著者
堀 千明 吉田 誠 五十嵐 圭日子 鮫島 正浩
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.173-188, 2019-10-25 (Released:2019-11-02)
参考文献数
83

木材腐朽菌は植物細胞壁の主要成分(セルロース・ヘミセルロース・リグニン)を効率的に分解する。この特徴的な分解能力やその機能を担う酵素について,これまで様々な応用を見据えて精力的に研究がなされてきた。最近では次世代シーケンサーの登場により,すでに250種以上の菌類のゲノム情報が取得され,それに基づく多様な腐朽菌が保有する木材分解メカニズムの解析について新しい知見が報告されている。本稿では,まず腐朽菌による木材分解現象に関するこれまでの研究の経緯を説明した上で,最近の比較オミックス解析で明らかにされた腐朽形態の違いの要因となる分子メカニズムについて紹介し,さらに分子時計解析から見えてきた木材腐朽菌の起源や進化について考察を行った。
著者
木根 啓太 砂川 直輝 石田 卓也 五十嵐 圭日子 鮫島 正浩 金子 哲
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
バイオマス科学会議発表論文集 (ISSN:24238333)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.157-158, 2017

<p>Two α-L-arabinofuranosidase genes classified in Glycoside Hydrolase (GH) family 51 from the basidiomycetes Phanerochaete chrysosporium and Flammulina velutipes were cloned, and the recombinant enzymes expressed in the yeast Pichia pastoris were characterized. When p-nitrophenyl-α-L-arabinofuranoside was used as a substrate, two enzymes showed acidic pH optima at pH 3. The two enzymes released L-arabinose from rye arabinoxylan, wheat arabinoxylan, sugar beet arabinan and debranched arabinan, but not from arabinogalactan.</p>
著者
五十嵐 圭日子 鮫島 正浩
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.218-222, 2014-04-01 (Released:2015-04-01)
参考文献数
16

植物資源からの燃料や化成品生産を実現するためには,セルロースの効率的な分解が必須であると考えられているが,セルラーゼによるセルロースの加水分解速度は非常に遅く,セルロース系バイオマス変換プロセスのボトルネックとなっている.そこで筆者らは,プロセッシブなセルラーゼによる結晶性セルロースの分解メカニズムを明らかにするために,1秒未満の時間分解能およびナノメートルの空間分解能を有する高速原子間力顕微鏡を用いたセルラーゼの単分子観察を行ったところ,トリコデルマ菌由来セロビオヒドロラーゼIの分子が,結晶セルロースの表面に沿って一方向にスライドするように観察された.また,その動きは活性をなくした変異酵素では見られなかったことから,本酵素がセルロースを加水分解しながらプロセッシブに進んでいるというこれまでの生化学的な結果が,初めて分子レベルで証明された.個々の分子の動きは「動く」ステップと「止まる」ステップを繰り返していたが,時間とともにセルロース表面における酵素分子の渋滞が生じ,セルロースの分解速度が遅くなることが明らかとなった.
著者
中村 彰彦 石田 卓也 鮫島 正浩 五十嵐 圭日子
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.59-65, 2015-02-28 (Released:2015-03-05)
参考文献数
7

Structural analysis including hydrogen position is important for estimating the reaction mechanism of hydrolases. We applied neutron and X-ray structural analysis to a mysterious β-1,4 glucanase from a fungi Phanerochaete chrysosporium (PcCel45A). The joint analysis of neutron and X-ray structures showed that PcCel45A utilizing an imidic acid form of asparagine residue as a general base instead of typical acidic residues.
著者
石野 貴久 寺田 珠実 鮫島 正浩 鴨田 重裕
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.45-58, 2012-02-25

イチイ属樹木特有の抽出成分として知られるタキソールは,幅広い癌に効果のある強力な抗癌剤であるが,供給不足のため依然として高価な薬剤である。この供給不足解消の新たな手段として,内生菌の利用に着目した。イチイに加え,同じイチイ科であるカヤの内生菌の単離同定を行い,そのタキソール生産可能性についてタキソール生成酵素遺伝子の有無という観点から検討を行った。まず,イチイからは一Phomopsis属を中心に10種類の菌が,カヤはXylaria属を中心に11種類の菌が単離された。次に,既知のタキソール生合成関連酵素の内,特に利用性の高いTXS(taxadienesynthase), BAPT(3-amino-3-phenylpropanoyl-13-O-transeferase),TαH(taxadiene 13α hydroxylase)という3つの酵素遺伝子の存在可能性を,ドットプロットハイブリダイゼーション法を行うことで調べ,一次スクリーニングとした。その結果,イチイ内生菌[Collelotrichum gloeosporioides],[Paraconiothyrium microdiplodia],カヤ内生菌[Xylariaceae sp, Cordyceps diplerigene],[Sordariomycete]の4菌種において,3種全てのプローブでハイブリダイズした。このうち,カヤ内生菌のCordyceps dipterigeneに注目して,サザンハイブリダイゼーションを行ったところ,上記3種の酵素のプローブでバンドが確認できた。その部分をゲル抽出してテンプレートとし,PCRを行い,塩基配列を読んだところ,上記3つの酵素遺伝子と95%以上の高い相同性を示し,タキソール生成酵素遺伝子を有する微生物を初めて発見することができた。
著者
高畠 幸司 五十嵐 圭日子 鮫島 正浩
出版者
The Japan Wood Research Society
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.327-332, 2008-11-25
被引用文献数
4

ヤマブシタケ菌床栽培において,栽培後に生じる廃菌床を培地材料に用いて再び栽培した。この工程を3回繰り返した。子実体収量は繰り返し3回目でも最初の培地(基本培地)と同等であった。しかし,廃菌床培地は1回目の廃菌床培地で子実体収量が最も多く,その後,リサイクルする毎に減少した。子実体収量はリサイクル2回目までは基本培地の1.3~1.4倍になった。1回目,2回目の廃菌床培地では,低分子α-グルカン,β-グルカンの含有量が多くなり,C-N比が低くなった。低分子グルカン並びにN源の増加が子実体収量の増加に寄与することが示唆された。ヤマブシタケ菌床栽培において,リサイクル2回目までの廃菌床は,培地材料として有用であることが明らかになった。
著者
高畠 幸司 五十嵐 圭日子 鮫島 正浩
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.327-332, 2008-11-25 (Released:2008-11-28)
参考文献数
23

ヤマブシタケ菌床栽培において,栽培後に生じる廃菌床を培地材料に用いて再び栽培した。この工程を3回繰り返した。子実体収量は繰り返し3回目でも最初の培地(基本培地)と同等であった。しかし,廃菌床培地は1回目の廃菌床培地で子実体収量が最も多く,その後,リサイクルする毎に減少した。子実体収量はリサイクル2回目までは基本培地の1.3~1.4倍になった。1回目,2回目の廃菌床培地では,低分子α-グルカン,β-グルカンの含有量が多くなり,C-N比が低くなった。低分子グルカン並びにN源の増加が子実体収量の増加に寄与することが示唆された。ヤマブシタケ菌床栽培において,リサイクル2回目までの廃菌床は,培地材料として有用であることが明らかになった。