著者
高井 範子 藤田 信子 池田 耕二 金子 基史 丸山 伸廣 中原 理 三木 健司 高橋 紀代 仙波 恵美子
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.45-58, 2022 (Released:2022-02-20)
参考文献数
20
被引用文献数
1

〔目的〕新たに考案した3週間入院運動プログラムによる介入前後の線維筋痛症(FM)患者の心身の変化を調査し,理学療法士(PT)の適切な対応を明らかにすることである.〔対象と方法〕FM女性患者12名を対象とし,医療や心理学などの専門家による共同チームが考案した3週間入院運動プログラムによる介入を行い,その前後において質問票(日本語版線維筋痛症質問票(JFIQ),日本版ベック抑うつ質問票(BDI-Ⅱ),The 8-item Short-Form Health Survey (SF-8))による評価と心理面談による聴き取りを行った.〔結果〕本プログラムによりFM患者のJFIQでは11名,BDI-Ⅱでは10名,SF-8では9名(身体面),8名(精神面)が改善を示した.患者の語りからは,患者の痛みや辛さに寄り添う姿勢など,PTの対応が患者にとり重要であることが示唆された.〔結語〕本プログラムはFM患者の心身に変化を及ぼす効果があり,その遂行において患者の痛みや辛さに寄り添うPTの姿勢が重要である.
著者
高井 範子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.317-327, 1999-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
33
被引用文献数
4 1

本研究の目的は, 対人関係性の視点から人々の生き方態度の発達変化を検討することにある。調査対象者は男女1695名 (年齢は18歳から88歳) である。結果は次の通りである。(1) 閉鎖性. 防衛性や, 他者依拠的, 自己優先的姿勢は加齢に伴い弱まっていく傾向にあった。逆に, ありのままの自己を生きる姿勢や他者を受容しようとする姿勢は加齢に伴って強くなっていくことが示された。他者受容は女性の方が男性よりも強い傾向にあった。(2) 閉鎖性・防衛性の強い人は, 自己を受容する度合いが低く, 自尊感情や自己の存在価値意識も余り持つことができていず, さらに人生に目標や意味を見出している度合いも低いことが示された。(3) 他者を受容する姿勢を持っている人は, 意味志向的態度で生き, 常に何かの課題に取り組む姿勢を持ち, 自己の存在価値意識をも持つことができていた。また人生に目標や意味を見出している度合いも強いことが示された。(4) ありのままの自己を生きる姿勢を持っている人は, 人生を主体的に生きることができており, そのような生き方態度は中年期以降の女性において著しく強まっていくことが示された。(5) 社会的活動等に積極的に関わっている人は, 閉鎖的・防衛的でも他者依拠的でもなく, 自己優先の姿勢も弱く, 逆にありのままの自己を生きる姿勢や他者を受容する姿勢を強く持っていることが示された。
著者
高井 範子 岡野 孝治
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.61-73, 2009 (Released:2017-05-10)
被引用文献数
1

本研究では,大学生および成人が,「男らしさ」や「女らしさ」をどのように考えているのか,また,「異性に求めることは何か」を質問紙の自由記述欄において尋ねたものをまとめた。その結果,「男らしさ」としては,包容力,頼りがい,たくましさ・強さ,決断力・判断力,行動力・積極性,リーダーシップなどが,「女らしさ」としては,上品,気遣い・繊細さ,家庭的,かわいさ,愛嬌,色気,美しさといった内容が上位にあがっていた。これらの多くは,従来から示されているものとほぼ同様であり,男性性,女性性に関するジェンダー意識に余り変化がみられなかった。また,「男らしさ」「女らしさ」に共通してみられた内容としては,優しさ,包容力,忍耐強さ,誠実さなどがあげられる。さらに,異性に求めるものとしては,男女共に優しさが最も多かった。次いで,男性が女性に求めることとして,癒し・安心感,ルックスのよさや,自分にないものをもっている,話が合う,従順さや気が利くことなどが上位にあがっていた。一方,女性が男性に求めることとして,包容力,経済力,頼りがい,楽しさ・ユーモア,誠実さなどが上位にあがっていた。
著者
高井 範子
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.79-90, 2011

青年期(大学生)から高齢期の人びとを対象に,ポジティブな生き方態度の形成要因についての検討を行った。男女共に加齢に伴って積極的な生き方態度が強まっていき,特に中年期女性においてその傾向が著しいことが見出されている。そこで,ポジティブな生き方態度に変化していく要因は何であるのかについて,生き方態度の男女の相違が特徴的であった中年期を主として取り上げながら,測定尺度によるものだけでなく自由記述分析も含めた検討を行った。その結果,ポジティブな生き方態度の形成要因として,ありのままの自己受容,他者懸念からの脱却,ありのままの自己を生きる姿勢,他者からの受容感(自分を受容してくれる他者の存在),仕方のないことに対するあきらめや折り合いをつける姿勢,自己成長的な人間関係観,ボランティア活動や社会的活動,趣味をもつことや教養講座の受講その他,何らかの行動を具体的に起こすこと,宗教的側面,目標や打ち込むべきものがあること,意味志向性や自己の存在価値感,人的なネットワークを持つことなどが見出された。本論文はポジティブな生き方態度の形成要因を検討するための筆者のレビュー論文である。
著者
高井 範子 岡野 孝治
出版者
学校法人 天満学園 太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.61-73, 2009

本研究では,大学生および成人が,「男らしさ」や「女らしさ」をどのように考えているのか,また,「異性に求めることは何か」を質問紙の自由記述欄において尋ねたものをまとめた。その結果,「男らしさ」としては,包容力,頼りがい,たくましさ・強さ,決断力・判断力,行動力・積極性,リーダーシップなどが,「女らしさ」としては,上品,気遣い・繊細さ,家庭的,かわいさ,愛嬌,色気,美しさといった内容が上位にあがっていた。これらの多くは,従来から示されているものとほぼ同様であり,男性性,女性性に関するジェンダー意識に余り変化がみられなかった。また,「男らしさ」「女らしさ」に共通してみられた内容としては,優しさ,包容力,忍耐強さ,誠実さなどがあげられる。さらに,異性に求めるものとしては,男女共に優しさが最も多かった。次いで,男性が女性に求めることとして,癒し・安心感,ルックスのよさや,自分にないものをもっている,話が合う,従順さや気が利くことなどが上位にあがっていた。一方,女性が男性に求めることとして,包容力,経済力,頼りがい,楽しさ・ユーモア,誠実さなどが上位にあがっていた。
著者
藤田 信子 仙波 恵美子 行岡 正雄 寒 重之 柴田 政彦 高井 範子 堀 竜次 池田 耕二 高橋 紀代
出版者
大阪行岡医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、線維筋痛症患者を対象とした短期集中型運動プログラムが、身体、認知、心理に与える影響を調査するとともに、脳内ネットワークの変化との関連性を検証することにある。平成31年3月までに合計13名の患者の運動療法、評価、計測を終了し、分析を行っている。2018年の第23回日本ペインリハビリテーション学会学術学会では、2演題を報告した。発表では高齢FM患者に対する短期集中型運動プログラムが疼痛、抑うつ、QOLの改善につながり、背外側前頭前野(DLPFC)の血流量の質的、量的な脳活動変化を伴ったこと、理学療法士が患者の不安傾向を踏まえ、運動内容を漸増的に行っていたことや規則正しい生活を守らせたことが運動療法の導入と継続につながったことを報告した。慢性痛改善に対する運動療法の効果(EIH)については、慢性痛患者の広範な脳領域の機能障害の発生機序と運動介入効果の機序を解明していくことが重要である。今年度、慢性痛における脳内ネットワークとEIHの機序について、第40回日本疼痛学会(仙波)、Nep Academy、17th World Congress on Pain(仙波)、第11回痛み研究会(仙波)で講演を行った。また、EIHに関する総説を大阪行岡医療大学紀要(仙波)、ペインクリニック(仙波)、Clinical Neuroscience(仙波)、日本臨床(藤田、仙波)、モダンフィジシャン(仙波)で執筆した。本研究のMRI画像の分析結果については、本研究の研究者間で情報共有のために研修会を開き、「線筋痛症に対する運動療法の効果のrs-fMRIによる検討」(寒)で運動プログラム介入前後の機能的結合について健康成人との比較、また患者の運動プログラム介入前後の比較でみられた頭頂葉や側頭葉の機能的結合の変化などが報告された。
著者
高井 範子
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.45-58, 2011-06-30 (Released:2013-09-06)
参考文献数
59
被引用文献数
2 8

Factors related to confidence building were investigated from adolescence to late adulthood in male and female participants (n = 1,741: age 18-92 years). A scale to measure confidence was developed based on the free descriptions given by the participants regarding their confidence. Factor analysis of the Confidence Scale scores identified four essential factors for developing confidence: “self-affirmation” “ability to build interpersonal relationships” “sense of capability” and “ability to recover” suggesting that confidence encompassed not only factors pertaining to competence and self-evaluation, but also the ability to build interpersonal relationships and recover from difficult situations. The study also investigated confidence in seven age groups ̶ university students and individuals excluding students who were in their twenties, thirties, forties, fifties, sixties, and seventies and above. The investigations were also carried out on the basis of gender. Results indicated a tendency for the mean scores of confidence to increase with age. Moreover, the mean scores for both males and females were significantly higher at the age group of 50-59 than that of 40-49. Females had more confidence-building factors than males in each age group. Furthermore, there was a significant and positive correlation between an individual's confidence and high motivation, autonomous lifestyle and attitudes, sense of fulfillment, and positive future prospects, whereas confidence was negatively correlated with the fear of failure.
著者
高井 範子
出版者
太成学院大学
雑誌
太成学院大学紀要 (ISSN:13490966)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.85-95, 2008-03

本研究では、大学生男女を対象とし、人間関係の悩みに関する自由記述をとおして検討を行った。その結果、悩みが生じる人間関係の種類としては、友人関係や恋愛関係、家族関係、先輩後輩関係やアルバイト先の人間関係などが挙げられていた。また、具体的な悩みの内容としては、「性格領域」に分類されるものが最も多く、次いで、「対人スキル不足・コミュニケーションスキル不足」や「心を許せる友人がいない・希薄な人間関係」、さらに「合わない相手との関係」、「考え方の異なる他者との共存」などに分類されるものが挙げられていた。男女の差異としては、「ありのままの自分が出せない」や「人との距離のとり方」についての悩みは女子のみにみられた。特に、前者は女子の中でも比較的上位に挙がっていた。また、悩みがないと回答した人の場合、その理由として、「現在良好な人間関係を築くことが出来ているから」とする回答が最も多かった。2番目に「人間関係観」に分類されるものが挙がっており、人間関係における葛藤を乗り越え、自分なりの人間関係観をもつことによって悩みを多少なりとも軽減するに至った様子が窺えた。また、悩まずに済むように「良好な人間関係を築く努力をしている」とする回答もみられた。