著者
橋本 幸成 水本 豪 大塚 裕一 宮本 恵美 馬場 良二
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.374-381, 2013-09-30 (Released:2014-10-02)
参考文献数
24

発語失行の主な症状の一つであるプロソディー異常は,構音の問題に対する代償反応である可能性が指摘されている(Darley 1969)。本研究では,プロソディー異常が発話の主たる症状であった一発語失行例の症状を分析し,Darley の代償説との関連を探った。    症例のプロソディーの特徴として,発話速度の低下と発話リズムの単調さを認めた。発話速度を評価するために,メトロノームの速度に合わせて発話速度を徐々に上げる課題を実施すると,一定の速度に達した時点で構音の誤りが出現した。発話リズムは単調で,その単調さを分析した結果,方略的にフット(2 モーラ)のリズムで発話している傾向がみられた。症例は自己の発話について「一本調子でゆっくり話さないとうまくいかない」と内省報告しており,上記の分析と合わせて考察すると,本症例の場合,明瞭な構音を得るために方略的にプロソディーを調整しているという説明が妥当と思われる。
著者
馬場 良二
出版者
熊本女子大学国文談話会
雑誌
国文研究
巻号頁・発行日
no.53, pp.120(1)-111(10), 2008-05
著者
馬場 良二
出版者
熊本県立大学
雑誌
熊本県立大学大学院文学研究科論集 (ISSN:18829082)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.lxiii-lxxix, 2008-09

秋山正次『肥後の方言』(1979)には、熊本方言の語句リストがある。その148語のうち、『日葡辞書』にあったのは27語だった。これら27語に3語をくわえ、『日葡辞書』の記述を詳細に分析し、現代熊本方言での意味用法と比較した。秋山が肥後方言だと言っている27語のうちの20語を『日葡辞書』は九州方言だと言っていない。16世紀当時は全国共通であった語が、その後、方言的な意味、語義を発展させていったのかもしれない。もう一つ考えられることは、「X.、Ximo」の注記は九州の方言語彙の中でも、とくに必要な場合にだけ付された可能性である。もともと『日葡辞書』はイエズス会士たちの日本語学習のために作成されたものであり、当時の日本語の客観的な記録、記述を目的として編まれたものではない。「この語、あるいは、この語義は九州独特なもので、使うときには気をつけよ」という語学上の実践的な意味合いの記号なのかもしれない。
著者
馬場 良二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.148, pp.11-16, 2004-06-18

熊本方言は語のアクセントの型に意味を弁別する機能がなく,無アクセント方言だといわれている.しかし,音声言語であれば発話の切れ目を示す機能はあるはずで,引用を示す助詞「-て」を含む節において,韻律がどのように現れるかを調査した.イントネーション単位がテ節と一致しているとき,基本的には「て」の直前で音調の下降が見られること,テ節がより大きなイントネーション単位の一部となるとき,その下降は見られなくなること,プロミネンスがおかれた場合,おかれた要素の音調にピークが現われ,他の要素の音調は低くおさえられることなどがわかった.
著者
馬場 良二 和田 礼子 木部 暢子 甲斐 朋子 木部 暢子 島本 智美 甲斐 朋子 吉里 さち子 田川 恭識 嵐 洋子 平田 真理子 木下 泰臣 (きのした) 船本 日佳里 田中 翔太郎
出版者
熊本県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

外国人留学生が日本で勉学や研究にいそしむには、日常的な生活を円滑に行うことが大切です。そのためには、クラスメートや研究室の日本人、そして、アルバイト先の同僚や上司と日本語で円滑にコミュニケーションをとる必要があります。地方中核都市、ここでは熊本市内に住む外国人留学生を対象に、生活の基盤となる熊本市内方言を学習するためのテキストとそのテキストの会話や練習の音声を作成しました。