著者
青山 郁子 高橋 舞
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.Suppl, pp.113-116, 2016-01-25 (Released:2016-02-12)
参考文献数
15

本研究は, 大学生のインターネット依存傾向,ネット上での攻撃性を,「他者の能力を批判的に評価・軽視する傾向に付随して得られる習慣的に生じる有能さの感情」である仮想的有能感の視点から検討したものである. 大学生176名(男性56名, 女性120名, M=19.51歳, SD=.80)を対象に, 仮想的有能感, 自尊感情, インターネット行動尺度(攻撃的言動, 没入的関与, 依存的関与)を測った. その後, 仮想的有能感と自尊感情それぞれの尺度の高低から4群に分類し, インターネット行動について群間差が見られるかどうか検討した. 結果は, ネット上での攻撃的言動では有意差が見られなかった. 没入的・依存的関与ではともに, 自尊型< 仮想・萎縮型となった. 依存的関与に関しては自尊型と全能型の間にも有意差がみられた.
著者
杉本 希映 遠藤 寛子 飯田 順子 青山 郁子 中井 大介
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.149-161, 2019-09-30 (Released:2019-11-14)
参考文献数
39
被引用文献数
4

本研究の目的は,“保護者による教師の信頼性認知”を測定できる尺度を作成し,その尺度と関連が予想される要因について検討することであった。目的1において,予備調査により原案34項目の尺度が作成された。その尺度を用いて,小学生と中学生の子どもを持つ保護者516名を対象に因子分析を行った。その結果,「教師の役割遂行能力」,「規律的指導」,「子どもに合わせた指導」,「子どもが示す好意」の4下位因子と1つの上位概念から構成される「保護者による教師の信頼性認知」尺度が作成された。目的2において,学校,子ども,保護者の各側面と「保護者による教師の信頼性認知」との関連を検討した。その結果,子どもにトラブルが生じたときの学校対応に対する満足度が「保護者による教師の信頼性認知」にも関連していることが明らかにされた。さらに,「保護者による教師の信頼性認知」が低く,トラブル時の学校対応満足度も低いと,教師に援助を求めることへの心配が高いことも明らかとなり,「保護者による教師の信頼性認知」は,保護者と教師の協働に関与している可能性が示唆された。
著者
阿部 学 藤川 大祐 山本 恭輔 谷山 大三郎 青山 郁子 五十嵐 哲也
出版者
一般社団法人 CIEC
雑誌
コンピュータ&エデュケーション (ISSN:21862168)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.67-72, 2018-12-01 (Released:2019-06-01)

本研究では,脱・傍観者の視点を取り入れたいじめ防止授業プログラム「私たちの選択肢」の開発を行った。授業においては,クラスの雰囲気といじめ抑止の関係について学んでもらうことをねらい,選択と分岐という工夫を取り入れた動画教材を活用した。実践結果についての考察から,本授業の有効性が概ね示された。
著者
青山 郁子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.40, no.Suppl., pp.1-4, 2017-01-15 (Released:2017-03-06)
参考文献数
16

本研究は,高校生のインターネット上でのコンタクトリスク行動に関連する防御・リスク要因を特定することを目的とした. 高校生200名を対象に, ネット上でのコンタクトリスク行動, 通信機器でのフィルタリング・ペアレンタルコントロールの有無,ネット使用における保護者による統制実践, 保護者によるモニタリング, 接続自由, 保護者との信頼関係, 学校での所属感, バーチャルな人間関係への親近感を測定し,関連を検討した. 結果は,コンタクトリスク行動とフィルタリングの有無で実質的な差は見られなかった. コンタクトリスク行動の予測に関しては,学校での所属感, バーチャルな人間関係への親近感, 接続自由が有意な説明変数であった.
著者
青山 郁子 高橋 舞
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.113-116, 2016

本研究は, 大学生のインターネット依存傾向,ネット上での攻撃性を,「他者の能力を批判的に評価・軽視する傾向に付随して得られる習慣的に生じる有能さの感情」である仮想的有能感の視点から検討したものである. 大学生176名(男性56名, 女性120名, M=19.51歳, SD=.80)を対象に, 仮想的有能感, 自尊感情, インターネット行動尺度(攻撃的言動, 没入的関与, 依存的関与)を測った. その後, 仮想的有能感と自尊感情それぞれの尺度の高低から4群に分類し, インターネット行動について群間差が見られるかどうか検討した. 結果は, ネット上での攻撃的言動では有意差が見られなかった. 没入的・依存的関与ではともに, 自尊型< 仮想・萎縮型となった. 依存的関与に関しては自尊型と全能型の間にも有意差がみられた.
著者
飯田 順子 伊藤 亜矢子 青山 郁子 杉本 希映 遠藤 寛子 ファーロング マイケル J.
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.17222, (Released:2018-12-25)
参考文献数
34
被引用文献数
6

The purpose of this study was to develop a Japanese version of the Social Emotional Health Survey, which measures multiple positive aspects of secondary school students, and to examine the scale’s reliability and validity. In study 1, 3,044 high school students were asked to complete the questionnaire. The results of the confirmatory factor analysis supported the theoretical model comprising 12 measured indicators that form four domains (beliefin-self, belief-in-others, emotional competence, and engaged living) that, in turn, contribute to one underlying meta-construct called “covitality”. Furthermore, the results demonstrated that students with a high covitality score had significantly higher scores for school connectedness and life satisfaction, and a significantly lower score for psychological distress, showing sufficient concurrent validity of the scale. In study 2, 106 students were asked to complete the questionnaires to examine the scale’s test-retest reliability and concurrent validity using related Japanese scales. The results showed that the scale has sufficient test-retest reliability and concurrent validity with the other Japanese scales.
著者
青山 郁子 藤川 大祐 五十嵐 哲也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.Suppl., pp.189-192, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
14

本研究は,小・中学生の「ネットいじめの芽」の経験,そうした状況における深刻度の認識,対処の自信・対処行動について調査した.調査対象者は小・中学生419名,調査時期は2015年2月である.結果は,ネットいじめの芽の状況に関して男子よりも女子の方が多く経験を報告した.対処の自信において性差と学校間に有意な差は見られなかった.深刻度の認識では,小学生の方が問題の深刻さを認識していた.また,小学生の方が概ね積極的な対処行動を回答する一方で中学生は回避的な対処行動を選択してした.これらの結果から,予防においては,いじめの問題の深刻度の共有とともに,問題解決へのより適切な対処行動が取れるよう,発達段階に応じた予防対策の必要性が示唆された.
著者
青山 郁子
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.40, pp.1-4, 2017

<p> 本研究は,高校生のインターネット上でのコンタクトリスク行動に関連する防御・リスク要因を特定することを目的とした. 高校生200名を対象に, ネット上でのコンタクトリスク行動, 通信機器でのフィルタリング・ペアレンタルコントロールの有無,ネット使用における保護者による統制実践, 保護者によるモニタリング, 接続自由, 保護者との信頼関係, 学校での所属感, バーチャルな人間関係への親近感を測定し,関連を検討した. 結果は,コンタクトリスク行動とフィルタリングの有無で実質的な差は見られなかった. コンタクトリスク行動の予測に関しては,学校での所属感, バーチャルな人間関係への親近感, 接続自由が有意な説明変数であった. </p>
著者
青山 郁子 五十嵐 哲也
出版者
愛知教育大学保健環境センター
雑誌
Iris health : the bulletin of Center for Campus Health and Environment, Aichi University of Education (ISSN:13472801)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.7-14, 2011

インターネットは生活に必要なツールである一方で,不健全な傾倒(Problematic Internet Use, PIU)が指摘されている。PIU とはインターネット中毒,インターネット乱用,インターネット依存症などの総称であり,ギャンブル中毒や物質依存に似た症状を見せる。また,孤独感・社会不安・低い自己肯定感など,様々な心理的悪影響を及ぼすとされる。しかし,国内におけるPIU に関する心理社会的研究は少ない。そこで,本展望論文ではPIU に関する近年の研究動向を概観した。また,PIU の原因の一つとされるオンラインゲームに関しても研究動向をまとめた。最後に,今後のPIU 及びオンラインゲーム研究の方法論における注意点を述べた。Internet is now an essential tool for our daily lives; however, problematic Internet use (PIU) and related social and psychological issues are not well-researched in Japan compared with western countries, Korea, and China. PIU is an unhealthy attachment to Internet-based technologies, and also termed Internet addiction, Internet abuse, and Internet dependency. Because PIU is similar to gambling and substance addiction and has various negative psychological effects such as depression, loneliness, anxiety, low self-esteem, and social skill deficit, it is important educational issues. Thus, the purpose of this paper was to review existing research on PIU. Study trends on problematic online game use (POGU) and its relationship with competitiveness and hostility along with theoretical background are also reviewed. Additionally, suggestions for research methodology are argued.