以前に復帰した.C3酵素とC302モノクローナル抗体は,RhoAタンパク質を介する細胞現象の解析研究に役立つと考えられる.
著者
大西 貴弘 古 沢 博子 佐古 浩 乙竹 充 福田 穣 吉成 知也 山崎 朗子 鎌田 洋一 小西 良子
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.125-131, 2013-06-30 (Released:2014-01-29)
参考文献数
4
被引用文献数
2 6

Our surveillance indicated the food-borne disease associated with Kudoa septempunctata has occurred on summer season. To elucidate the reasons of that, we investigated the temperature effect of food-borne disease associated with K. septempunctata. We continually purchased olive flounders in the same lot from the fish farm that was infected with K. septempunctata partly and determined the number of spores in olive flounder muscle. Both the positive ratio of K. septempunctata in olive flounder and the number of spores did not show the seasonal change from January to August. We discovered that the temperature of seawater in summer season was over 20℃. However, the positive ratio of K. septempunctata, the number of spores and the toxicity of K. septempunctata were not affected by high temperature of seawater. These results demonstrated that the temperature rise of sea water was not a reason why the frequency of the food-borne disease increases in summer season.
著者
原田 誠也 古川 真斗 徳岡 英亮 松本 一俊 八尋 俊輔 宮坂 次郎 斉藤 守弘 鎌田 洋一 渡辺 麻衣子 入倉 大祐 松本 博 小西 良子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.198-203, 2013-06-25 (Released:2013-07-18)
参考文献数
9
被引用文献数
3 16

熊本県では,馬刺しを共通食とする原因不明の一過性嘔吐下痢症事例が最近3年間で毎年27件以上発生していた.同事例の原因はSarcocystis fayeri住肉胞子虫で,本研究では一定時間の冷凍処理で住肉胞子虫のシストがペプシンにより消化されその毒性を失うことを見いだした.同胞子虫シストを含んだ馬肉を-20℃で48時間以上冷凍したところ,シスト由来の毒性タンパク質の消失も確認された.本研究で確立した冷凍条件を用いての冷凍処理の普及により,平成23年10月以降,馬刺しが原因と考えられる食中毒の発生報告はなく,この冷凍処理基準が,馬刺しによる食中毒防止対策として有効であることが示唆された.