著者
小山 真紀 柴山 明寛 平岡 守 荒川 宏 伊藤 三枝子 井上 透 村岡 治道
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.136-139, 2020 (Released:2020-04-25)
参考文献数
1

本研究では,防災ワークショップを通じたデータの収集とデータベース化,保管したデータの再利用法までを合わせて提案することで,恒常的にデータの収集と活用が可能な災害アーカイブの構築とその効果を検討する.対象とするデータは,主として位置情報付きの被災当時の写真と,対になる現時点での同じ場所の写真,被災時の手記などである.ワークショップは,現在のハザードマップとこれらのデータを用いて,地域の災害危険度を確認し,同様の災害が発生した場合の被災イメージを想起させる.被災経験者がいる場合には,より具体的な状況の記憶の継承を行う.最後に,今後の対策に向けた検討を行い,参加者間で共有する.これまでに,データベースの構築,ワークショップの構成と収集すべきデータの検討を行い,ワークショップを行うことで,災害記憶の継承と,より具体的な被災イメージの醸成と対策の検討が可能になることが示された.
著者
三宅 茜巳 井上 透 松家 鮎美
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.376-384, 2018-10-01 (Released:2018-11-20)
参考文献数
60
被引用文献数
1

デジタルアーカイブは知識基盤社会を支える重要な役割を果たすものと期待されているが、課題も多く存在する。そうした課題の中で、本論では、デジタルアーカイブの開発・管理・活用を担う人材育成にテーマを絞り考察した。大学やNPO法人日本デジタル・アーキビスト資格認定機構が進めてきたデジタル・アーキビスト育成教育の事例と英語圏(米・加・英・豪)における教育の事例を概観する中で、大学や協会による専門職としての質保証を伴う教育や再教育が必要であることが明らかになった。また、デジタルアーカイブを運用する現場での情報を教育にフィードバックすることにより、採用や待遇改善等キャリアパスの形成につなげていくことが重要であると結論付けた。
著者
井上 透
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.83-85, 2021-04-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
5

デジタルアーカイブの対象は当初の博物館、図書館、文書館の文化遺産を中心とした資料から、大学、国・自治体の行政資料、企業の産業資源へと広がった。デジタルアーカイブが扱うメディアも、静止画、動画、音声、テキストから、数値、3D計測データなどAIやデータサイエンスに活用できるものに広がっている。一方、誰がデータを提供し、誰がデジタル化を行うか、デジタル化機器・技術の向上への対応など対象への多様なアプローチによるデジタル化が、データの質と利用価値の向上させる可能性がある。そのため、多様な分野からデジタル化を学ぶことは、デジタルアーカイブ開発と発展にとって極めて重要な要素になるではなかろうか。
著者
志磨 裕彦 中内 伸光 井上 透 内藤 博夫
出版者
山口大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1993

甘利は確率分布族の空間が不変な幾何学構造として双対接続を持つことを発見し、情報幾何学の必要性を提唱した。これは双対接続を持った多様体上での情報理論の研究である。一方、この双対接続の概念はBlaschke流のアフィン微分幾何学においても見出されていた。また、志磨は、Kahlerian多様体との関連においてHessiann多様体の概念を得ていたが、これはまさに平担な双対接続を持った多様体のことである。このように双対接続は純粋数学上、また応用上も重要な概念であり、これを共通のキーワードにして、微分幾何学と情報幾何学の境界領域を総合的に研究することを目的とした「幾何学シンポジウム」を開催した。会期は4日間で、18件の招待講演の他、参加者全員による自由な討論と情報交換が行われた。その結果は「幾何学シンポジウム講演記録」として印刷され冊子にまとめられた。甘利は情報幾何学の統計学、システム理論、ニューラルネットワーク、統計物理学、量子観測、可積分力学系等への応用の可能性を示唆し、江口はコントラスト関数を定義し、それから双対接続が得られることを示したが、松本は逆に双対接続からコントラスト関数を構成した。黒瀬は双対接続が定曲率のとき自然なコントラスト関数(ダイバージェンス)を定め、Pythagoras型の定理を証明した。志磨はHessian曲率が一定のHessian多様体を構成し、これらが、確率分布族として実現されることを示した。野口は双対接続とLevi-Civita接続が一致するための条件を考察し、長岡は古典・量子Cramer-Rao不等式の微分幾何学を展開し、江口は相対エントロピーと数理進化について論じた。その他、長野、金行等による対称空間論や、いくつかの興味あるトピックスに関して研究発表が行われた。
著者
井上 透
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.210-214, 2022-06-01 (Released:2022-06-01)

デジタルアーカイブは,文化・科学・教育・産業資源をデジタル化により保存・継承・公開することで,情報への継続したアクセスを担保し,意思決定やイノベーション,リスクコントロールを支援することで人々の生活を豊かにする営為・システムである。デジタルアーカイブを開発,運営する人材,デジタル・アーキビストへのニーズは増加している。2006年に始められた日本デジタル・アーキビスト資格認定機構による人材育成制度は①対象・文化の理解,②情報のデジタル記録と利用,そのための③法と倫理から構成されており,図書館司書,博物館学芸員,自治体職員,教育関係者,企業関係者等約6,700名へ資格を与えている。
著者
篠原 徹 飯田 浩之 井上 透 金山 喜昭 杉長 敬治 濱田 浄人 佐久間 大輔 戸田 孝 桝永 一宏 松田 征也 佐々木 秀彦 五月女 賢司 半田 昌之 守井 典子 田中 善明 石川 貴敏 水澤 喜代志 佐々木 亨 柏女 弘道 大川 真 高田 みちよ 神田 正彦 岩井 裕一 土居 聡朋
出版者
滋賀県立琵琶湖博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

博物館を対象に全国規模で定期的に実施されている2つの調査の1つである「博物館総合調査」を継承する調査を、全国の4,045館を対象に平成25年12月1日を調査基準日として実施した。そして、その結果を分析すると共に、博物館の経営・運営と博物館政策の立案上の緊急を要する課題(現代的課題)の解決に貢献できる、「博物館の使命と市民参画」「指定管理者制度」「少子高齢化時代の博物館に求められる新しい手法の開発」「博物館の危機管理」の4つのテーマ研究を行った。これらの成果は報告書としてまとめ、Webサイトに掲載して広く公開している。
著者
井上 透
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.21, pp.52-55, 2005-08-20

国立科学博物館は、自然史・科学技術史標本資料及びバーチャル自然観察など学習資源コンテンツのデジタル・アーカイブス化を進めている。近年、新館オープンに併せて展示解説の支援システムやネットワークを通じた全国的な博物館情報提供システムの開発を行い、活用の高度化を図っている。今後は全国規模での人材育成により各博物館のデータ連携協力が望まれる。
著者
井上 透 杉長 敬治
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.28, pp.138-141, 2012-08-25

博物館のデジタル・アーカイブ活用は,ホームページを活用した広報・情報公開だけでなく,展示情報,イベントガイド,資料・標本公開,図鑑・フィールドガイド,学習教材などデジタル・アーカイブを活用した学習支援に拡大している。(財)日本博物館協会に集積された博物館データの内,平成12・17・22年度における入館者数が把握できた1103博物館のホームページを調査し,文部科学省の「社会教育調査」及び日本博物館協会が行った「日本の博物館総合調査」などと比較・分析しその実態を明らかにするとともに,デジタル・アーカイブの活用・充実が入館者の確保など博物館経営に与える効果を検証する。